「就職氷河期世代」を対象として、国家公務員のみならずさまざまな企業でも中途採用試験が行われています。
「就職氷河期世代」である40歳代後半~50歳代は、当時の就職活動が厳しく、多くの非正規雇用がいるとされています。
中には十分な収入が得られず、思うように貯蓄ができないと悩む方も。自分と同年代の周囲が、どれくらい貯蓄を保有しているか気になるようです。
金融広報中央委員会の資料をもとに、50歳代・単身世帯の貯蓄額をみていきます。
50歳代・単身世帯で「貯蓄100万円未満」を達成している人はどれくらいいるのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」より、50歳代・単身世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。
●【50歳代・単身世帯】の貯蓄100万円未満の割合 ・51.1%
●【50歳代・単身世帯の貯蓄額】平均と中央値 ・平均:1048万円 ・中央値:53万円
金融資産を保有しない(=貯蓄ゼロ)世帯は39.6%で、1円~100万円未満という世帯は11.5%でした。合計すると51.1%が、貯蓄100万円未満ということになります。
中央値が53万円ということに驚く方もいるでしょう。 ただし、同調査における金融資産とは「定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分とする。…(中略)…日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く」と定義されています。
日常的に使っている口座は除かれることから、実際にはもう少し貯金があるというシニアもいるでしょう。次に、同調査より貯蓄保有世帯のみの貯蓄額について見ていきましょう。
●【50歳代・単身世帯】の貯蓄100万円未満の割合 ・19.0%
●【50歳代・単身世帯の貯蓄額】平均と中央値 ・平均:1775万円 ・中央値:610万円
日常的な出し入れ・引落しに備えている部分以外の貯蓄を保有する世帯に限定すると、50歳代単身世帯における貯蓄100万円未満の割合は19.0%。
平均は1500万円を超え、中央値は500万円を超えました。
貯蓄がある世帯、ない世帯の二極化傾向があるようです。
貯蓄がないまま年金生活になっても大丈夫?厚生年金の平均月額とは もし貯蓄がないまま年金生活に入った場合、年金収入だけでやりくりは可能なのでしょうか。
60歳代の年金額を最新データから見てみましょう。
●厚生年金の平均月額(60歳~69歳)
・60歳:厚生年金9万4853円
・61歳:厚生年金9万1675円
・62歳:厚生年金6万1942円
・63歳:厚生年金6万4514円
・64歳:厚生年金7万9536円
・65歳:厚生年金14万3504円
・66歳:厚生年金14万6891円
・67歳:厚生年金14万5757円
・68歳:厚生年金14万3898円
・69歳:厚生年金14万1881円
※いずれも国民年金の金額を含む 国民年金の平均月額(60歳~69歳)
厚生年金に加入していない方は、国民年金(老齢基礎年金)のみの受給となります。
この場合の平均額も知っておきましょう。
・60歳:国民年金4万2616円
・61歳:国民年金4万420円
・62歳:国民年金4万2513円
・63歳:国民年金4万3711円
・64歳:国民年金4万4352円
・65歳:国民年金5万8070円
・66歳:国民年金5万8012円
・67歳:国民年金5万7924円
・68歳:国民年金5万7722円
・69歳:国民年金5万7515円
もし平均通りの金額が受給できるとすると、この範囲で老後生活はやりくりできるのか、個々でシミュレーションする必要があります。
厚生年金であれば、持ち家で生活費が10万円程度という方はやりくりできるかもしれません。 ただし、次の3点には注意してください。
・現在の年金水準が今後も続くとは限らない
・突発的な支出(医療費や介護費用、住宅リフォームなど)に対応できない
・実際の年金額は個人によって大きく異なる 貯蓄ゼロで老後を迎えるのは、不安があると思います。 今からでも積立を始めるか、働き続けることも必要になるでしょう。
まずはねんきん定期便などで確認することが大切です。これまで50歳代・単身世帯の「貯蓄100万円未満の割合」と平均・中央値を確認してきました。
確実に貯蓄を貯めていくには、毎月の給料や収入から一定額を先に貯蓄し、残りのお金で生活していく「先取り貯金」が効果的です。
先取り貯金にはさまざまな種類があり、預貯金だけでなく積立投資もその一つとなります。 2024年は新NISAスタートの年となりました。
こうした制度も選択肢の一つとなりますが、もちろんリスクがあるので、事前の情報収集や勉強が重要となります。