氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「年末年始のセール」に行く人はお金持ちになれない

買うつもりはなかったけれど、みんなが持っているのを見て、ついつい自分もほしくなって買ってしまった。誰しも一度はこんな経験があるのではないでしょうか。

このように、まわりと同じ行動をとってしまうことを、行動経済学では「バンドワゴン効果」と呼んでいます。バンドワゴンとは、パレードの先頭を行く楽隊車のことで、パレードで楽隊車の後ろに行列が続く様子をイメージして名付けられたそうです。

街でよく見かける「当店の人気No.1商品」「芥川賞受賞!」「累計1万個売れました!」「100万ダウンロード突破!」などの広告も、このバンドワゴン効果を見込んで行われています。  

広告だけでなく、店内でもバンドワゴン効果は活用されています。たとえば飲食店であれば、あえてテーブル数を減らし、意図的に混雑させることがあります。店外まで行列を作らせることで、まわりから見たときに「このお店は流行っている」と思わせるためです。  

新規出店から3カ月間は、あえて席数を減らしているという飲食店のオーナーもいるくらいですから、効果は大きいのでしょう。サクラを使って行列を長く見せることも、バンドワゴン効果の活用例の一つです。  

このように街には、売り手の工夫によって意図していなかった買い物を促され、お金を使ってしまうきっかけがあふれています。一般の方の多くは、バンドワゴン効果に気付くことなく行動を促されているのです。  

しかし、お金持ちは違います。お金持ちは、自発的なお金の使い方を軸としているため、知らない人に促されたからといって、ホイホイとお金を使うことはありません。

お金持ちがお金を使うときは、周囲の雑音とも言える広告には目もくれず、目的に一直線に向かい、さっさと買い物を済ませてしまう傾向にあります。  

季節のセールには絶対に行かないというお金持ちがいましたが、理由を聞くと「広告によって感情を揺さぶられることで、合理的な判断ができなくなるため」とのことでした。  

結局、その場の感情によって買った物は、あとになって自分の価値観から少しズレていることに気付いたり、愛着がわきにくいことで使用頻度が下がったりと、あまりよい記憶がないそうです。  

ちなみに、列に並ぶことを嫌いそうなお金持ちですが、並ぶことに抵抗がない人もいました。しかし、口をそろえて言われたことは「先頭であれば並ぶ」とのこと。  

すでに誰かが並んでいるお店ではなく、まだ誰も並んでいない新しいお店を見つけては、その先頭に並ぶことで、誰よりも早く情報をキャッチしているのです。  

また、お金持ちの界隈では金融投資の話が盛んですが、「まわりが買っているから、自分も同じ銘柄を買おう」とは、すぐにはなりません。

仮想通貨(暗号資産)への投資がSNSなどで話題になった頃に、一般の方が一斉に投資に向かって行動することがありましたが、情報収集や経験を目的とする一部の方を除き、多くのお金持ちはすぐに手を出すことはありませんでした。

そのほかにも、広告の誘惑にさらされることを避けるため、「買いたい物があるかどうかを探すためにお店に行く」といった行動はやめ、以降は「買いたい物があるから、それを買いにお店に行く」もしくは「必要な情報を集めるためにお店には行くが、何も買わない」のどちらかに決めています。  

また広告や行列を見るたびにバンドワゴン効果のことを思い出し、「どんな仕組みで感情を揺さぶろうとしているんだろう?」と考えることで、かなり冷静に判断を下すことができています。

「先着100名限定」「7日間に限り割引」「今だけ無料」「○○を見たと言って頂ければ半額」などの広告を見て、買う予定のなかった物を買ってしまう。 ----------  

このような「チャンスを逃すと、損をしてしまいますよ」という呼びかけに反応してしまう人間の傾向のことを、行動経済学では「損失回避性」と呼びます。  

この機会を逃したら手に入らなくなるかもしれない、お得に買い物するチャンスを逃したくない(損をしたくない)という感情を巧みに操られ、購買意欲をかき立てられるのです。  

家電量販店や決済サービスなどで目にすることの多い「期間限定のポイント付与」も、期限切れまでに次の購入を促すものなので、損失回避性を利用した手法だと言えます。  

損失回避性について、ダニエル・カーネマン氏らは次のような実験で実証しています。 質問1 あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。

A:100万円が無条件で手に入る

B:コインを投げて「表」なら200万円が手に入るが、「裏」なら何も手に入らない

質問2 あなたは200万円の負債をかかえているものとし、そのうえで以下の二つの選択肢が提示されたものとする。

A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が半分となる

B:コインを投げ「表」なら支払いが全額免除、「裏」なら負債総額は変わらない

質問1では、ほぼすべての人が、確実性の高い「A」を選びました。質問2の場合、質問1で「A」を選んだ人であれば、質問2でも同じように「A」を選ぶだろうと推測されましたが、質問1で「A」を選んだほぼすべての人が、ギャンブル性の高い「B」を選ぶことが実証されています。

この一連の結果が何を意味するかというと、  

・人は目の前に利益があると「利益が手に入らないというリスクの回避」を優先する

・人は目の前に損失があると「損失そのものを回避しようとする」傾向がある  

と言えます。  

プロスペクト理論が説明するように、人は「得」をしたときの喜びよりも、「損」をしたときのショックのほうが大きくなるため、できるだけその損を回避しようと考えるようです。  

ちなみに、この特性を利用したサービスの一つが「全額返金保証」です。「購入したあとで満足できなかった場合、全額返金します」と保証されていると、損をするリスクがなくなるので、消費者の購入のハードルはグッと下がるのです。 

損失回避性について、あるお金持ちの方に見解を求めたところ、「そもそも安く買えなかったことは、損失なのかな?」とバッサリ。  

必要なものであれば、必要なタイミングで手に入れるのが最も高い満足感を得られるため、のちに安く売っていたとしても、一切心は痛まないとのことでした。  お金持ちの買い物の仕方や心構えは、根本的に違うことがわかります。  

広告を見て感情を揺さぶられたときは、一度立ち止まって、「“絶対に”その先着100名に入らなければいけないのか」「“絶対に”この7日間のうちに買わないといけないのか」と考えてみてください。

“絶対に”と言われると、「それほどではないかな」と自信が持てなくなるものは多く、その場合は広告に踊らされ、浪費の入口に立っていたことに気付きます。  

ちなみに、「損失回避性」は消費者側がお得に利用することもできます。先日、洗濯機を買いに家電量販店へ行ったとき、洗濯機コーナーにいた販売員に、「洗濯機か冷蔵庫のどちらかを買おうと考えている」と伝えてみました。すると販売員は、目の前のお客様を失いたくないという思い(損失回避性)がはたらき、販売員のほうから値下げやサービスについての提案をしてきたのです。  

人は「お得です」と訴えかけられるよりも、「損しますよ」と訴えかけられたほうが、行動を促されてしまうことがわかります。

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