氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

これから「投資しないリスク」にさらされる日本人

日経平均株価が、33年ぶりに3万3000円台を回復させるなど、株価を大きく上昇させています。アメリカの大手投資銀行モルガン・スタンレー」も、最新のレポートで「日本株のロング(買い)」を推奨しています。

著名投資家のウォーレン・バフェット氏の日本株追加投資のニュースが海外投資家の日本株買いにつながっているという説が多いですが、30年以上にわたって回復できなかったのもまた事実です。

一方で、アメリカやヨーロッパなどの金利が上昇する中で、日本の中央銀行である日本銀行だけが金融緩和策を続けており、ゼロ金利政策がいまも続いています。

その影響で、円はどの通貨に対しても大きく下げており、1ドル=140円前後の円安が続き、日本国内でもここにきて急激なインフレが襲っています。

こうした事情から、注目されているのが「投資しないリスク」で、日本人の多くは価格変動リスクのない預貯金に資産を預けるという人が多いのです。

日本銀行の資金循環統計でも、日本の家計資産は2023兆円(2022年12月末現在)に達しており、そのうち現金・預金は1116兆円、株などの証券が311兆円、保険・年金・手形保証等が536兆円、その他59兆円となっています。

全体の50%以上が現預金となっており、国際比較するとかなり異常な数値です。

2022年3月末の数値で日米欧を比較してみると、その違いは一目瞭然です。

⚫️日本…… 54.3%(4.5%、10.2%)

⚫️アメリカ…… 13.7%(12.6%、39.8%)

⚫️ユーロエリア……34.5%(10.4%、19.5%)

現預金の中身だが、そのうちの「現金」いわゆる「タンス預金」は2022年12月末時点で「109兆円」と過去最高です。預金も、普通預金などの「流動性預金」が585兆2506億円(2021年12月末)、定期預金などの「定期性預金」は392兆1217億円(同)と大半を占め、ドルなどの「外貨預金」は7兆610億円しかありません。

日本人が、投資信託や株式といったリスク商品に流れず、現金や預貯金にこだわる背景には、バブル崩壊でひどい目にあったことがトラウマになったようです。

バブル時代に、NTT株の放出でおいしい思いをした投資家が、株価急騰の波に乗って投資を始め、その後1989年の大納会でピークをつけて以降、日本株は30年以上にわたって最高値を更新していません。

株価を上げるためだけに始めたような「アベノミクス」でも、最初こそ外国人投資家の買いで株価は上昇したものの、その後もまた低迷を続けてきました。

株価の低迷は、投資信託などの個人投資家が運用に使える金融商品にも悪影響を与え、投資することに臆病な国民性ができています。

実際に、日本の株式市場の個人投資家の比率は1970年には4割近かったものの、2022年3月末には16.6% (日本証券業協会)となっており、アメリカやヨーロッパと比べると低迷しています。

その反面、日本の株式市場は外国人投資家の比率が3割を超えており、外国人投資家による売買で、株式市場は常に不安定な相場を余儀なくされてきました。

30年近くに及ぶデフレ経済では、現金や預金だけで運用しても資産価値が下がらず、むしろ“お金”の価値が上昇していく時代でした。

そもそも、日本人の多くは投資のリスクをとっていないように思っている人が多いですが、しかし、実際はさまざまなところで投資のリスクを強いられています。

たとえば、年金生活者は年金の積立金を管理している「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、これまで国民が積み立ててきた資金を国内外の株式市場や債券市場に投資しており、もしいま世界の株式市場が大暴落すれば、日本の年金資金もあっという間に大きく目減りしてしまいます。

その投資比率は厚生労働大臣の指示による中期計画で決まっており、現在は国内債券、外国債券、国内株式、外国株式をそれぞれ4分の1ずつに分散して運用しています。

自分たちの年金資金の半分は海外の投資商品で運用されています。

とりわけ、価格変動の激しい外国株式に資産全体の25%を投資しており、加えて円高になると元本割れも起こす可能性のある「為替リスク」もあります。

また、会社員の勤務先で「確定拠出型年金(DC)」を導入していれば、好むと好まざるとにかかわらず、賃金の一部をリスクのある金融商品で投資しているはずです。

確定拠出型年金は、退職金を自分で運用していくシステムで、いつの間にか日本人の多くは自分の退職金で運用のリスクを強いられています。

日本人の多くが預けている銀行も、さまざまな形で、海外の金融商品に投資を行っており、為替市場の変動にも大きく左右されるし、当然、アメリカの株式市場や債券市場にも左右されます。

