氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

サラリーマンという仕事はもうなくなる

サラリーマン文化とは、過去の発想を優先し、特定の業務を、決められた方法でこなす働き方と定義できます。

それに大きく影響しているのは、終身雇用と年功序列の雇用慣行でしょう。

経営トップが「終身雇用と年功序列の時代はおわった」と訓示しても、人事報酬体系は旧態依然という企業は多いのです。

背景の一つに、1990年代以降のわが国経済の長期停滞の影響は大きいです。

バブル崩壊後のわが国では、株式など資産の価格が急速に下落し、景気は冷え込んだ。それに加えて1990年代前半から不良債権問題も深刻化しました。

国内の需要はさらに低迷し、経済全体で“あつものに懲りてなますを吹く”というべき過度なリスク回避の心理は強まりました。

 

 

企業はITなど成長期待の高い分野に進出するよりも、既存事業を優先しました。

多くの企業で新しい発想を実現して成長を目指すことは難しくなりました。

日本企業の競争力は低下し、賃金は伸び悩み、人々の成長志向も弱まりました。

業績が拡大していないにもかかわらず雇用は守られているという考えは続き、その結果、わが国経済全体で新しい取り組みを進める機運は高まりづらくなりました。

現在、わが国で働く人は、やりがいを感じづらくなっており、“従業員エンゲージメント調査”から確認できます。

米ギャラップが公表した報告書(State of the Global Workplace: 2022 Report)によると、世界全体の従業員エンゲージメントの平均値は21%です。

仕事に愛着を持ち、モチベーションが高い人の割合は21%と考えればよいです。

データが集計されている129カ国中、わが国の水準は5%の128位です。

アベノミクス”以降、わが国は“働き方改革”を進め、有給休暇の取得率は高まるなど、ワーク・ライフ・バランスは改善したといえます。

しかし、仕事へのやりがいを感じる人は増えていません。

ファーストリテイリングはその状況から脱却し、個々人がより強く成長を志向する環境を整備して成長力を高めようと、より強く取り組み始めました。

 

 

企業の成長には、構成員である個人が自分の得意な分野で、プロフェッショナルとして能力を高めることが必要です。

さらに、組織としてのグローバルに収益性や成長性などの感覚を磨き、競争優位性の向上に取り組むことが必須です。

それが会社を強くし、長期の存続を支えるため、ファーストリテイリングは、これまでのわが国の年功序列型の雇用の常識を打破しようとしています。

成長を実感することができれば、人々のやる気は高まり、世界の主要国の中で最低レベルにあるわが国の“従業員エンゲージメント(仕事への愛着、情熱、満足感など)”の向上につながるはずです。

他のわが国の主要企業でもグローバル共通の報酬体系を導入したり、海外から国内事業に人材を抜擢しやすくしたりするケースが増えてきました。

そうした企業の増加は、わが国労働市場の流動性向上を支え、経済の実力向上にも寄与するでしょう。

ファーストリテイリング以外にも、雇用制度を変革し、よりよく個々人の成長、業績貢献に報いようとするわが国企業は徐々に出始めました。

例えば、ソニーグループでは先端分野の一つである人工知能(AI)分野などで賃金水準を改めています。

トヨタ自動車富士通日立製作所でも本体とは異なる賃金体系の導入や、国内外の社員を対象とするジョブ型雇用制度への移行が進んでいます。

製品の設計と開発に集中し、生産の多くを外注するファーストリテイリングと異なり、こうした企業はモノを製造します。

それだけ組織は重厚で、わが国を代表するメーカーの雇用などの制度改定は、過去の発想を続けていると成長、生き残りは難しくなるという危機感の高まりを示唆します。

そうした企業が成長力を高めることができれば、わが国経済全体でより前向き、かつ持続的な形での賃金上昇がもたらされる可能性も高まります。

 

 

特に、足許の世界経済では米国の“GAFA”などが主導したサブスクリプションなどのビジネスモデルが行き詰まりつつあります。

その状況下で、本邦主要企業が成長力強化のために報酬引き上げに取り組んでいることに注目したいものです。

世界のネット業界はウェブ2.0から3.0へ大きな転換局面を迎えていることに伴い、新しいチップの製造、メタバースを支える新しいデバイスなど、モノづくりの重要性は格段に高まっています。

米国ではアップルなどが国際分業を進め、ソフトウェアの設計と開発により集中しました。

一方、ハードウェアの製造において、依然としてわが国企業は競争力を維持しています。

そうした強みを高めるために、雇用や報酬の在り方を見直し、個々人の能力向上、実績をより良い形で評価することは不可欠です。

それは個々人により強い成長志向を植え付けるだろう。競争に対応することが難しい人のサポートのためにトレーニング制度なども強化される必要性は増します。

各社の経営トップがあきらめることなく改革を続けることは、わが国経済の成長期待に大きく影響するでしょう。

そうした企業の取り組みは、わが国の労働市場流動性の向上、産業構造の転換などにも大きなインパクトを与えます。

足許、政府要請を背景とした賃上げ動向に注目が集まりがちですが、むしろ個々の企業の成長戦略の一環としてどのように人的資本の強化が図られ、新しい雇用制度が増えるかが注目されます。

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