富裕層とは潤沢な金融資産を持っている人のことを指しますが、実際のところ日本の世帯ではどれくらいの貯蓄額を保有しているのでしょうか。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、全世帯の貯蓄階層別の分布図のうち最も多いのは「3000万円以上」と答えた人で、全体の11.8%を占めています。
この結果を見ると、「意外と貯蓄に成功している人が多い」と感じる人も多いのではないでしょうか。
なお、株式会社野村総合研究所によると富裕層は「純金融資産保有額1億円以上」と定義づけられ、その数は149万世帯にのぼるとしています。 日本全体の約2%が該当していることになりますね。
富裕層の世帯数と保有資産規模
・超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
・富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円
・準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
・アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
・マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円 「1億円以上の富裕層を目指す」となるとハードルが高く感じられますが、コツコツと貯蓄に取り組めば、一定の資産を築くのはそう難しいことではありません。
富裕層のお客さまは、大きく分けて「代々の資産を相続している人」と「自ら事業を立ち上げて資産を築いた人」の2つのパターンに分かれていました。
これから資産形成に取り組む方が参考にしたいのは、後者の富裕層が行っている生活習慣です。 自ら資産を築いた富裕層の方には、いくつか共通して見られる節約ポイントがあります。
●無駄なコストは支払わない
富裕層というと「細かいことを気にせず何にでもお金を使う」という印象があるかもしれませんが、実は全くの正反対です。 富裕層ほど日々のコストや手数料に敏感で、無駄なコストを削減する意識を持っています。
1回あたりの手数料は微々たるものでも、それが積もれば大きなコスト負担になることを知っているからです。 効率よく貯蓄に取り組むためには、小さなコストを削減していくことが大切なポイントです。
●税負担の軽減に取り組む
税負担の大きい富裕層は、税金対策にも積極的です。 特に、所得税では所得が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されているため、所得の大きい富裕層にとってはかなりの税負担となります。
そのため、しっかりと税制への理解を深め、所得控除などを活用しながら税負担の軽減に取り組んでいる人がほとんどでした。
会社員の場合は税金が源泉徴収されているため、「どのような税金をどれくらい納めているか」ということがあまりピンとこないかもしれません。
しかし、少しでも手取り額を増やして貯蓄額を増やすためには、税制を理解して対策に取り組むことが大切です。
●新しい制度や税制を活用する
新しい制度や税制に敏感であることも富裕層の特徴です。
たとえば、2014年にNISA制度が開始となったときは、富裕層の方から「NISAのことを教えて」と依頼されることが多くありました。 iDeCoについても同様で、富裕層の方は「活用できる制度は積極的に活用する」という特徴があります。
新しい制度や税制は「何だか難しそう」といった理由から敬遠してしまいがちですが、自ら情報収集に取り組むことを意識してみましょう。
●見栄で車を選ばない
「家の車庫に外車が何台もある」、「派手な車ばかりを購入する」、こういった方はあまりいません。 富裕層と聞くと派手な車に乗っているようなイメージがあるかもしれませんが、実際は実用的な車を選ぶことがほとんどです。
もちろん、中には車を何台も所有している方もいらっしゃいましたが、そういった方は決して見栄ではなく本当に車が好きで購入している方でした。
富裕層が日々取り組んでいる倹約は、どれも難しいものではなくすぐに取り入れられる習慣ばかりです。 いきなりまとまった資産を築くことは難しいものの、日々コツコツと倹約に取り組むことで資産形成につながっていきます。
ぜひ、倹約ポイントを参考に、今日からの習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。 コツコツと資産を築くためには、「本当にお金をかけるべきところ」と「そうでないところ」をきちんと分けて支出を管理することが大切です。