1929年の大恐慌のような状況になれば、年金や銀行預金も危ういということです。

コロナ後の経済の変動でわかったことが、日本もずっとデフレではなく、インフレになる可能性があることを皆が知ったことです。

日本では急激な円安が進み、資源や食料品を海外からの輸入に依存しているため、日本のインフレは今後も続くと懸念され、賃金も同時に上昇して人々の暮らしは好転するのではないか、と思われがちですが、日本では約3分の1が高齢者であり、賃金上昇の恩恵を受けないグループが大きく存在しています。

預貯金を取り崩して生活費の足しにして生活する人が数多く存在するということです。

日本銀行ゼロ金利政策=大規模金融緩和を取り続けている以上、預貯金からの利息収入は期待できず、国内外の株式市場や海外の高い金利金融商品に投資するしかありません。

為替が急激に円安に振れて、アメリカや欧州が経験した年10%前後のようなインフレ率になったときに、日本の「預貯金信仰」は崩壊することになるでしょう。

金融庁などが推し進めてきた「預金から投資へ」といった流れは、一向に改善される気配がなく、33年ぶりに日経平均株価が値を戻しているとはいえ、個人投資家による買いが旺盛になっているわけではなく、これまで同様に外国人投資家による買いが株価を押し上げているだけのようです。

投資への理解度が不足している日本の国民性が「投資行動」を邪魔していると言わざるをえません。

投資の基礎知識については、金融庁の「投資の基本」というホームページでは、「理屈ではわかっていてもできない」ということです。

最近になって、高校の家庭科の授業に金融教育がカリキュラムとして導入されたものの、圧倒的に遅すぎました。

さらに、親の世代も含めてお金を話題にすることを遠慮する価値観が定着しているのも大きなマイナスです。

言い換えれば「失敗しない」あるいは「失敗しても最小限のダメージ」で投資をスタートさせる方法がいいのかもしれません。

そこで、投資の初心者でも最小限の失敗で済むポイントをいくつかピックアップしてみよう。大きく分けて次の4つが考えられます。

① 投資用の特別勘定用口座を作る

生活にまったく影響しない程度の資金を別勘定にして、その金額の範囲内で株式投資投資信託、金投資といった預貯金以外の金融商品に投資してみることです。

たとえば、10万円だけ別勘定にして、株式に投資するのもいい。すべて失敗してなくなったら、自分には向いていないと判断してやめればいい。

② インデックス連動型投資信託ETFに投資する

株式投資投資信託に投資するには、個別銘柄を選別しなければならないが、投資の初心者にはハードルが高く、平均株価などの「指数」に連動する「ETF(上場投資信託)」や投資信託の一種である「インデックスファンド」に投資する方法がお勧めです。

たとえば、日経平均株価指数やTOPIXといった日本の株価指数に連動する商品、あるいは「ニューヨークダウ」や「S&P500」「ナスダック指数」といったアメリカの平均株価に連動する商品がいいです。

③余裕があれば「積立投資」でとりあえず数年続けてみる

投資にかかわるリスクで最も大きいのは「価格変動リスク」だ。株価や為替、金といった市場価格は、常に変動するため、売買のタイミングを計るのが難しく、お勧めは積立投資をすることで、この価格変動リスクを抑える投資法です。

たとえば、毎月金を5000円ずつ買っていく純金積立、S&P500指数のETFを毎月一定額ずつ積み立てていくなどなど、方法は意外と数多いのです。

ドルコスト平均法」という投資方法ですが、長期間であればあるほど、リターンは大きくなっていきます。

日経平均株価のように数十年にわたって低迷するものもあるので、投資環境の変化はきちんと見定めていく必要があります。

④借金をして投資をしない!

株式投資信用取引や為替のFX投資など、いわゆる「てこの原理」を応用した「レバレッジ商品」には投資しないことです。

これは不動産投資も同様で、ローンでアパート一棟買いといったリスクの高い不動産投資もタブーです。投資の初心者は、限られた金額の範囲内で投資になれる必要があります。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村