氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

格差を放置した日本社会に待ち受けるもの

格差社会が進むと、貧困層が増加します。 日本では、格差社会が始まったとされる1980年前後から格差は拡大し続け、貧困率が上昇した結果、厚い貧困層が形成されました。

貧困層が増加する一因は、ひとり親世帯の増加です。 母子世帯数は1985年から30年間で1.5倍となり、2016年には123万世帯となりました。

ひとり親世帯のうち、母子世帯は85%を占めています。 母子世帯での親の就業率はおよそ82%で、その半数以上が非正規雇用労働者であり、平均就労年収は133万円という調査があります(2016年)。

ひとり親世帯の半数以上が、相対的貧困の状態にあるのです。 貧困層が増加するもう一つの要因は、非正規雇用労働者の増加です。

 

 

企業は、解雇しやすく賃金も安い非正規雇用労働者を増やすことで人件費を削減できます。 非正規雇用労働者にとっても自由な働き方ができるので、双方にメリットがあったのです。

しかし、その賃金を含む待遇格差は大きいものでした。 正規雇用労働者が年齢とともに段階的に昇給するのに対し、非正規雇用労働者の賃金はほぼ横ばいです。 その結果、両者の生涯賃金の差は1億円以上という試算もあります。

所得の世帯数分布をみると、平均所得金額はおよそ551万円ですが、平均以下の世帯が6割以上を占めます。 100万円台、200万円台、300万円台の所得層が最も厚く、それぞれ13.7%程度を占めています。(2018年)

雇用形態を基準とした日本の給与体系は、所得格差を大きくする要因となっています。

このように、ひとり親世帯と非正規雇用労働者の増加により、貧困層は増加を続けているのです。 (参照元: ・国における子供の貧困対策の取組について|内閣府 ・平成30年 国民生活基礎調査の概況)

貧困層を含む低所得者層が増加すると、少子化が進みます。

低所得者層は未婚であるケースが多く、その理由のひとつとして、経済的不安から結婚を望む人が少ないことがあげられます。

低所得者の男性が結婚する場合、もし妻が妊娠出産などで離職すれば、夫の収入で妻子を養うことになります。

 

 

家族を持つことで、独身のころと比較して数倍の生活費が必要となるのです。 結婚後は一人暮らしのときよりも広い部屋に引っ越すことになり、居住費も膨らむでしょう。

つまり、結婚したことで生活がより苦しくなる可能性があるのです。 こうした背景から、未婚率が上がり、結婚したとしてもこどもを望まない人も増えています。 また、格差は固定化します。

所得が高い親の元に生まれたこどもは、十分な教育をうけて大人になり、自らも豊かになりやすいです。

一方で、所得が低く貧しい親の元に生まれたこどもは、自らも貧しくなってしまう傾向があります。 塾などに通えなかったり、多忙な親は宿題をみてあげる余裕がなかったりと、富裕層と比べて十分な教育を受けられないからです。

また、経済的な理由から進学する機会にも恵まれないことが多いのです。 このように、格差は世代をこえて引き継がれていき、少子化も続いていくのです。

平均より高所得の場合でも、こどもへの教育費や住宅ローンを抱えて生活に余裕のない世帯が多くあります。

その結果、経済的不安から生むこどもの人数を抑えてしまいます。

また、「結婚するのは当たり前」から「結婚するかどうかは自由」と、結婚に対する考え方が多様化していることも未婚率が高い一因といえます。

少子化が進む背景には、こどもを生み育てるための十分な所得が得られないという大きな問題があるのです。

貧困や少子化により、社会的コストが増加します。その理由は、生産年齢人口(生産活動の中心にいる15歳以上65歳未満の人口)や労働力人口が減ることで、税収が減るからです。

 

 

また、貧困層の人が高齢になったり病気になったりして働いて収入を得ることが困難になれば、生活保護をうけることになるでしょう。

社会保障に関する支出は増加し、社会保障制度の見直しが必要となります。

加えて、非正規雇用労働者は相対的に危険な業務に就くことが多く、正規雇用労働者と比較して労働災害が多いという調査もあります。

時給が低いので生計を立てるために長時間働いたり、いくつかの仕事をかけもったりした結果、体調を崩してしまう人もいます。

しかし、そのような生活を続けたとしても、非正規雇用労働者でいる限り生涯大幅な昇給は見込めません。

キャリアアップのための訓練(支援)も受けられないことが多いため、低所得の状況から自力で脱することはとても難しいことです。 所得格差が是正されないかぎり、社会的コストは膨らみ続けるでしょう。

所得格差や地位格差が大きな社会や集団では、人々の意欲に違いが生じるだけでなく、所得格差や貧困を放置すれば、治安が悪化し、結局、高いコストを払わなければならなくなります。

また、少子化により、生産年齢人口や労働力人口が減ることで、経済成長にマイナスの影響があります。

十分な教育を受けられずこどもたちの能力が開花しない社会に待っているのは、人的資源の不足や生産性の低下、国際競争力の低下です。

例えば、財政悪化により税収が減り、社会保障や国防費の削減が必要となる他、不景気が続けば企業の利益は減り、失業者が増えて国民の所得も減るなどの影響が出ます。

国際的な発言力や資金的な貢献度も低下するでしょう。問題は少子化だけではありません。 日本は、世界のどの国よりも高齢化が進んでいます。

国力低下に対処するためには、少子高齢社会に適応した政策が必要です。

しかし、日本ほど少子高齢化が進んでいる国がないため、見本となる制度が少ないのです。

少子高齢化による労働人口の減少は、高齢者の就労によって補うしかありません。

多様な働き方の実現をめざす働き方改革は、若年世代だけではなく全世代にかかわる取り組みなのです。

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