高級マンション売買に最適な都市といえば、やはり5つの大きな都市圏の中心都市である東京・大阪・福岡・名古屋・札幌。本書ではそこに横浜と京都を足したいと思います。マンション購入を考えるなら、仕事と人が集まる7大都市の代表的なエリアに買うのがおすすめです。
広い目で見ると、日本は東京の都心が最も相場価格が高く、2022年6月時点の売り出し相場価格は東京都の平均で1㎡あたり89万円なのに対して、都心3区と呼ばれる千代田区、中央区、港区の㎡単価は144万円。
ちなみに、六本木一丁目の㎡単価は248万円です。それゆえに、東京は一極集中といわれます。
しかし、人は東京だけに集まるわけではありません。首都圏でも神奈川周辺に住んでいれば横浜も候補になりますし、関西圏の人なら大阪か京都、九州圏の人なら福岡、名古屋周辺の人は東京か名古屋で迷うと思います。
三重の人なら大阪か名古屋で迷うでしょう。
要は「そこに仕事がある」から人が集まってくるのです。地方は一次産業がメインですが、二、三、四次産業が発展しているのはやはり都市部。必然的に仕事が集中するので人が集まり、娯楽が集まります。
例えば名古屋なら栄。大阪なら御堂筋、心斎橋の周辺、梅田など。福岡なら博多や天神というように、やはり都市部に人は集まってきます。それによって住宅ニーズも高まります。
では、仕事と人が集まると、高級マンションの売買に好適地になるのはなぜでしょう。仕事があって人が集まると、競争の原理でそのなかから収入の格差が生まれ、豊かな人が生まれます。さらなる向上心のある人はよりよい暮らしをしたいと思い、高級マンションを選ぶ人が増えてくると考えられます。
そうなると、注意が必要なのは7大都市以外ということになります。今はリモートで仕事ができる時代ですが、オフィスがない、人がいない、娯楽がない、利便性が低い…。そんな地域でマンションを所有しても、たいていの場合その先の未来はありません。
反対に、7大都市は2014年以降ずっと上がり続けていて、この先も下がる要素は見当たりません。日本経済を潤すハブには仕事、人、お金が集まり、その結果、いろいろな需要が生まれます。
そのなかには高級住宅も含まれ、競争が起き、価格差がつく。安い物件を持っていても競争に勝つことはできません。こうした都市圏で、10年後に価値が2倍になるマンションの条件は何なのか。まずターミナル駅の周辺を選ぶこと。
もしくは、再開発が予定されている駅近くの物件を選ぶことです。再開発の情報は、例えば「東京(地域名)再開発」と検索すればたくさん出てきます。
都内なら、虎ノ門・麻布台・神谷町・赤坂、大手町・丸の内、八重洲・日本橋・京橋、渋谷、品川・高輪ゲートウェイ・武蔵小山、新宿・西新宿・歌舞伎町、池袋などがヒットするはずです。再開発には、道路計画も含まれます。
車が入れなかった土地に車が入れるようになったら、それだけで価値は大きく上がります。例えば、新橋・虎ノ門間では、終戦直後に計画された都市計画図に基づいて、通称「マッカーサー道路(環状第2号線の一部)」が戦後70年経って整備が整いました。
その影響で地下トンネルの地上部にできた虎ノ門ヒルズをはじめ、大きな商業ビルができはじめています。そうすると人流が増え、セオリーとして価値が増加します。新しい道路ができる、あるいは2車線道路が4車線になって道路が太くなると利便性が上がり、土地の価値も上がります。
また、オフィスの多い駅周辺も価値が倍になる可能性があります。人が集まる理由の一番はやはり「仕事」。東京に人が集まる理由も、仕事があるからです。これは外してはいけないポイントです。
湾岸エリアが栄えた理由も、実は都心に仕事があるからです。湾岸エリアだとオフィスの多い港区、中央区にも通いやすいので、そこに住居があると深夜でもタクシーですぐに帰れて便利だと人気になったのです。
ビジネスの中心がどこなのかを考えて、その駅あるいは、そこから伸びている沿線にマンションを買うと、価値が2倍になるようなラッキーなことが起こりやすいといえます。 ビジネスの中心がどこかというと、都内であれば新宿から東京駅まで。山手線の下半分と考えるといいでしょう。
ここにアクセスよく出られる駅の近くであれば、山手線の外側でも問題はありません。物件として強い、値下がりしないマンションということになります。
ここでみなさんが疑問に思うのは、田園調布や成城学園前、めじろ台など高級住宅地と呼ばれる場所はどうなのかということでしょう。
正直に言って、これらのエリアでマンションに5000万円〜1億円を出すなら、ほかの駅を選んだ方がいいと思います。もちろんそれら高級住宅地のイメージがついている場所に価値がないわけではありません。
でも、そこで買うなら戸建てです。そもそも田園調布、成城学園は戸建てエリアで、不動産市場も戸建てが強いのです。そこでマンションを買ってもリセールが効かない可能性があるというのが理由です。同じ理由で中野、西荻窪、荻窪あたりも戸建てエリアのため、マンションのリセールは効きづらいといえます。
ビジネスという観点ではありませんが、高円寺、吉祥寺、代々木公園など、人が集まる公園や商店街が駅の近くにある場所は、人気のエリアなので、購入はした方が良い場所です。 価値が半減するマンションは?
逆に、10年後に価値が半分になるマンションは、駅から遠いマンションです。たとえ新築で買っても、駅から遠く、バス便のマンションを選べば、自動的に半分になります。仮にそのバスがなくなったら交通手段がなくなります。すると買い物をする場所まで車かタクシーということになる。そういう場所に誰が高いお金を払うでしょうか。
また、ワンルームマンションも供給過多の状態のため、半分になるとはいえませんが資産価値は下がる傾向です。東京には常に新しいマンションが建設され続けています。そのとき、築30年のワンルームと築4年のワンルーム、どちらに入居したいでしょうか。
古いほど値段が下がり、賃料も下げないと借り手もいません。新築・築年数が若いというアドバンテージが消えた瞬間、価格競争に巻きこまれていきます。投資目線で考えるとそれは当然のことです。
立地がよく、ワンルームでなくても、目の前に大きな建物が建ち、眺望がさえぎられてしまうと、これもまた価値に影響を及ぼします。高級マンションとそうでないマンションの違いには、眺望が大きくかかわっています。
東京タワーが見えていたのに、目の前に建物が建って、東京タワーが見えなくなったとしたら、相当なダメージがあります。
ハザードマップで液状化、津波、洪水、土砂災害などの警戒地域に指定されている地域は言うに及ばず、高低差の激しい場所、がけの上(下)も避けるべき地域でしょう。
