氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

コツコツ働いていれば大丈夫と信じる人たちを待ち受ける悲劇

大学卒業後の就職時には、“老後”など、はるか遠い先のこととしてリアルに想像もしていません。

「いずれ、定年も老後も来る。だけどその頃には、ちゃんと年金も退職金ももらえるし、普通に人生を全うできるだろう」と無意識に思っていたのかもしれません。

しかし今、第二の人生をたっぷり楽しむ夢の引退生活が実現可能ではないことに、薄々気づかれているでしょう。

延びた寿命分、かかる費用を賄うために、効率的な資産運用を早めに開始することはもちろんですが、それ以上に大事なのは、生涯働き続けられるスキルを身に付けることです。

このどちらか、あるいはその両方を同時に進めることが一番のお勧めです。

 

 

もっとも今の60代、70代は、昔と比べて若々しく、「まだまだ現役で働きたい」方も多くいるでしょう。

そういう人にとっては、むしろ「老後も働く」前提の社会は、ウェルカムなのではないでしょうか。

ただし、ここで一つ、大きな壁が立ちはだかります。それは「70歳を過ぎた人を雇用してくれる会社は、ホワイトカラーの仕事では非常に少ない」という大問題です。

「定年退職してしばらくは悠々自適な生活を送っていたけれど、そろそろ飽きてきたから、再就職口でも探すか」と、求人情報をくまなく探しても、就きたい職が見つかりません。

どこの職場も年齢制限を設けており、65歳過ぎて見つかるのはビルの清掃やマンションの管理人といったものだけ……という話も聞きます。

もちろんどれも大切な仕事です。会社員を退職した後、マンションの管理人として第二の仕事を持ち、「若い世代や子どもたちと接する毎日が楽しいよ」と顔をほころばせる人もいます。

けれど、「俺は部長まで勤めあげたんだ。定年退職後もオフィスワーカーとして、培ったスキルを活かしたい!」という場合は、どうすればいいのでしょうか。

2021年9月、メディアやSNSに、「45歳定年説」という衝撃的なワードが流れました。ことの発端は当時のサントリーホールディングス新浪剛史社長が、経済同友会セミナーで、「日本が三流国に落ちる前に、45歳定年制の導入を!」と発言したものでした。

この言葉が「社員は45歳で辞めろ!」という意味に捉えられ、SNS上でも悲鳴と怒号が飛び交いました。

「一生懸命会社に尽くしてきた人間を、あっさり切り捨てるのか!」「経営者のエゴ丸出しだ!」あまりの社会的反響の大きさに、新浪社長も後日トーンダウンし、「定年や首切りをするということではない」と釈明に追い込まれました。

しかしこの言葉は、非常に誠実、かつ真っ当に、日本の雇用状態の現実を表したものです。

実際に、45~50歳以上の社員は、辞めてもらっても構わないと考える経営層が、とても多いのです。  

その年齢になると、もはや出世争いは終わっており、出世の階段を昇っていく以外の残された大半の人は、もはや会社にとって“要らない人”あるいは“コスパが悪い人”になっているからです。

自分は若くて健康、どんな環境でもがむしゃらでやっていけると豪語していた若者も、65歳を過ぎたら、もはや過度の無理や無茶、新しい挑戦には後ろ向きになるものです。

 

 

そろそろ体にも不調が出始める歳になって、「さあ、新しい職場を探してください」と世間に放り出される怖さは、生半可なものではありません。

むしろ手遅れ状態のそんな未来、恐ろしすぎて想像したくもありません。

45歳くらいで第二の人生に踏み出させてくれたほうが選択肢が広がるでしょう。

そもそも「45歳」という年齢は、個人差はありますが、まだまだ体力も気力もあるし、新しいことへの柔軟さもあります。

しかも社会経験もある程度積んできているので、周囲からすれば安定感もあり、世の中の転職市場もまだ閉じておらず、異ジャンルへ転職できる可能性が残っています。

そんな状態がだいたい「45歳」くらいなのです。

年功序列型の日本企業では、高パフォーマンスを発揮しない社員でも、ある程度の年齢に達していれば、それなりの給料を払い続けなくてはなりません。

かといって、明確な理由なく減給や左遷、解雇などもできません。日本企業では、被雇用者はかなり手厚く守られています。

しかし、その仕組みの弊害は、雇用側が、パフォーマンスを発揮しない古参社員にも高い給料を払い続けることで、若くてやる気のある新入社員の採用や若手社員の昇給に弾みがつきません。

一方の中高年の被雇用者は、必至で職場にしがみつくことで、外の世界を知らずに高齢になっていきます。

現在、日本企業の94.4%は、定年制を設けていますが、問題はその年齢です。

厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、2017年時点で定年を「65歳以上」に定めている企業はわずか17.8%でした。

