氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

郵便貯金を放置してたら消えてなくなった!「休眠預金とは別物」のひどい話

郵便局に「満期があるタイプ」の貯金をしていた人にとって、衝撃の事実が進行しています。 満期から約20年たつと、自分のお金が消えてなくなり、二度と引き出せなくなってしまうのです。

自分のお金を長年放っておくと消えてなくなってしまうとは、にわかに信じがたいものです。 この衝撃の事実はどういうことなのでしょうか。

高齢な人に該当者が多いと考えられるので「貯金の消滅」を防ぐことをお勧めします。 郵便局に預けたお金が一定期間経過後に消滅するルールは「旧郵便貯金法」を根拠としています。

2007年10月に郵政民営化が行われ、郵便貯金の業務は「ゆうちょ銀行」が担うようになりました。 民営化前に預けた一部の郵便貯金はゆうちょ銀行には引き継がれず、旧、郵便貯金法が適用されます。

郵便貯金法では、満期から20年2カ月を経過すると権利が消滅し、払い戻しができなくなると定めています。

民間銀行の普通預金に当たる「通常郵便貯金」は、ゆうちょ銀行が引き継いだため、権利が消滅することはありません。

また、民営化後に預けた貯金も同様で、権利は消滅しません。 払い戻しが受けられなくなる郵便貯金は、「満期があるタイプ」です。

満期が過ぎている貯金を使わずに放置する人っているの?と思う人もいるかもしれませんが、使うきっかけがなかったりすると、そのまま預けっぱなしのケースは結構あります。

実際に「20年2カ月」が経過し、自分のお金が消えてしまった人も少なくないのです。 利用者が多かった「定額貯金」を例に見てみましょう。

定額貯金は、6カ月間の据え置き期間を過ぎるといつでも払い戻しができ、長く預けるほど適用金利がアップします。

また、預入期間は最長10年という使い勝手の良い商品です。 金利水準が高かった1990年9月から91年7月までの適用金利は、預入期間3年以上で6.33%でした。

しかも、半年複利と有利であったため、当時かなりの人気を集めていました。

仮に90年9月に100万円を定額貯金に預けたAさんという人がいたとします。 100万円は、10年後に元利合計(税引き前)で約186万円!

今となっては考えられない高金利です。

特に使い道がなかったので放っておいたところ、報道で「権利の消滅」を知りました。 驚いて通帳を確認すると、満期から今年で23年経過しています。

慌てて郵便局に問い合わせをすると、民営化前の貯金を管理する独立行政法人が、権利が消滅する2カ月前に「権利消滅のご案内、催告書」を送付しているはずだと言われました。

しかし、Aさんは90年の預け入れ当時から、3回引っ越しをしていて、郵便貯金の届け出住所の変更をしていませんでした。 このため催告書は届かず、権利消滅を知ることができなかったのです。

満期から20年2カ月後の20年11月に、権利が消滅していたことを今年知りました。 利息のみならず、元金も自分のお金ではなくなり、1円も引き出すことができなくなったのです。 Aさんは、どこへ引っ越しをしても近所には郵便局があるお金を引き出したいときにはいつでも下せると安心していました。

だから、住所変更は重要なことと考えていなかったといいます。 何より、お金の預け先は国という安心感を持っていたので、権利消滅の事実に憤りを感じています。

こんなAさんのような目に遭っている人が、多く出てきてしまっているのです。 朝日新聞の報道によると、21年度は過去最高の457億円の貯金が消えたとのことです。

そして、催告書の8割が貯金した本人に届かなかったようです。

かなり多くの人が、「郵便貯金が消えてしまう」事実を認識していなかったのでしょう。 場合によっては消えてしまったことにすらいまだに気付いていない人も多いのかもしれません。

民間銀行の預金を長期間放置するとどうなるのでしょうか。

結論から言うと、「消えてなくなる」ことはありません。

10年以上入出金がない口座の預金の一部は、休眠預金となり銀行から預金保険機構に移されます。 放置された預金口座のお金を社会のために、有効活用する観点から、18年に「休眠預金等活用法」が施行されました。

「社会のために有効活用」とは、具体的には、子どもおよび若者の支援、日常生活を営む上で困難を有する人への支援、地域活性化等の支援等に関わる活動を行う民間公益活動に助成金を出したり、貸し付けをしたりすることなどです。

休眠預金になったとしても権利は消滅せず、預金者が請求すれば払い戻しを受けることができます。 この点が旧郵便貯金法と異なるのです。

また、最終取引日から10年経過したとしても残高1万円以上で「通知状(休眠預金になることを知らせる案内)」が届けば休眠預金になりません。

引っ越しをしたとしても、住所変更の届け出を出しておけば休眠預金にならないのです。 住所変更は自衛の策と覚えておきましょう。

一方、旧、郵便貯金法では、満期から20年2カ月経過で権利が消滅します。

引っ越したため、催告書を受け取っていないといっても通用しません。 この違いは何なのでしょうか。 ちなみに、07年10月の民営化後のゆうちょ銀行に預けた貯金は、休眠預金等活用法の対象です。

満期から20年2カ月経過した後に権利の消滅を知った場合、消滅取り消しの交渉は可能なのでしょうか。

民営化前の郵便貯金を管理する、独立行政法人の権利消滅の取り消し基準は次のようなものです。

・物事の理解や意思表示の能力が不十分

・事故、疾病、災害などにより催告書を認識できず払い戻しができなかった

・急な海外転出や、心身の疾病、傷害により国内転居の届け出が困難だった

・上記のほか、真にやむを得ない事情があった

取り消しの申し立てには、原則として診断書や入院証明書、介護保険の要介護認定通知など、払い戻しや転居の届け出ができなかった事実を確認できる証明書が必要とあります。

証明書がそろって申し立てができたとしても、審査があるので権利消滅の取り消しが認められるかどうかは、審査の結果次第です。

このように、権利消滅の取り消しは簡単なことではなさそうです。

かなり納得のいかない措置だといえるでしょう。 防衛策としては、消滅期限が来る前に、払い戻し手続きをするしかありません。

満期を迎えてからも、そのまま放置している古い郵便貯金がないか、改めて通帳などを確認しましょう。 高齢者は郵便貯金に絶大な信頼を置いている人が多いです。

いつか子どもや孫に残そうと、そのまま大事に持っている郵便貯金があるかもしれません。 帰省の折には、親の通帳確認も忘れずにやっておくことをお勧めします。

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