不動産も債権も株式も、「買うことでお金が入ってくる可能性がある」という仕組みは同じです。
それが家賃収入なのか利息なのか配当なのかという違いがあるだけです。
不動産投資が決められた家賃収入しか得られにくいのに対し、株式投資はキャピタルゲインも得られる可能性があることから、「不動産投資よりも株式投資のほうが儲かる」と言う人が一定数いらっしゃるようです。
それは一理あるかもしれませんが、私はキャピタルゲインを得られる可能性が高いということは、損失が出る可能性も高いと考えます。
投資の世界では、リターンを「収益」、リスクを「リターンの振れ幅の大きさ」と定義するようです。大きく儲かるかもしれないということは、大きく損失を出すかもしれないということですね。
そういう意味で、投資に不慣れな人、とくに会社員にとって、不動産投資はかなりメリットのある選択肢だと私は考えます。
不動産投資は株式投資より、ボラティリティ(価格変動率の大きさ)が小さく、スピードがゆっくりなことが多いと思うからです。今日1億円の株が、明日1.1億円になることはよくあることだと思います。
しかし、今日1億円の不動産が、明日1.1億円になることはまずないと思うのです。ボラティリティにやられて気絶することは株式投資ではよくありますが、不動産投資ではあまり無いように感じます。
また、不動産投資・株式投資ともにレバレッジをかけることができます。しかし、ボラティリティが大きく、スピードが速い株式投資でレバレッジをかけることは、投資の初心者にとって危険ではないでしょうか?
素人がいきなり信用取引でレバレッジをかけてしまうと、あっという間に資金が吹き飛んでしまうことがあるでしょう。商品先物もしかりです。
やはり、素人が信用取引や商品先物にいきなり手を出すのはかなり危険だと私は考えます。不動産については、流動性が悪いことも投資に不慣れな人にとってはプラスに働くことが多いと思います。
株式投資の場合、「株価が急落してしまい、売るべきではないタイミングで売ってしまった。その後株価が大きく反発した」などというケースが往々にしてあります。
しかし不動産の場合、売りに出したからといってすぐに売れるものではありません。一棟物だとすると、通常売りに出してから売却までに早くても1~2か月程度はかかるはずです。 そのため、仮に本来売るべきではないタイミングで売りに出してしまったとしても、その間に冷静になって注文を取り下げることができます。
つまり「気が動転して大きく失敗した」といった事態が起こりにくいのです。 ほかには、物件が担保になり得る点も大きなメリットです。たとえば、あなたがある上場企業の株を1億円分持っていたとします。
ですが、金融機関に「私は1億円分の株式を持っているので、これを担保にお金を貸してください」と言ったところで、まず相手にしてくれません。
しかし不動産であれば、「評価額1億円の土地を持っています」と言えば、それでお金を借りることができることがあります。
担保となる土地の価値を基に貸出金額の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも借り入れと返済ができる権利である「根抵当権」を設定すれば、ある意味で物件がATMの役割を果たしてくれるというわけです。
この根抵当権の設定も決して難しくありません。 (ただし、ここでマンションの中の一部屋を買ってしまった場合には、その価値は時間とともに低くなっていくので、あくまで土地に値段が付いた一棟物を買うことを推奨します)
ほかにも、不動産投資では、実際の現金の支出がない状態で経費計上ができる減価償却があり、効果的に節税を行えることもメリットです。