しかし、5年後の2022年には24.5%にまで上昇しています。

さらに政府は定年年齢の引き上げや、企業の定年制を廃止するよう推奨もしています。少子高齢化が進む日本では、高齢者もなるべく長く働いてというのが、政府の切実な願いなのです。

自分が働きたいと思えば65歳でも70歳でも働けるようにいずれなるはずです。自分が定年を迎える頃には、企業も高齢者雇用に積極的になるだろうと思った人は注意してください。

それは、肝心の企業は本心では「高齢者を雇い続けたくない」と考えているという事実です。

自分が経営者だったらと想像すると、事業継続にかかる経費の中で人件費は大きな部分を占めます。

できるだけ若くて行動力もあり、スポンジのように新しいことを吸収し、どんどん成果を出してくれる素直な人材が欲しいものです。一方で古参の従業員も雇い続けるとなると、なかなか強気で新規採用には踏み出せません。

 

 

そうした中で、企業があえて高齢者を雇い続けるメリットは、ないのが実情です。

たしかに勤続年数の長い社員は、社内事情や業界情報にも詳しいかもしれません。長年培ってきた専門知識や熟練の技、百戦錬磨の経験値、加えて若者にはない豊かなコミュニケーション能力や調整力なども、大いなる強みになるでしょう。

しかしこのVUCAの時代には、フレッシュな発想や柔軟な思考力、アイデア力を吸い上げないと、事業の発展は見込めません。

ましてや65歳で、経験社数がたったの1社、しかもそれまでの役職に安穏として、知識のアップデートも怠ってきたとしたら……。

価値観が凝り固まっている人材だと敬遠されても、仕方ありません。

いくら政府が提言をしても、「ならばわが社で雇い続けましょう」と前のめりにはならないはずです。

あえてバッサリ言ってしまえば、正直、企業の人事側からすると、コスパの悪い人材だと思われている可能性さえあるのです。

そもそも政府の提言はあくまで“推奨”であり、義務ではありません。高齢者の雇用延長や再雇用をしなくても、企業には何のペナルティもないのです(2025年から65歳までは雇用確保は義務、70歳までは努力義務)。

今後もブルーカラーの仕事はニーズがあり続けるでしょう。ビルの清掃、スーパーのレジ打ち、工事現場の警備員などです。

しかし、知的労働の領域で、つまりホワイトカラー層の高齢者を今後も継続雇用していく企業は、これからも急増することはないでしょう。

希望を実現するためには、「雇用」という概念へのマインドセットを根本的に変える必要があります。

これまでは「企業」の下に、「個人」が大勢働いていました。今後は「企業」と「個人」は対等の立場に並び、選び・選ばれる関係になっていくはずです。

「企業に何をしてもらえるか」ではなく、「企業に対して自分個人は何ができるのか」という意識を持つことからまずは始めてください。

当然「できること」が増えれば、「企業」からの信頼や報酬は高くなります。

しかし反対に、「できること」が増えなければ……、あなたは「よりできる人」と代替可能な存在であることを、自ら宣言していることになってしまうでしょう。

「コツコツ実直に働いていれば、自分は大丈夫」という根拠なき自信と安心感を、どうぞ捨ててください。

「課題は常に上から提示され、〈ToDoリスト〉をこなしていれば大丈夫」という、おんぶにだっこの状態の会社員マインドも捨ててください。

「働いた時間で給料をもらう」という感覚、「既存領域で成果を出していれば大丈夫」という過去の実績に頼る感覚も、どうか思い切ってゴミ箱に捨ててください。

多くの日本企業はもはや「終身雇用制度」を継続する気はないのです。

たった1社に骨をうずめる覚悟でいても、企業のほうがいずれ、「外の世界で第二の人生を描きませんか」と、肩をトントン叩いてくる時期が訪れるはずです。

そうなる前に、「今の会社を出ても働けるスキル」を見出し、「ポータブルスキル」という名の、生涯駆使できる武器を身に付けてほしいのです。

そう、「これが自分のスキルだ!」という武器は、企業に依存せずに自由に生きていくための足掛かりになります。

これからの時代は、一方的に企業に頼るのではなく、「個人」の力で人生を泳ぎ、「仕事」を獲得していくスキルとマインドが求められていきます。

そのための具体的ノウハウも、本書では詳しく説明します。

これまでは組織が人材を選んできました。これからは、一部の選ばれた人材だけが、組織に選ばれる時代です。

「この会社をクビになったら路頭に迷う」と悩みながらストレスフルに働く毎日より、「いざとなったら、この会社を辞めても、どこでも食べていける」という自信を持ちながら、毎日を過ごしていけるとしたら……、どのように感じるでしょうか? 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村