氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

非正規雇用から抜け出せないスパイラル。息が詰まりそうな日本社会の“現実”

皆さんもお気づきでしょうが、能力も高く、コミュニケーション能力もすこぶる高い方が、 「えっ、この職業?」という所に就いていることがあります。

企業でも、派遣やパートをされている方が数多く在籍されています。

何なら正社員よりもとーーっても気が利きますし、能力もすこぶる高い。何かの拍子に学生時代の話になり、学校名なんぞ聞いてみちゃったりすると、そっ、そんな有名な学校で学ばれていたのですか?と思うこともあります。

学歴や勉強してきた時間って何だったの?と思ってしまうような現象も起きています。 例えば、取引先の工場は、20年くらい前まで『高卒』の採用を積極的に行っていました。

それが徐々に4大卒にシフトし、今は大学院卒を採用しています。仕事の内容はほとんど変わっていないそうです。

現場の中堅社員の方に聞くと、「そこまで学力を問う仕事でもないのに、院卒を採っているんですよ。こっちはいいけど、本人はどう思っているか疑問です。」という声を聞きました。

要約すると、『先進国になった日本では、大卒が増えたが、受け皿にする仕事が増えているわけではない。ひと昔前に高卒、中卒が就いていた職に流れる。高度な専門知識が活かせる職業を社会構造的に作らないと、ヤバいぞ。』という内容です。

 中・高卒が優れていないとか、そういうことを言いたいのでは決してありません(素晴らしい方は沢山おられます)。 時間的・金銭共に投資した学力に対し、待ち受けている未来がアレレ?だと言いたいのです この現象、様々な分野で見受けられます。

そして、更に複雑な構造化も起きている気がします。 例えば、以前、勤務先にて派遣の方が契約終了することになりました。 この方は、コミュニケーション能力も理解力も高く、すべて正確に気持ちよく作業して下さる方でした。

しかし、同じ職場の育休者が戻ったのと、ここ数年での機械化が急速に進み、紙と鉛筆で行っていたことの撲滅や小さな業務改善が積み重なり…契約を解消することになりました。 もちろん、コロナによる売り上げ減や経費削減もモロに影響しています。

派遣されているご本人も我々の現場を気に行ってくれ、「できれば長く働きたいな~」ともこぼしていました。これは、是非とも残ってもらいたい!現場の人間達は上席に契約更新や社員登録なども視野に入れてもらいたいと懇願しました。

人としても、非常に素晴らしい方なので、残念で仕方がありません。コロナもあり、世の中の情勢もグラグラしているので、企業の上層部がおいそれと採用できないのも分かります。懐事情や人事動向などもあるのでしょう。

『非正規』という時点で、簡単にさよならになる事実。 申し訳ないですが、社内を見渡すとオイオイお前さん、いつまでペチャクチャ喋ってるんですか…という『いるだけオジサン』が散在していたりします。

おそらく年功序列でさぞかし高い給与を頂いているんでしょう。  この派遣の方は、数年前まで首都圏で正社員で働いていたそうです。

しかし、いろいろ疲れてしまい、故郷である関西に戻り、まずは派遣から…とスタートしたとのこと。ゆくゆくは正社員にと思っても、一度、非正規雇用になるとそのスパイラルからは早々に抜け出せない。

いやもちろん、選ばなければ派遣から社員になれる業種もあるでしょう。でも、前職と同等の条件であったり、そこそこの企業の正社員となることは難しい。

1度降りたら、なかなか登れないステージがあると感じます。男女問わず。いや、女性の方が分が悪いかも。

女性は快適な職場であっても、結婚、配偶者の転勤、出産、育児…辞めざる得ない理由がどうしても出てきやすい。最近の20代30代前半は産後前後の制度改善により、ひと昔前より仕事をそのまま続ける人が増えました。

一方で40代以上の人は、新卒から働き続けているか、上手に転職している人、起業している人を除き、ほとんどの方がパートや非正規です。

それは年だからか?いやいや!20代、30代であっても一度正社員を辞めると再び正社員になるハードルは高い。どんなに優秀でも、スキルがあっても、再び正社員になるハードルが高い!

