2024年に始まった新NISAを機に、投資信託への積立投資で投資デビューされた方が多くいらっしゃると思います。2024年は心穏やかに投資ができて、投資がラクだと思えた1年だったのではないでしょうか。
ところが、トランプ2.0以降、状況は一変。株式市場がたびたび激しく動き、特にトランプ関税で株価が大きく下落することにハラハラしている方もいらっしゃることでしょう。
とはいえ、「正しい投資信託」に投資している限りは、心配無用です。
資産形成期である今は、投資信託の価格が下落するのは「安く買える」ことを意味しますので、望ましいことなのです。
なぜなら、投資とは、安く買って・高く売ることが基本だからです。
逆に、いま価格が上がっても、それはそれで喜ばしいことです。なぜなら、評価額、つまりあなたの資産が増えることになるからです。
ゆえに、投資信託の価格が下がろうと、または上がろうと、何も不安がることはないと言えます。価格など気にせず、粛々と積立投資を続けていきましょう。
こういうタイミングは、「正しい投資信託」への積立投資は続けるとして、さらにワンランク上の投資を目指す機会と考えることもできます。
なぜなら、優良銘柄が相場につられて安くなっていることがあるからです。トランプ大統領の発言により優良銘柄が株安になれば、買い付けるチャンスです。そこで、「コア・サテライト戦略」と呼ばれる戦略をご提案しましょう。コア・サテライト戦略とは、投資先をコア(中核)とサテライト(衛星)に分けた投資戦略です。
コアは「守りの資産(投資)」で、長期では安定的に運用が期待できる投資先を選びます。つまり、S&P500などインデックス型の「正しい投資信託」ということです。
対して、サテライトは「攻めの資産(投資)」で、コアよりリスクを取ることで高いリターンを求める投資先を選びます。
コアで平均点をとって、サテライトで+αを狙い、全体では平均の上を狙うということになります。コアとサテライトのバランスは、コアが全体の70%以上、サテライトが30%以下とします。
サテライトの投資先としては、日本株が選択肢のひとつになります。日本企業なら身近ですから、どんな商品か、どんなサービスか、事業が見えやすいです。また、決算などの情報をすべて日本語で読めるのがメリットです。
トランプ関税で、日経平均が大きく下落したという報道を見て不安に感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、関税に関係ない分野、影響の少ない分野を選べば問題ありません。
トランプ関税に影響する領域・業界や企業がある一方で、影響が少ない領域・業界や企業もあります。「サテライト投資」では、トランプ関税の影響が少ない領域・業界や企業にフォーカスした投資を紹介します。
(1)防衛関連 防衛関連は伸びると予想できます。防衛予算が過去に比べて増加傾向にあるからです。これまで防衛予算はGDP比1%程度でしたが、2027年度にGDP比2%にするとされています。また、アメリカの国防次官候補が、GDP比3%へとさらに増額することを要求したとの報道もあります。したがいまして、防衛関連企業は需要増が見込まれます。 防衛関連銘柄は、三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、IHI(7013)などが考えられます。
(2)金融関連 次に、金融関連です。日本はゼロ金利を卒業して「金利のある世界」にシフトしています。さらなる利上げもありそうな気配です。ゼロ金利時代に稼ぐ力をつけたメガバンクグループが、金利のある世界で本領発揮となることが期待できます。 金融関連銘柄は、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が代表となるでしょう。
(3)インバウンド関連 安倍政権がインバウンドを成長戦略と位置付けてから、訪日外国人旅行者数はものすごい増加を見せてきました。訪日外国人旅行者数の推移は、2012年836万人、2015年1974万人、コロナ禍前のピーク2019年3188万人、2024年3687万人です。政府目標は2030年に6000万人としています。
この目標が達成されるとして、単純計算で消費額は1.6倍になると期待できます。中国人旅行者へのビザ緩和が見込まれていることも追い風になるでしょう。
インバウンド関連銘柄は、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)〔※ドン・キホーテを運営〕、オリックス(8591)〔※ホテル事業、空港運営、大阪IRなど〕、髙島屋(8233)、エイチ・ツー・オー リテイリング(8242)〔※阪急百貨店、阪神百貨店を運営〕、三越伊勢丹ホールディングス(3099)などがあります。
(4)沖縄関連 元から観光地として地位が高い沖縄ですが、2025年7月25日にテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業します。面積は60万平方メートルと東京ドームの約13個分に相当します。東京ディズニーリゾート、USJに続く3つ目の超大型テーマパークとなります。これによって、国内外からの沖縄への観光客が増えることが予想できます。
これまでも沖縄は観光客数が増加傾向にあり、2012年度に600万人程度だったところから、コロナ禍前のピーク2018度には1000万人に到達しました。コロナ禍で減少したものの、直近は2018年度に迫りそうな勢いです。 残念ながら、ジャングリア沖縄を手掛ける株式会社刀は上場していませんが、沖縄関連銘柄としては、サンエー(2659)があげられます。沖縄県宜野湾市に本社を置く、沖縄に密着した総合小売業です。小売店舗71店舗、外食レストラン8店舗を有します。
(5)関税の影響がない自動車メーカーもある
自動車メーカーにはトランプ関税は厳しいものになるでしょう。しかしながら、アメリカ比率が低い自動車メーカーならあまり関係ありません。
スズキ(7269)は、北米比率が売上高ベースで2%未満です。ゆえに、トランプ関税を気にする必要がそれほどありません。売上高の約90%を4輪車から得ており、軽自動車は国内シェア34%と、ダイハツと2強のポジションにあります。
海外売上高比率は約75%で、特にインドに強みを持っており、乗用車のシェアは41.6%、インド市場で最大手です。今後はシェア50%以上を狙っています。世界一の人口を誇るインドで現状トップシェア、さらに過半のシェアを狙うことは、投資先として魅力を感じます。
スズキの4輪車のシェアが1位となる国は多く、合計10カ国(インド、パキスタン、ブータン、ハンガリー、バルバドス、ボリビア、コートジボワール、ジブチ、アンゴラ、モーリシャス)あります。新興国の人口増加の恩恵を受ける銘柄としても期待が持てるでしょう。
トランプ関税が発表されるたびに、全体的に株価は下落しますが、それは短期的な動きです。長期的には、トランプ関税の影響が少ない(もしくは影響がない)領域・業界や企業があります。
また、コア投資の投資信託への積立投資であれば、トランプ関税に関連した価格変動を気にすることなく、積立投資を継続すればいいでしょう。冷静に投資していきましょう。
投資についてはリスクがつきものです。ここで紹介した銘柄については、あくまで自己責任で投資してください。
