氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

労働生産性の低い日本では賃金は上がらない

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本の時間あたり労働生産性OECD加盟国38ヵ国中23位という結果です。主要先進7ヵ国の中では、1970年以降最下位が続いている状況です。この時点でG7サミットなんか出る資格はないと思います。

少子高齢化などで労働力が減少し、1人あたりの労働生産性を高めていかないと、国力を維持することが難しくなります。

労働生産性が低い業種は、飲食サービス業、医療・福祉業、宿泊業など、サービスを中心とした業種です。コロナ禍で打撃を受けたもので、かなり手厚い政府からの給付金が得られた業種でもあり、さらなる労働生産性の低下を招いています。

労働生産性が低い理由は付加価値を生み出す力が弱いこと、一つの仕事に携わる社員数が多く、時間をかけすぎていることです。

かつて日本人は勤勉と言われていましたが、今や上司の顔色をうかがうことに専念して働いているふりだけをしている人も多いのです。

労働生産性を落とさないためには、内需拡大による消費中心経済か、付加価値の高い製造業にシフトすることが必要です。

しかし、バブルが崩壊した日本は政策の失敗により、労働人口減少や製造業の海外移転を止めることができず、国際社会での競争力を失っていきます。

 

 

モノ作り大国として日本とドイツはよく比較されますが、労働生産性においては大きく水を開けられています。ドイツの年間労働時間は日本よりも350時間ほど短く、ドイツ人は基本的に残業をしません。

仮に経営者が残業を強要した場合、罰金や禁錮刑などの厳しい罰則が科せられます。 また、ドイツ人は個人の生活を重視する傾向が強く、労働はあくまでも生活の糧を得る手段であると割り切っています。

そのため過剰なサービスや上司への忖度を必要とせず、無駄な長時間労働を強いられることもありません。その分、効率重視で仕事にあたるため、ドイツ人は最小の手間で最大の成果を上げることを得意としています。日本人からしたら、うらやましい限りです。

このような労働生産性の低い日本で、全ての労働者の賃金を政治主導で無理やり上げようとしています。政府が勘違いしているのは、全ての会社が黒字ではないということです。

赤字で事業を継続するのがやっとという中小企業が、賃上げをできることには無理があります。賃金水準を上げるには、思い切った中小企業の構造改革、「中小企業の淘汰」が必須です。

 

 

もう一つの大きな構造問題が、非正規労働者の増加です。 雇用形態別の賃金をみると、男女計では、正社員・正職員324.2千円(年齢42.2歳、勤続年数12.5年)に対し、非正規労働者214.8千円(年齢48.8歳、勤続年数8.7年)となっています(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2020年)。

2020年における非正規労働者は2090万人で、雇用者全体5620万人に占める比率は37.2%に達しています(総務省労働力調査」2020年)。

1989年(平成元年)には約20%だったので、平成の期間に非正規労働者が激増し平均賃金を下押ししています。低賃金の非正規労働者が増えた理由は派遣労働法など法規制や働く側の価値観の変化ですが、企業側からすると、厳しい経営環境の中で生き残るには「正社員をできるだけ雇用したくない」のが本音です。

日本では、正社員の解雇規制がある限り、正社員の雇用をできるだけ抑制しようという企業の姿勢は変わらず、非正規労働者の正社員への転換が進むことはありません。

もし非正規労働者の賃金が大きく上がったら、企業は非正規労働者の雇用を減らして外国人労働者などの雇用を増やすか、それも難しいなら事業所を海外移転させます。

日本では、中小企業と正社員を守る法規制・政策支援が存在することで、なかなか賃金が上がらない構造になっています。

新しい資本主義が富める者から貧しい者に所得を移転させることで理不尽な格差を是正するという点で、分配に重きを置いているようですが、分配によって賃金の格差が是正されても、国民平均の賃金水準が上昇することはありません。

「中小企業の淘汰」も、「正社員の解雇規制の緩和」も、長期的には経済を活性化させ、正社員の雇用を増やすと期待されますが、一時的に失業を発生させます。こうした痛みを伴う改革を政治ができないという現実があります。

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