氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

定年後も会社にしがみつく人たち

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この定年延長の背景にあるのは、「70歳就業法」で2021年4月から、従業員に対する70歳までの就業機会の確保が努力義務となり、2025年には65歳定年制が完全義務化されることが影響しています。

少子化で働き手が減って、年金制度が破綻しないようにするために、国は国民に死ぬまで働くことを制度化しようとしています。

今春で定年を迎え、70歳まで会社に残って後輩たちとバリバリ働こうと決意を新たにしている方も多いでしょう。

そんな高まった勤労意欲に冷水をかけるようですが、70歳まで会社にしがみつくおじさんが皮肉なことに、人生を捧げた会社をピンチに追い込んでしまう皮肉な現実もあります。  

これまで60歳でいなくなっていた社員の定年が延長されることは、それだけ人件費が余計にかかることは言うまでもありません。

ジョブ型雇用や契約社員への切り替え、フリーランスという扱いで業務委託契約にするなど働き方にはさまざまな選択肢がありますが、どんな形でも人件費が上乗せされることに変わりはありません。

そのしわ寄せを受けるのは、若い世代です。 これまでの一般的な日本企業のサラリーマンピラミッドでは、50代が「あがりの見えたベテラン社員」で、30~40代が「中堅」という扱いでした。

しかし、ここに60代という新たな階層が上乗せされることで、彼らが「ベテラン社員」になって、50代が「中堅」、30~40代が「若手」という感じで、キャリアの後ろ倒しが起こります。

 

 

つまり、シニア人材の賃金を捻出するために、若手の昇進や昇給が先送りにされてしまいます。

もちろん、会社側がシニア人材をうまく活用して、さらに大きな成長を遂げていければ、こんな心配は全くありません。

しかし、高い給料をもらいながらもリモートワークもうまくできない「働かないおじさん」があぶり出されたように、現状でもシニア人材をうまく活用できているとは言えません。

企業で長く働いてきたベテラン社員は、管理職に収まるか、管理部門などで後進の育成や若手のサポートがメインとなって、「自分で稼ぐ」ことに縁遠くなるケースが多いからです。

そこに加えて、シニア人材の活用にはもうひとつ高いハードルがあります。それは「プライド」です。

年功序列のサラリーマン社会に頭までどっぷり浸かって40年以上も生きてくると、人はどうしても「これだけの年齢とキャリアを積んだ自分に、若手がやるような仕事を振るな」というプライドに支配されてしまうものです。  

それは裏を返せば、これからの企業は、60代の社員たちの膨れ上がった自尊心を傷つけることがないような「心のケア」をしながら働いてもらわないといけません。

ジョブ型雇用に切り替えたら切り替えたで、能力をシビアに評価したり、独立を促すようなことを言ったりしたら逆ギレするでしょう。最悪、「長年尽くしてきた会社に裏切られてパワハラを受けた」などのトラブルに発展するかもしれません。  

 

 

考えすぎだとあきれる方も多いかもしれませんが、一般社会では、「暴走老人」「キレる老人」などの言葉に象徴されるシニアトラブルは多発しています。老化による脳の萎縮で怒りという感情を抑えるブレーキが利きにくくなることは医学的にも分かっています。

ヘタすれば自分の祖父ほど歳の離れた60~70代のおじいちゃんたちの機嫌を取らなくてはいけないような職場で、若い世代の社員たちはモチベーションを維持できるとは思えません。

能力のある人材であればあるほど失望が広がれば、「優秀な人材の日本企業離れ」を促進するでしょう。

多くの外資系企業は、結果を出さなければ解雇もあり得るような不安定な環境ですが、シニア人材をヨイショして機嫌良く働いてもらうなどの気苦労がないぶん、まだこちらのほうがマシだと考える若者が増えていくでしょう。  

70歳まで会社にしがみつくおじさんが、これまでの役職や賃金をキープしようとバリバリ働けば働くほど、若い世代の賃金とモチベーションは下がります。

さらに、会社にイノベーションをもたらすような有能な人材が流出して競争力を低下させるという「負のスパイラル」に陥ってしまう恐れがあります。

 

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