氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

給料が安すぎて子どもを産ませない国

「今、抱えている不安」には、雇用や収入の不安と保育園問題があります。

経営者を向いた政治が長く続くなかで、雇用の規制緩和が繰り返されて、企業は非正規雇用を増やして利益を確保するという麻薬のようなうま味を覚えてしまったのです。

雇用については、非正規雇用が増えたことによる歪が少子化となって現れています。

バブル崩壊前の1990年の労働者に占める非正規雇用の割合は約2割だった。それが今では約4割という異常な事態に陥っています。

数ヵ月単位、1年単位で雇用契約が結ばれ、いつ失職するか分からないなかで、子どものいる生活を考えることができるでしょうか。

 

 

非正社員の増加は、正社員にとっても無関係ではなく、正社員も人件費削減の煽りを受けて、「非正社員よりいい」「嫌なら辞めろ」「不況だから働けるだけまだいい」というプレッシャーのなかで労働条件の悪化を受け入れざるを得ない状況です。

働き方改革の一貫で、残業時間の上限規制が緩和され、高所得者層も狙われ、高度プロフェッショナル制度が導入されました。

高プロ制度とは、年収1075万円以上で、金融界で働くディーラーやアナリスト、経営コンサルタントなどを対象に、年間104日以上の休日確保や健康管理が行われていれば、労働基準法の労働時間、休息、休日や深夜の割増賃金が適用されなくなる制度です。

これでは、究極の自己責任の世界で生きることになり、残業時間の上限規制が緩和され、副業が推奨されるなど、正社員であっても安心して子どもを持てると思える労働環境にありません。

規制緩和を行ってきた自民党の重鎮でさえ「正社員で9割を占めるようでなければならない」と言及しています。

正規雇用の比率が高い小売り業のなかで業績を伸ばし続けている企業は正社員比率が高いことも珍しくありあmせん。

これまで行ってきた雇用の規制緩和が失政だったと認め、「格差是正法」のような新法を作って、雇用や収入が安定する手立てを打たなければ、少子化は止まらないでしょう。

働くすべての人に社会保険、特に労災保険の適用が必要で社会保険料の負担や固定費増を嫌う企業は、法制度の網の目をすり抜けます。

業務請負契約にすることで社会保険の加入が避けられるため、ウーバーイーツなどをはじめ、業務請負で働く人が増えていますが、労災保険がかけられないまま事故に遭えば、失うものが大きいのです。

働くうえでの"足元"が揺らいでいるようでは、倒れないでいるので精一杯です。

安定した雇用や社会保障がない不安定な地盤のうえでは、個人も経済も成長できないのです。

正規雇用の増加が日本の成長を止め、世界の賃金上昇から置いていかれた現実が、雇用施策の失敗です。

 

 

労働で対価を得る人全てが社会保険に加入できる仕組みを作ることでセーフティネットを作りつつ、正社員を増やすことです。

少子化対策で忘れてならないのが、事実上の「妊娠解雇」が依然として多いことです。連合の調査では、第一子妊娠を機に退職しているのは正社員で5割、非正社員で7割に上ります。

現在、平均年収を得ていたとしても中間層が沈みつつあり、いわゆる"普通"の生活が難しくなるなかでは共働き収入は必要不可欠です。

生活を維持するため、あるいは仕事のやりがいを失わないために妊娠を躊躇してしまう労働環境にあります。

労働基準法男女雇用機会均等法によって、妊娠や出産を理由にした解雇、左遷や降格処分などの「不利益な取り扱い」は禁止されています。

法制度があるにもかかわらず、妊娠解雇が横行することに歯止めをかけなければなりません。

少子化を招くもう一つの「今、抱える不安」は、孤立する育児環境や保育園の問題によるところが大きいです。

妊娠を望む時期から子育てまで切れ目ない支援を拡充する必要があります。核家族化が進み、雇用の分断が社会の分断をもたらすなかでは、「子どもをちょっと見ていて」と気軽にいえる人がいなくなり、育児を辛くさせています。

シングルマザーシェアハウスのように、近所の人と気軽に交流できる場を作ることが望まれています。

育児で孤立しないよう、仕事を辞めていても、育児休業中でも、フリーランス個人事業主でも、保育園に預けやすくできるよう入園・利用の要件を緩和し、保育園で気軽に育児相談ができるようにすることも必要です。

そして最も重要で、待ったなしの対策は、保育の質の向上で、保育園が利用しやすくなったとしても、保育士による園児への虐待、不適切な保育、ケガや死亡事故などが起こっていては、本末転倒です。

不適切保育が散見されるなか、保育の質の向上のための急務の課題は、保育士の処遇改善と最低配置基準の引き上げをセットで行うことです。

 

 

現在、私立の認可保育園では運営費を指す「委託費」の大半を占める人件費を他に流用できる「委託費の弾力運用」という制度が国から認められているため、本来は保育士にかける人件費が経営者の報酬、株主配当、事業拡大などに回ってしまっているのが現状です。

委託費のうち8割以上が人件費を占め、実際には保育士の賃金が低く抑えられているケースが少なくないのです。

そのうえ人員配置をギリギリにすることで、人件費支出を4~5割に抑えて利益を確保する事業者が散見されます。

これではいくら国や自治体が処遇改善費を出しても、バケツの底に穴が空いたまま水を注ぐようなものです。

公費で出ている人件費をきちんと人件費に使う規制を行うだけで、保育士の処遇は大きく改善します。

公的な保育園の運営費は税金がベースとなっているのだから、使途に制限をかけるのは当然のことです。

自民党政権下で委託費の使い道が自由になりすぎ、今や年間収入の4分の1も流用することができ、保育園で正しく税金が使われたのか、少なくとも園ごとに運営費の使途を公開するべきです。

それと同時に、長年問題視されてきた保育士の最低配置基準の引き上げです。認可保育園では、0歳児3人に保育士1人(「3:1」)、1~2歳児は「6:1」、3歳児は「20:1」、4~5歳児は「30:1」となっています。

4~5歳児の基準は、戦後まもなく決められたまま、約70年と変わっていません。

そして、「将来の不安」の解消も同時に行わなければなりません。

政治家は、分かりやすい給付型の「ばら撒き」をしたがる傾向があるが、児童手当の拡充は「ばら撒き」の域を超えないのではないでしょう。

もはや、わずかばかりの児童手当などでは解決できない少子化のフェーズに入っています。

日本は不況を理由に非正社員を増やすことで利益を確保するという、人を大切にしない企業文化を作ってしまい、それが社会全体に及んでいます。

雇用の分断が社会を分断し、少子化をはじめ、日本が沈みゆく一番の原因です。

政治に目を向け、他者に関心を持つことからはじめなければ、少子化が止まることはないでしょう。

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