氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

FIREなんて負け組ですよ

2024年の株式市場は国内外ともに活況です。そんな相場の波に乗り、資産を大きく増やした会社員投資家の間で再び「FIRE(Financial Independence,Retire Early=経済的自立と早期退職)宣言」が目立っています。  

FIREといえば1億円というイメージがあったが、ここ最近のSNSを見ると金額のハードルが下がっています。

資産2千万円台で「3千万円の目標には少し早いですが、FIREします」という人も存在するのです。

「理想は3千万円。2千万円台でも、まあOK」の雰囲気で、資産2千万~3千万円に対して年率平均5%程度の上昇を見込んでいる様子です。

必要に応じて、少しずつ引き出すことも考える。

資産は保有しながら週2~3回など、自分のペースで好きな仕事をする(やりたいことの実現)。会社員時代の収入をキープしたいという雰囲気はなく、起業して大金を稼ごうという鼻息の荒さも感じられません。  

2千万円という「早期退職時点の資産」は、今年から始まった新NISAの満枠1800万円に近い水準です。新NISAが始まり相場がいいこともFIRE宣言の増加に影響しているかもしれません。

新NISAでは利益の税金約20%が非課税でうまく使えば運用効率がアップします。

資産数千万円で勤務先を早期退職する人は、もともと生活にお金を使わない傾向が強いです。

いわゆる「ミニマムでシンプルな暮らし方」。 「実際に資産数千万円で会社を辞めた方(独身)の実例を挙げると、まず年間の食費は、外食も含めて10万円台前半でした。

10万円は月ではなく「年」である、念のため。 「住居費(賃貸)は水道光熱費なども合わせて年間50万円台。逆算すると家賃3万~4万円の物件に住んでいました。

当然ながら、東京の山手線の内側には住みません。

いずれも年で、被服費4万円、交通費2万円、交際費1万円台、日用品9万円、医療費5万円台、通信費2万円台、社会保障費45万円、娯楽29万円、税金ゼロ。

年間約170万円の支出です。

このケースは独身だが、それぞれの世帯の形に合った早期退職後の人生設計は、どう考えればいいのでしょうか。

ミニマムではない方向で、夫婦2人なら出ていくお金、生活費から整理しましょう。

総務省の家計調査(2022年)によれば、毎月の生活費が60代夫婦で約28万円、70代で約24万円、80代以上で約20万円でした。定年退職後の生活を前倒しにするわけですから、高齢者無職世帯の数字を参考にします。

自由に少しは働くにしても、この層に早めの仲間入りをするわけです。

早期退職の年齢により、年金の金額が変わることにも注意。 「『ねんきんネット』で自分の年金額を試算してください」  

小さな子どもがいる人は、子育て費用や学費もかかります。  

気になるのは「増やすお金」の部分で「年平均5%で増える見込み」というリターン予測は現実的か?

全世界株式のインデックス投資信託を保有していると仮定すると、年換算で5%ずつ増える見通しは問題なさそうです。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、外国株式の期待リターンを7.2%と推計しています。

JPモルガンの超長期予測(24年版、円ベース)では世界株式5.2%という記載が見られます。ただ、預金のように『毎年決まって5%ずつ増える』わけではありません。

引き出すときの相場次第で最終リターンは大きく変わります」

そこで過去の相場データを使った検証では、1989年に会社を辞めたとして、その時点の評価額が2千万円なら年120万円、3千万円なら年180万円を引き出し続けます。

20年後の2009年に資産はいくら残っていたか? S&P500と全世界株式でそれぞれ計算。同じ要領で、90年引き出し開始、91年引き出し開始……と、直近で「03年開始・20年後は23年」まで、15パターンの検証結果が出ました。

一番よかったのは94年引き出し開始です。当初2千万円のS&P500は年120万円ずつ引き出し続けても20年後に8856万円、全世界株式は4297万円が残っていました。

同じく94年から年180万円ずつ引き出し開始で当初3千万円のS&P500は20年後に1億3283万円、全世界株式は6445万円の残高。

97年引き出し開始から雲行きが怪しくなります。当初2千万円のS&P500は20年後の17年に276万円、全世界株式は400万円。99年引き出し開始の場合、S&P500も全世界株式も17~19年間で20年より早めに資産が枯渇しています。

引き出し始めた前半~半ばの頃、リーマン・ショックに見舞われた場合は資産が20年持たず、ゼロになっていたわけです。

なお、預金から同様に引き出した場合は17年でゼロになり、相場がいい年も悪い年も同じ金額を引き出すのはよくありません。

『残高の3~4%』など『率』で引き出す検証じゃないと」という反論も来そうです。

率で引き出す場合、運用資産数千万円では大幅下落の年が「続くと」キツいのです。

労働を増やすか、さらなる節約が必要になります。

リーマン・ショックの際、S&P500は1年4カ月下がり続け、元の水準に戻るまで5年5カ月。全世界株式は6年8カ月かかりました。

暴落時に備えるなら、リスク資産以外に5年分の生活費を預金などで持っておきましょう。

23年7月、東証プライム上場のIT関連企業を40代で早期退職、「FIRE宣言」をしたAさんは、億単位の資産で会社を辞めた様子です。

現在はフリーとして仕事を受ける日もあれば、ギャラ無しでイベントの手伝いをする日もあります。

Aさんは30代前半で資産2千万円に到達しました。

その頃は仕事が楽しく、忙しく、早期退職なんて1ミリも考えなかったと当時を振り返ります。

40代の早期退職に必要なお金は『自分の年間生活費の20倍』と考えていました。年300万円で暮らせるなら6千万円。500万円で暮らせるなら1億円、という感じです。

年170万円で暮らす人なら3400万円ということです。

「ここ5~6年は、何に投資しても上がる相場だったので、下げ続けるときの怖さを本当の意味でわかっていない人がいるかもしれません。ちなみに20年のコロナショックなんて、暴落のうちに入りません。

FIREに憧れる人がいる風潮を、FIREした本人はどう感じるか。

うーん。FIREなんてね、負け組なんですよ。社会や組織に属すれば、給料や今年の売り上げ、利益……何かしら競争があります。

早期退職は、そういう勝ち負けの土俵から降りることなんです。もう、何も気にしなくてよく数字もノルマもなく自由。そこが根幹だと思います。

働いている人より偉くもないし、必ずしも憧れるようなものでもありません。

FIREを冷ややかに見る人がいるのは、ある意味負け組なのに、必要以上に「すごいこと」として語る人がいるからです。  

資産数千万円で早期退職して楽しく暮らしつつ、自由に働く(働かない時があってもいい)ことはサイドFIREと呼びます。

言葉は格好いいが、一般的な言葉で置き換えると「セミリタイア」「脱サラして週2~3回は働いている人、または無職(所得がない)」です。

ただ、資産数千万円で会社を辞めることを否定はしません。辞めてみてもいいと思いますよ。束縛から抜けたときの自由な気持ちは最高ですから。

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