氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

いよいよ金利上昇が本格化! 変動金利の日本で住宅ローン、不動産はこうなる

日銀のマイナス金利政策の解除が近づきつつあるとの観測が広がっています。

来年前半にも解除するのではないかとの意見がコンセンサスのようです。

米国のケースでは、昨年3月に利上げを開始して以来、急速に金利を引き上げ、今年3月のシリコンバレーバンクの破綻を招いた要因の一つになったとされます。

金利引き上げによって債券の含み損(金利が上昇すれば債券価格は下落する)が急拡大したのです。  

ちなみに日本でも、(地方)金融機関などが、米国債を始めとする外債を大量保有しているから気になるところで、それ以上に国債を始めとする国内債券を大量に保有しています。  

世界的インフレ傾向の中で欧州諸国を始めとする世界中の国々の金利が上昇してきたにもかかわらず、日本だけが「マイナス金利政策」を続けてきました。  

日本が米国債保有国トップに躍り出たことが関係し、日本の「金利上昇」に米国が「難色」を示した側面があります。  

普段は貿易赤字拡大に繋がりかねない「ドル高=円安」に神経を尖らし、「外圧」をかけてくる米国が今回は「沈黙」を続けているのも、「日本の低金利維持に伴う円安」は容認する姿勢の表れです。

しかし、日本が「マイナス金利政策」を維持できたのは、「消費者物価」が諸外国に比べて落ち着いていた事です。  

例えば、10月の消費者物価指数は前年同月比で2.9%の上昇で、「2%」の「物価(安定)目標」を少し越えたあたりであり、それほど高いインフレ率とは言えません。  

しかし、米国などに比べて「消費者物価」の上昇が抑制されてきたのは、(仕入れ)コスト増加をすぐには転嫁しない日本企業の努力です。

現在では「企業物価指数」の上昇が落ち着いてきていますが、今から1年ほど前に日銀が発表した昨年12月の企業物価指数は、前年同月比10.2%も上昇。22カ月連続で前年の水準を上回っています。  

このような大幅な企業物価の上昇は、諸外国ではすぐさま消費者物価に反映され大きな消費者物価上昇につながりましたが、日本では各企業の努力によって吸収されました。

特に日本では、円安による輸入(企業)物価の上昇も無視できず、2011年10月31日に1ドル=75円32銭を付けた時から、円の価値は対ドルでほぼ半分に下落しました。

為替相場の短期的動向を見極めるのは難しく、数十年単位の大きなトレンドで言えば、「円高の時代」から「円安の時代」に変わりました。  

また、総務省が購入頻度の高い44品目(いわゆる日常生活の必需品)を調べた結果では、10月の前年同月比の上昇率は8.3%もあろ、一般消費者の「体感インフレ率」はすでに二桁に向かっています。  

さらに、「戦争は最大のインフレ要因」である。昨年2月のウクライナ侵攻以来、イスラエルによる「ガザ侵略」など世界の地政学リスクが高まっているのは明らかです。  

戦費や戦争の破壊で引き起こされる生産停滞によるインフレだけではなく、輸送の安全性確保が困難になることによる小麦を始めとする食料価格上昇もすでに起こっています。  

さらには、「第5次中東戦争」による「第3次オイルショック」の可能性など、これからインフレの本番がやってくる公算が高いのです。  

このような状況の中で長期にわたって日銀(政府)が「マイナス金利政策」を続けてきたことは、いざ利上げした場合の金利上昇を制御することが困難になります。

つまり「金利が暴騰」する可能性があり、昨年3月以来のFRBによる急速な利上げに、シリコンバレーバンクは「白旗」を上げたが、米国の住宅市場は耐えています。  

米国では住宅ローン利用者のおおよそ9割が固定金利を選択しているから、金利上昇の打撃はほとんど受けません。

それに対して、日本は真逆で、9割程度が変動金利を選んでいるから金利上昇の影響は甚大です。  

この「固定金利」と「変動金利」の「選択の差」は、住宅ローン利用者の今後の明暗をはっきりと分けます。  

金利上昇」の問題だけではなく、日本では大量に住宅が余っており、2018年の空き家率は13.6%であり、これはおおよそ7件に一件が空き家ということです。  

さらに、米国の2022年の人口増加率は0.4%であり、わずかながらも人口が増えていますが、総務省の予測によれば、2050年の日本の人口は9515万人です。

現在の日本の人口は1億2431万人(11月1日現在)であるから、2916万人(約24%)の減少です。  

ちなみに、ピークであった2008年の1億2808万人と比較すれば、3293万人(約26%)減ります。  

すでに空き家率が13%を越えているのに、さらに人口のおおよそ4分の1がこれから消え、インフレによる建築費の上昇は予想されるが、需給面で、「家余り」による不動産「価値」の下落が深刻になるのは明らかです。  

金利上昇」によって、購入意欲が衰え新規住宅建設の勢いは止まるであろうが、「変動金利」などを支払い不能となった人々の物件処分などによる市場混乱は避けられないでしょう。  

そうでなくても、給与の上昇がインフレに追いつかないことによる、ローン支払い困窮者は今後増えるでしょう。

「住宅余剰」が続く中で、物件価格が上昇してきたのは奇妙な現象だが、「金利上昇」によって、そのバブルも崩壊します。  

また同時に、不動産は相続税を中心とした節税目的に多用されてきた結果、財務省は、そのようないわゆる「タワマン節税」を始めとする「節税目的」の不動産取得に厳しい態度をとるようになってきています。  

そして、このような節税の基本的な手法は、「実勢価格」と「(相続税)評価額」の差を利用するものです。

「一物五価」と言われるほど多様な「不動産価格」において「相続税評価額」が「実勢価格」よりも安いことを利用するわけです。  

しかし、いつまでもその状況が続くとは限らず、これから始まる本格的な「家余り」時代において、「実勢価格」が大幅に下げ「相続税評価額」を下回ることもあり得ます。  

そうなれば節税目的の不動産取得はほぼなくなり、さらなる不動産価格の下落を招きます。  

バブル期にもてはやされた「リゾートマンション」は現在、「越後湯沢リゾートマンションは『負動産』から『腐動産』に転落」という状況です。  

都市部の一般居住用マンションやタワーマンションがスラム化し、リゾートマンションと同じような「腐動産」にならないとは言い切れません。

「変動金利」問題は、不良債権の増加という形で金融機関の経営をも直撃し、「かぼちゃの馬車事件」などで打撃を被ったスルガ銀行はむしろ幸運であったかもしれない。

これからやってくる「不動産大乱」の前にアパートを始めとする不良案件を処理できたということです。

「不動産大乱」の時代には、担保物件を処分しようとしても、今までのようにはうまくいかず、伝統的に融資業務に強い同行は債券(金利上昇で価格が下落)への投資をあまり行っていません。

健全であったはずの(変動金利)住宅ローンもこれから不良債権化します。これまで住宅ローンは「安全資産」だとされてきましたが、これから住宅ローン比率が高い金融機関は厳しいかもしれません。  

債券の含み損も含めて大打撃を受ける金融機関と、金利上昇(利ザヤの拡大)によって潤う金融機関の「二極化」が急速に進むでしょう。

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