氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「偽減税」にだまされるな、“増税メガネ”岸田首相、減税強調も12月から増税ラッシュ

増税メガネ」などとの揶揄に耐えきれなくなったのか、岸田文雄首相が「減税」も政策メニューへ加えることになりました。  

岸田首相は、筋金入りの増税主義者として、国会のある永田町では知られてきました。自身の出身派閥『宏池会』では、財務省出身者が名を連ねており、増税を主導してきた面もあります。  

過去をさかのぼれば、宏池会出身の池田勇人元首相は、「1,000億円施策、1,000億円減税」を掲げ、日本の高度経済成長を減税という形で支えました。有名な『所得倍増計画』では、防衛費を最小限に抑え、民生向上を中心とした経済政策に優先的に配分していきました。  

宏池会が外交面ではリベラルな立場を貫く政治家が多いにも関わらず、自分たちが「保守本流」であることを事あるごとに強調するのは、こうした戦後の経済成長を、宏池会が引っ張ってきたことが念頭にあるからです。  

しかし、宏池会は、池田政権の「官僚主導」という側面だけが拡大していくという組織の変容を遂げていってしまったようです。

今では、自民党全体でバラマキ政策を練り上げたところで、必死でファイナンスをする役目を負わされることになっています。  

宏池会は、自民党内で財源や増税議論をするたびに重用され、影響力が拡大する派閥に成り果ててしまったのです。  

岸田首相も、そんな宏池会を表した政治家の1人です。

岸田首相は、かつて「日本の政治は消費税率引き上げにさまざまなトラウマがあります。

成功体験を実感することが大事だ」「消費税を引き上げる、ぜひ、この引き上げを円滑に行うことによって、引き上げの成功体験を国民の皆さんとともに実感し、未来を考える、こういったことの意味は大変大きい」などと発言しています。  

増税が一部のバラマキ先の財源になるという意味では、一部の人にとっての成功体験になるのだろうが、大半の人にとってはただ負担が増えるだけの結果になります。 

日銀が2000年に発表したレポートによれば「国民負担率が1%上昇すれば成長率は0.30%低下し、潜在的国民負担率が1%上昇すれば成長率は0.27%低下する」「国民負担率の上昇→貯蓄率の低下→資本蓄積の阻害→成長の制約というメカニズムの存在を示唆しているように思われる」といいます。  

また、国民負担率(税・社会保障負担の国民所得に対する割合)の上昇により可処分所得が減少すれば、消費支出が削減されるほか、貯蓄の減少ももたらすことになります。

国全体としての貯蓄率の低下は、中長期的に資本ストックの減少をもたらし、潜在成長率の低下につながるといいます。  

いずれにしろ、国民負担を軽くしなくては、消費は増えないし、経済成長も果たせないということです。  

家計について、岸田首相は、「低迷してきた賃金は物価高を上回る、3.5%超の引き上げで労使交渉が妥結し、最低賃金も来月から4.5%引き上げる」(2023年9月22日ニューヨーク経済クラブでの岸田文雄首相の講演より)と発言したが、実質賃金は17カ月連続でマイナスです。  

スリードを誘う言い方をニューヨークの投資家相手にしているわけだが、岸田首相は証券会社の営業にでもなってしまったのでしょうか。  

額面上の賃金ばかりを与野党含めて議論したがるが、私たちにとって大事なのは、当然ながら、手元に残る賃金が大事であり、実質賃金が上がらなくては何の意味もありません。

このままでは、取られる所得税が増えるだけの話です。

「11月26日投開票」の総選挙を行うのではないかという情報が駆け巡り、10月22日投開票の補欠選挙で、与党候補の苦戦が伝えられると、早々に総選挙の意思を撤回しましたが、自民党総裁任期が1年を切り、尻に火がついたのでしょう。  

増税メガネの汚名を払拭すべく、減税政策をまとめようとしています。

報道ベースだと、10月中に減税を含めた経済政策が自民党で取りまとめられることから、この政策を掲げて解散総選挙に打って出ようとしていたのでしょう。  

12月には防衛費の大幅増額の財源1兆円の増税の実施時期を決めなくてはならず、来年以降は以下が廃止される予定です。

・復興特別所得税(徴収期間が14~20年延長)

・高齢者の介護保険(ある程度の所得のある高齢者の負担増)

国民年金国民年金保険料の納付期間が5年増え、約100万円の負担増)

・森林環境税(1世帯あたり年間1,000円を住民税と併せて徴収)

・生前贈与(相続税の対象期間が広がるという事実上の増税)  

2025年には「結婚子育て資金の一括贈与の特例」も廃止される予定です。  

さらには、異次元の少子化対策の財源として、社会保険料の年6,000円増を実施する計画が政府内にあります。

当たり前のことだが、政府が税金を徴収して配る行為は、経費がかさみ、配る対象も不公平になってしまいます。  

それで政策効果が期待できればいいのですが、防衛費が増えて日本周辺の安全保障環境は何一つ改善されておらず、少子化対策に至っては政府内でも効果がまったく出そうにありません。  

少子化対策大臣は『社会の空気を変えたい』などと、政策効果がでない予防線を張り出しています。

社会の空気を変えたいなら、莫大な予算など必要ないはずです。

ガソリン価格の高騰にも、かたくなに補助金で対処していますが、補助額と小売価格の実態を調査したところ、(2022年)7月12日には累計で1リットル当たり45.2円分、8月9日には累計で1リットル当たり46.2円分が消費者に還元されなかったといいます。

つまり、補助金のうち1リットル当たり46.2円が、石油の元売りとガソリンスタンドへ「中抜き」として消えていった計算です。

減税であれば、このような「中抜き」は、仕組み上起こり得ません。

こんなことを続けていくと、税金がいくらあっても足りないということです。

この中抜きとバラまいた補助金も含め、後から支払いをさせられるのが国民です。詳細は、

つまり、自公政権は、11月に選挙をやらないと、バラまくだけバラまいて実施時期を決めずに逃げ続けてきた大増税と向き合う必要があり、その意味でも、11月の選挙は、増税について触れなくて済む最後のチャンスだったのです。

しかし、不人気のせいで選挙も打てず、増税も止められず、支持率の停滞は続くことになります。  

11月にまとめられる減税額が、防衛費増税1兆円(+異次元の少子化対策財源増税)を上回ることは難しく、全体で見れば事実上の増税ですが、自民党は必死でその事実を伏せるべく、メディア・コントロールを行っている最中ということです。  

経済合理性を欠く政策ばかりを行って、今さら、減税を唱えたところで、支出してしまった税金は増税という形でしか解決できないのであり、これから岸田政権の暴飲暴食のお会計が国民に回ってくるタイミングということです。  

日本経済や社会の中長期的な視点から考えて、効果のない政策はやめて、あらゆる努力で国民負担を軽減する政府へと転換しなければ、経済、家計に打撃を与え、現在の社会保障やインフラが維持できなくなってしまうでしょう。

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