氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

格差拡大が及ぼす悪影響

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格差の拡大には、社会経済的な弊害があることが明らかになっています。

格差拡大が深刻な韓国の2021年の出生率(1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数)は0.81で、1970年からの統計で最低と発表されました。経済協力開発機構OECD)加盟国で1を下回るのは韓国だけで、日本の1.34(20年)と比べても低い水準です。ちなみに出生率が2以下になると、人口は減少していきます。

韓国では、受験や就職で激しい競争にさらされ、若者の雇用は不安定で格差も拡大していることから、将来に不安を抱き、子を産み育てることよりも、自分の生存を優先している状況です。根底にあるのが、大学も就職もソウルを目指すという「首都一極集中」の弊害で、不動産価格の高騰の原因にもなっています。

日本でも、去年1年間に生まれた子どもは84万人余りで、前の年からおよそ3万人減り、過去最少を更新しました。また、婚姻の件数は、51万4000組余りで、戦後最も少ない数となりました。格差拡大が少子化をより一層加速させています。

格差が拡大すると所得の高い人の所得はますます高くなり、所得の低い人の所得はますます低くなります。

 

 

高所得者は消費性向が低く、得た所得を貯蓄などに回して消費をしない一方、低所得者は消費性向が高く、得た所得の大部分を消費に回すと言われています。

食費、光熱費、通信費など、生きていく上で欠かせない支出を生活費と考えた場合、所得が少ない人ほど生活費の割合が多いということです。

数が多い低所得者層の所得が減れば、それだけ全体の消費が減り、景気が冷え込むというわけです。つまり、経済成長率が低下します。

これだけデフレ期間が長く、ミニマリストが増えてしまった中で、新型コロナ、円安、インフレ圧力という状況が追い打ちをかけています。

これで消費が盛り上がるわけなく、企業は原材料高を価格転嫁し値上げした場合、庶民はモノを買い控える傾向が強くなります。

そうなると企業の売上が下がり、利益が低下、景気減速し不況になってしまうことです。

また、格差が拡大すると人々が能力を向上する機会も失われます。低所得者層の子どもたちが高等教育を受けることができなかったり、非正規雇用労働者が十分な職業訓練を受けられなかったりして、人的資本が蓄積されません。

それが経済活動を低迷させます。こうした問題には経済界も気付き始めています。

「困っている人を助ける」だけでは社会的合意を得るのは難しいかもしれませんが、経済にもマイナスの影響があることを理解すれば合意は得やすくなります。

 

 

また格差拡大は、人々の協力関係の形成を阻害し、社会の連帯感を失わせます。人々は助け合わなくなり、対立しやすくなり、ストレスが高まり、健康水準が低下するという研究結果もあります。

そもそも、大多数の人たちが低賃金で不安定雇用、健康状態が悪く、子どもを産み育てることもできない状態に置かれていることは倫理的に許されるものではありません。

世界の動きを見ると中間層に外国人労働者、非正規雇用者などの貧困層に対して敵視する動きが広がっています。日本の場合は、欧米諸国と移民事情などが異なる面がありますが、貧困層に対して自己責任論を振りかざし、蔑視するような意見がはびこっているのは事実です。

外国人労働者や非正規雇用労働者がさらに増えれば、そうした意見がその人たちに向けられる可能性はあります。

貧困層の人たちは、子どもを産み育てることが難しくなっています。ということは、将来的には他の階級の誰かが貧困層に転落しなければなりません。

今は大企業で安定している職に就いている人でも、自分や子どもたちが将来どうなるかわからないということです。

そのような想像力を働かせれば、社会保障の充実、非正規雇用の処遇改善など、自分がどのような立場になっても安心できる仕組みが必要だと理解できるはずです。

 

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