せっかく勉強して、時間的にもお金的にも労力的にも『教育』という投資をしても、 家庭的な理由であったり… 会社が合わなくてという理由であったり… 短期間だけでもゆっくりめに働きたい… となった場合、たちまち非正規になってしまいます。

再び正社員になりたい!と思った時、ハードルが極めて高くなっている。 一方で、たまたま運よく新卒から同じ会社に勤続した場合、違う現象も起きています。

近年、企業モラルが向上しており、ラッキーな恩恵をモロに受けていたりします。 私が所属する、昭和なモーレツ社風だった企業は、世の中の風潮に押されに押され、育休、介護、有給も昔よりもちゃんと取りましょう!となりつつあります。

15年くらい前は、みなし残業が横行していた企業がですよ!みんなが帰らないから私も帰れない…という状況でしたが、最近は「定時で上がれない人は業務を持ちすぎ!管理者は是正するように!」という流れになりました。

昔からいる私は信じられない!と呆気にとられます。良い傾向なのは間違いないですが、ここまで変わるか!とも思っています。 もう一つ、大きく変わったのが、体調悪かったら、絶対休んでください、という流れになっていること。 コロナ前では信じられないことかもしれません。

『ちょっとくらい体調不良でも出勤するべき』であった雰囲気が一新。『体調悪いなら会社に来ないで!』に変化しました。コンコン咳をしている人が職場にいると、「帰った方がいいよ~」と誰もが声をかける雰囲気になりました。

リモートワークについては、出社に戻る傾向におされていますが『体調が悪かったら休む』というよく考えれば当たり前のことが市民権を得てきている気がします。

結局、元々ステージに登れている人は、コロナで何だかますます手厚い部分が出てきたのに対し、ステージに登れていない人は、コロナで切られたり、より冷遇されている気がします。

もちろん、最近は人手不足が顕著なので、ひと昔前よりも求人は増えました。 でも、子育て中だったり条件が縛られている人は、選ばないと自分も周囲も崩壊してしまうこともある。

就職できるやろ!とはいかない理由があったりします。 私もステージからたまたま下りなかった人です。 職場にクッソーと思ったり、転職したい!と考えることはもちろんあります(もしかして、人より多いかもしれません)。

氷河期に就職活動をした人間なので、勿体ない根性もチラつきます。 一方、前述した通り同じ企業でも、昔より劇的に改善されました。パワハラモラハラも激減しました。

新卒から同じ職場に勤めていても、近年は快適な職場環境が用意されているなぁと思うのです。

だから、『ステージから降りるの勿体なくない?』と多くの人が思うのも分かります。 そして、そのステージにいると、年功序列という順番待ちが控えているので、必死に仕事をしなくてもそこそこの待遇はもらえたりします。

『何もしないオジサン』が増えるよね。日本企業、世界への影響力なくなるよね。そりゃ。

欧米では『専門的な職種を増やし、受け皿を増やしている』とありました(半面、簡単な職種は移民などが就くという複雑な社会構造になっているようですが)。

 ヨーロッパでは人材の流動が盛んです。「前職は○○で働いていたけど、今はここにいるんだ~」と簡単に言います。

日本では技術職は同業への転職を防ぐための契約書を書かされたりします。業界内での流動は技術系ではあまり起きません。

しかし、欧米ではライバル会社の人材が来月から同業の違う会社で働くなんてこともザラ。

新卒から日本企業に20年近く勤めるオバちゃんは。 まだまだ日本での改革は時間がかかるでしょう。

でもどこかで『淡い期待』はしています。 なぜなら、自分の所属するどうしようもない昭和風ブンブンの企業でも、この10年ほどで残業も驚くほど減り、出産前後の制度も改正、職場環境も確実に向上しています。

あと一歩。もう一息だと思いたい! 職場を去った派遣の方のような優秀かつ働きたい意思のある人が思いっきり働け、投資した学びや技術が活かせる日本社会になることを強く望みます。

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