氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「孤独が人間を死に至らしめる」本当の理由

孤独感があると痛みに敏感になり、免疫系の働きが抑制され、脳機能が低下し、睡眠の質が悪くなり、すでに孤独にさいなまれていることによる疲労感や苛立ちがさらに増します。

最近の研究によれば、高齢者にとって孤独感は肥満の2倍健康に悪く、慢性的な孤独感は1年あたりの死亡率を26%も高めます。

英国の「環境リスクに関する縦断的双生児研究」は最近、成人期初期における孤独感と、体調不良やセルフケアの関連を報告しました。

今も継続中のこの研究の被験者は、1994年と1995年にイングランドウェールズで生まれた2200人超で、彼らが18歳のとき、どのくらい孤独だと感じているかを尋ねると、孤独感が強い被験者ほど、メンタルヘルスの問題を抱えたり、健康リスクの高い行動をしたり、ストレスに対して良くない対処法をとったりする傾向が見られました。

加えて、現代社会には孤独がはびこっており、問題はさらに深刻化しています。

近年の統計データも、注目すべき事実を示しています。

世界各地の5万5000人を対象にしたオンライン調査によれば、全年齢層の3人に1人が頻繁に孤独を感じています。

最も孤独を感じているのは16~24歳で、40%が「頻繁、または非常に頻繁」に孤独を感じている。孤独を感じている人は生産性が低く、離職しやすいため、英国では孤独がもたらす経済的損失が年間25億ポンド(約34億ドル)以上になっていると推定され、孤独担当大臣の設置につながったのです。

日本では、2019年の調査において、成人の32%が「来年はほとんどの時期を孤独に過ごす1年になる」と予想していました。

米国の2018年の研究によれば、成人の4人に3人が中程度から高程度の孤独感を抱いています。

2020年には、社会的孤立が原因と見られる死者の数が16万2000人と推定されています。

孤独感の蔓延を食い止めるのは難しい。孤独感が生まれる要因は、人によって異なるからで、孤独感は主観的な体験なので、一人暮らしかどうかといった単純な指標では測れません。

配偶者やパートナーがいて、友人もたくさんいるのに孤独を感じている人もいれば、一人暮らしをしていて親しい人が数人しかいなくても、深いつながりを感じている人もいます。

人種や階級、性別に関係なく、孤独感は人間関係の理想と現実のギャップの間に存在しますが、孤独感が主観的な体験ならば、身体にとってそれほど有害なのはなぜでしょうか?

人類は集団行動を前提として進化し、社会的行動を促す生物学的プロセスは、人を守るためのものであって、害を与えるものではありません。

孤立していると感じると、身体と脳は孤立状況を生き残るためのしくみを発動させます。

5万年前、単独行動は危険で、川のほとりの部族の集落を1人で離れると、ホモ・サピエンスの身体と脳は一時的にサバイバルモードになります。

1人きりで危険を察知しなければならないため、ストレスホルモンの分泌量が増え、警戒心が高まります。

家族や部族と離れて1人で眠るときは、睡眠が浅くなり、肉食動物が近づいてきたら、気配にすばやく気づいて飛び起きなければならないから、夜も覚醒している時間が多かったはずです。

例えば、ホモ・サピエンスが何らかの理由で1カ月間1人きりで過ごすことになった場合、体内では前述のプロセスが継続的に作用し、それが絶え間ない不安へと変わり、心身にダメージを与え始めます。

現代人が言うところのストレスでヘトヘトの状態になり、このホモ・サピエンスは孤独感を抱いていたはずです。

今日でも、孤独感は同じように作用します。

孤独感とは身体の中で鳴り響く警報のようなもので、初めのうちは、警報が役に立つ面もある。問題を知らせてくれるしくみは必要です。

しかし、来る日も来る日も火災報知機が1日中鳴り続ける家で暮らすことを想像すれば、慢性的な孤独が密かにどんな影響を与えているかがわかります。

孤独感は、心身バランスに影響を与える人間関係のあり方の1つにすぎません。人間関係という氷山の一角であり、水面下にははるかに多くのピースが存在しています。

今では、健康と社会的つながりの関係を明らかにする研究が盛んに行われ、健康と社会的つながりの関係は、物事がもっと単純だった時代、ヒトという生物種の起源までさかのぼります。

人は、愛、つながり、それから帰属感を必要としますが、現代人は複雑な社会の中で生きており、だからこそ、この基本的欲求をどう満たすかが課題になります。

米国人は2018年にテレビ、ラジオ、スマートフォンなどのメディアに1日11時間も費やしていたという驚きの事実と比べてみてみると、40歳から80歳までの間に、起きている時間の18年分を使っていることになり、18歳から80歳までの間なら、28年分です。

好きな人や愛する人と実際に過ごしている時間の長さは、見過ごされることが多いという事実を明確に示すのが目的です。

いくら仲がいい友人でも、四六時中一緒にいる必要はありません。

実際には、たまにしか会わないからこそ、会うと元気になれるのかもしれません。

それに、何ごとにもバランスが肝心で、たまに会うのがちょうどいい相手というのもいて、その場合はたまに会えば十分なのです。

しかし、たいていの場合、会えば元気になれるのに、十分に会えていない友人や親戚がいるものです。

あなたは、いちばん大切な人とともに十分な時間を過ごしているでしょうか?

もっと一緒に過ごせたら、お互いにとってプラスになるような人はいるでしょうか?   

活かしきれていない関係が私たちの人生の中にすでに存在していて、じっとあなたを待っています。

最も大切にすべき人との関係にほんの少し気を配るだけで、気分や生き方に大きな変化が起きる可能性があります。

スマートフォンやテレビのほうが魅惑的に見えたり、仕事に追われて手が回らなかったりするせいで、うっかり宝の持ち腐れになっている人間関係があるかもしれません。

被験者のうちの80代の夫婦に8夜連続で電話をかけた。夫と妻に個別の対面調査を行い、日常生活に関するさまざまな質問をしました。

調査の目的は、その日の体調や、活動内容、心の支えが必要だと感じたり、そうした支えを得たりする機会があったかどうか、配偶者や他の人々と過ごす時間の長さを知ることでした。

他者と過ごす時間という単純な尺度が非常に重要であることがわかり、この尺度は日々の幸福とはっきり結びついていたからです。

誰かと一緒に過ごす時間が多かった日のほうが幸福度も高く、パートナーと過ごす時間が長いほど、幸福度が高かったのです。

これはすべての夫婦にも当てはまっていましたが、とりわけ仲睦まじい夫婦に顕著でした。

高齢者はたいていそうですが、被験者の男女も身体の痛みや健康問題に日々悩まされており、身体の痛みが強い日は気分も落ち込んでいました。

だが、仲睦まじい夫婦は、気分の浮き沈みがいくぶん緩やかでした。

身体の痛みが強い日でも、幸福度があまり下がっていなかったのです。

幸福な結婚生活のおかげで、痛みの強い日も彼らの心は守られていました。

直感でも理解できることかもしれませんが、この研究結果から、非常に強力でシンプルなメッセージが見いだせ、他者との交流の頻度と質こそ、幸福の二大予測因子です。

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