氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

確実に儲かる有利な投資法など存在しない理由

将来の価格を予測できれば、株式や為替市場での取り引きで利益を得られるような気がします。しかし、価格の予測は不可能です。

何らかの方法で、将来の価格を予測できればどうか? 

つまり、「市場を出し抜くことによって儲ける」ことは可能か?   

これについては、昔からいろいろな方法が提案されてきました。  

古くから用いられてきた方法は、「テクニカル分析」と呼ばれるものです。

「罫線やチャートなどの手法を駆使して株価のデータを分析すれば、価格変動の法則を見出せるから、売買のタイミングが分かる」とされます。  

罫線分析は、株価や為替レートのデータのグラフによく示されています。

商品市場など、さまざまな金融市場でも利用されています。

価格の動きをグラフ化し、そのパターンから将来の価格の動きを予測しようとするものです。  

この分析では、主に「ローソク足」と呼ばれるグラフを使用し、開始価格、終了価格、高値、安値を視覚的に表現します。

ローソク足チャート上の特定のパターンを識別し、それらが将来の価格動向にどのような影響を与える可能性があるかを分析します。

また、トレンドラインや移動平均線などを使用して、株価の全体的なトレンドを分析します。

これにより、市場が強気(上昇トレンド)か弱気(下降トレンド)かを判断するというのです。  

株価を予測する第2の方法は、企業や経済のさまざまな変数について分析を行なうことです。

これは、「ファンダメンタルズ分析」と呼ばれます。

例えば、A社がガンの特効薬を開発しているとします。

A社が発表したデータや報道を分析すると、近い将来に開発に成功する可能性が高いと判断されたとしましょう。この場合、A社の株価は将来上昇し、したがって、投資をすれば利益を得られると考えられるかもしれません。

こうした方法が仮に有効としても、本当に有効な方法を見出した人、あるいはデータを持っている人は、それを自分1人でこっそりと使うはずであって、他の人に教えたり、公開したりするはずはありません。  

教えてしまうというのは、その人の知能指数が低いことの証拠です。

そして、知能指数が低い人が考えだした方法であれば、その方法は間違った方法であるに違いありません。

例えば、罫線分析によって、「ある株はいまが買い時」と結論されたとしましょう。しかし、その結論が依拠している法則もデータも公知のものなので、その株はすでに買われており、価格が上昇してしまっているでしょう。  

また、前記A社の場合、発表したデータは公知のものです。だから、他の人々もA社の株価上昇を予測し、投資しているでしょう。

したがって、株価はすでに高くなっており、今さら投資をしたところで、格別の利益を得ることはできません。  

つまり、どちらの場合でも、公表されているデータから予測されることは、すでに株価に反映されてしまっている(「織り込み済み」になっている)のです。  

一般に、もし将来の株価を高める情報が公知なら、人々はそれを利用して、すでに取引を行なっているでしょう。したがって、価格はすでに変化してしまっており、いまさら取引したところで、利益をあげる余地は残されていないでしょう。  

したがって、将来の株価は、現在は知られていない情報だけによって変動する。知られていない情報を予測することはできないから、将来の価格を予測することはできません。

つまり、「株価はランダムに動く」と結論せざるをえないのです。  

同様のことが、外国為替市場や国債市場など、多数の参加者がおり、大量の取引が行われる市場についても言えます。

サミュエルソンの論文で、「適切に予測された価格はランダムに振舞うことの証明」というタイトルのものがあります。

「適切なものがデタラメ」とは、一見すると矛盾しているように思えます(適切なら規則正しく動くように思われるから)。

しかし、このタイトルは、資産価格の本質を表現しているのです。  

「市場は、利用可能な情報を、素早く正しく価格に反映させるだろうか?」とは、ファイナンス理論の最も基本的な問いの一つだ。そのような条件を満たす市場は、「効率的市場」と呼ばれます。  

効率的市場仮説(Efficient Market Hypothesis, EMH)は、これをさらに厳密に定式化したもので、1960年代にシカゴ大学の経済学者ユージン・ファーマによって提唱されました(ファーマは、この業績でノーベル経済学賞を受賞した)。  

この理論によれば、市場価格は常にすべての利用可能な情報を反映しているため、過去の価格データやパターンから未来の価格を予測することは不可能です。

この理論では、市場はランダムウォークをするとされ、過去のデータに基づいて市場を上回るリターンを得ることは長期的には困難だとされます。  

なお、 効率的市場仮説は、市場効率性を三つの異なる形態で分類している。  

・弱い効率性: すべての過去の取引情報が価格に反映されている。  

・半強形の効率性: すべての公開情報が価格に反映されている。

・強い効率性: すべての情報(公開情報と非公開情報)が価格に反映されている。

実際の市場が効率的かどうかについては、多くの議論が行われてきました。

これについての答えを最も印象的な形で示したのが、1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号の事故です。

打ち上げ74秒後に爆発して、乗員7名の生命が失われた悲惨な事故です。  

株式市場の参加者も、テレビ報道を通じて、事故の発生をリアルタイムで知りました。

そして、数分もしないうちに、スペースシャトルの製造と運航に関係する4社の株価が下落を始めました。

しかし、20分もすると、そのなかで、モートン・サイオコール社の株価だけが激しく下落して、取引停止に追い込まれました。

他方で、他の3社の株価は持ち直し、その日の終値の下落幅は、前日比2%にとどまったのです。  

事故原因を調査する政府の委員会が5ヵ月後に結論を出したのだが、事故の原因は、モートン・サイオコール社が設計した部品でした。

株式市場は、わずか20分のうちに正しい答えを見出したのです。

では、市場は、どのようにして正しい答えを得たのでしょうか?   

同社の関係者が同社の製品に欠陥があることを知っていて、インサイダー情報に基づいて株を売ったことが、当然疑われました。

しかし、インサイダー取引が行なわれた形跡は見当たらなかったのです。  

その他のさまざまな可能性が調査されたが、決定的な答えはえられませんでした。

「どのようにしてできるのかを説明することはできないのだが、市場は正しい答えを見出す能力を持っている」としか言いようがありません。

学校でファイナンスの知識を教えるべきだとの考えがあります。

実際にそうした授業を行なっている学校の様子を伝えた新聞記事がありました。  

そこでは、為替レートの将来の値を予測するコンテストをやっていると書いてありました。  

こうした考えが堂々と新聞記事になるとは、驚き以外の何物でもない。ファイナンスリテラシーを教えるとは、「将来の為替レートの予測は不可能だから、こうしたコンテストは全く無意味」と教えることなのです。

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