男性が低い傾向に 現代社会において、結婚するのが当たり前といった、価値観は主流でなくなりつつあるものの、未婚者が少数派であることも事実です。
肩身が狭い思いをどこかでした経験がある、おひとりさまも少なくないでしょう。 また、家庭をもちたい、子どもがほしいといった思いを抱えつつも、思うようにいかない人も多くいます。
一方で、おひとりさまの中には、自分の意思で結婚を選択しなかったという人も、男女ともに珍しくありません。 お金や時間を自分に注ぎ込み、しゅみなどを楽しむ人や、フリーダムな気持ちで身軽に生活している人も多くいます。
男女のおひとりさまの満足度の差を確認した上で、その理由について考えていきます。
ジブラルタ生命保険株式会社は、20歳から69歳の未婚男女4700名(男性2350名 女性2350名)を調査の対象とし、「おひとりさまに関する調査2022」を、インターネットリサーチで実施しました。
本調査では、おひとりさまの現在の生活の満足度を、男女別に明らかにしています。 「現在の生活に満足しているか」という問いに対し「満足している」と回答した人は、52%「満足していない」と回答した人は48%でした。
男女別に見てみると、男性のほうが全体的に満足度が低い結果となっています。
「満足していない」と回答した人がもっとも多い層は、40歳代男性次いで50歳代男性です。 この世代は氷河期世代に該当するため、就職や結婚などが他の世代と比べて不利な部分もあります。
また、女性の中で満足していないと回答した人がもっとも多い層は50歳代、次いで30歳代でした。
「30歳代女性」は、結婚や出産について悩みやすい時期である他、周囲の結婚ラッシュや妊娠とも重なる時期です。 結婚に興味のない人であっても周囲と自分を比べてしまい、一時的に迷いが出ることもあります。
「50歳代女性」には、氷河期世代も含まれます。
また50歳代は自分のこれまでの選択が正しかったか悩む年代です。 しかしある程度悩むと、前向きに物事を捉えられるようになったり、現状の幸せに気付けたりすることもあるでしょう。
男女・都道府県別にみると、現在の生活に満足している人の割合が最も高くなったのは、男性では奈良県と大分県(いずれも62.0%)女性では福井県と福岡県(いずれも68.0%)でした。
“結婚=幸せ”ではないと思うか聞いたところ『そう思う』は76.5%、『そう思わない』は23.5%となりました。
結婚することが、必ずしも幸せであるとは限らないと感じている人が多いようです。 性年代別にみると『そう思う』と回答した人の割合は、いずれの年代でも男性と比べて女性のほうが高くなり40代(男性68.1%、女性83.0%)では、14.9ポイント差と意識差が最も大きくなりました。
あわせて、公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構、第5回独身者、40代から60代前半の老後生活設計ニーズ に関する調査、調査結果の概要における、現在独身生活を続けてきてどのように感じているかを見ていきましょう。
60歳代になって、「結婚しなくてよかった」と回答している人の割合は、全体の2割程度です。 女性の方がやや多く、女性は22%、男性は21.1%となっています。
「自分のライフスタイルを維持できてよかった」と回答している人についても、女性の方が多く、女性が23.1%であるのに対し、男性は16.9%です。
一方で、「子どもがほしい、ほしかった」と回答している人は、男性がわずかに多く、男性が14.9%、女性は14.6%という結果でした。
その他にも、1人では食事や健康の管理が難しいと考える人の割合は、男性は女性の約2倍(男性12%、女性6%)という結果となっています。
女性のゴールは、結婚、玉の輿と言われていた時代や、女子教育の目的が、良妻賢母の育成であった時代もありました。 また、幼い女の子が、将来はお嫁さんになりたいといった発言をすることも珍しくありません。
女性の方が、結婚に対する憧れが強いといった先入観がないとはいえないものの、実際は未婚女性よりも未婚男性の方が、1人で生きることの難しさを感じている人が多いといえるのかもしれません。
また、株式会社アスマーク、コンビニエンスストアの利用意識に関するアンケート調査によると、コンビニの利用率は、男性の方が全年代で高く特に35~49歳の男性の利用率が高くなっています。
この層の約4割が、週に3回以上にわたって、コンビニで朝食や昼食を購入しています。 コンビニで売られている弁当や総菜は味がよく、選びかたによっては必要な栄養素を摂取できますが、一方で手料理を望む人もいるかもしれません。
多くの人にとって食事はいちにちの中でも楽しみな時間であり、仕事をする上での活力になるものです。 食事において手軽さばかりを重視していると、生活に満足感を抱きにくくなったり、健康面において心もとなく思ったりする場合もあるでしょう。
さらに、内閣官房孤独・孤立対策担当室 、人々のつながりに関する基礎調査(令和3年) 調査結果の概要では、女性に比べて、男性の方が孤独感を抱いているという、データが提示されています。
このグラフを参照すると、孤独感がしばしばある・常にあると回答した人の割合は、80歳代以上を除いて全ての年代で、男性の方が女性よりも高いという結果になりました。
特に20歳代に加えて、30歳代の男性は他と比べて、孤独感がしばしばある、常にある人が、女性に比べて多いようです。
そして、歳を重ねてもその傾向は変わらず、シニア世代になっても、男性の方が女性よりも、しばしば、常に孤独感を抱いている人が多いです。
孤独感を少なからず感じている人の割合自体は、男性よりも女性の方が高いものの、強い孤独感、あるいは日常的な孤独感を抱きやすいのは、男性という見方もできるのかもしれません。 おひとりさまの満足度は、男女によっても異なります。
これまで見てきたように、女性の方が男性よりも、結婚しないという生きかたが、向いている人が多いと解釈できるデータも少なくありません。
結婚で得られる、モノもありますが、独身だからこそ得られる、モノも多くありますので、そうしたモノを見失わないように再度自身の生活を、見つめ直してもよいですね。