季節の変わり目や年末年始のセールには多くの人が集まりますが、そこにお金持ちの姿はあまりありません。
100円ショップやスーパーにお金持ちが普通に出没しているのとは反対です。
彼らがセールに行かない理由は、大きく分けて二つあります。
一つは、本当に必要な物・買いたい物以外にお金を使いたくないためです。
売り手の都合で買わされるのを避けている、と言い換えてもよいかもしれません。
人は無意識のうちに、自分にとって都合のよい情報を集めてしまうものです。
たとえ買うつもりがなかった商品でも、店頭で声がかかり、販売員に言葉たくみに売り込まれれば、「なるほど……それなら、あったらあったで便利かもしれないな……」などと、自分の脳内の都合のいい情報や理由と紐付けて、その商品の購入を正当化してしまいます。
こうした心理のはたらきは、行動経済学で「確証バイアス」と呼ばれているものです。
お金持ちは、こうした事態に陥るのを避けるために、そもそもセールには行かない選択をしているのです。
ECサイトでの買い物であっても、目的の商品をクリックして注文したら、すぐにサイトを閉じるというお金持ちも多くいました。
セールでは集まってきたお客に一つでも多く商品を買ってもらうため、さまざまな販売戦略が駆使されています。
販売員の声かけだけにとどまらず、広告や店頭の展示、時間限定の安い価格設定など、科学的に検証された、視覚的にも心理的にも強力なさまざまなテクニックが駆使されています。
その場にいれば、「あなたにオススメの商品はこちら」「この商品を買った人はほかにもこんな物を買っています」といった誘導営業にどうしても振り回されてしまいますから、そもそもセールのような“売り込まれることが確実な場”には、最初から行かない選択をするお金持ちが多いのです。
お金持ちがセールに行かないもう一つの理由は、買うタイミングを値段で決めるのではなく、自分にとって今必要かどうかで判断するためです。
ステキな洋服があっても、「セールになったら買おう」「安くなったら買おう」と考え、その場では買わないことがあります。
しかしその後、実際にその商品がセールの対象になればよいのですが、いざセールになったらすでにその商品は売り切れていたり、希望の色やサイズがなかったり、セール対象になっていなかったりすることが少なくありません。
こういう失敗をすると、人によってはかなりダメージを受けます。自分が必要だと強く思った商品は、タイミングを逃さず手に入れるべきでしょう。
たとえば洋服ならば、その服を手に入れたことであなたの幸福度が上がるうえに、買った日からすぐに何度も着る機会を得られます。購入のタイミングを遅らせば遅らせるほど使う機会が減っていき、本来の価値を発揮しにくくなるでしょう。
お金持ちの方はそう考えることが多く、そもそも「ほしい!」と思ったらセールを待たずにすぐ買ってしまうため、セールに行かなくなるのです。
店側に売り込まれるセールには行かないものの、値引きができる家電量販店には好んで足を運ぶ、というお金持ちの方に出会ったことがあります。
店員とのやり取りによって、“その場で値引き交渉ができる”ところがポイントです。
その方いわく、「特に家電の新商品については、 “最新型”というだけで割高な価格設定になっているので、交渉で値引きをしてもらいやすい」のだとか。
自分で価格交渉ができ、買うかどうかも自分で決められるところが、ここまでにも説明してきたお金持ちのスタンスや感性に合うのかもしれません。
必要なタイミングで、使ったお金以上に価値を引き出せる物を、適切な価格で買う。
お金持ちから学んだ、賢いお金の使い方の大原則です。