氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

氷河期世代の雇用助成金はどこに流れるのか?

2019年、政府は就職氷河期世代を、人生再設計第一世代と位置づけ、いつでも新たにチャレンジできる仕組みを今後3年程度で作り上げるとのことでした。

最近は、政府が氷河期世代の救済に乗り出した印象も感じますが、これが大企業への補助金の強化、あるいは関連する天下り団体への利益誘導に繋がるのではないかと、氷河期世代は警戒感を強めています。

人生再設計第一世代、旧就職氷河期世代の呼称についてですが、再設計と改称することで、再設計への積極的な取り組みをする企業を、補助金で支援するのが目的ではないかとの疑念があります。

資料には、特定求職者雇用開発助成金や、中途採用等支援助成金等の要件緩和とありましたが、このような補助金助成金が、氷河期世代に流れていくとは思えません。

どの会社にいくらの補助金が流れ、どのように使われているのか、このあたりは詳細に検討する必要があるものと思います。
本来厳格に、しかも適正に活用されるべき補助金が、利益誘導のため不正に利用されることも少なくありません。

コロナ禍で、多くの補助金の不正受給があったわけですから、勘繰りたくもなりますね。
これなら氷河期世代に限定した、減税措置を取ったほうが、まだましですが、潤うのは企業ばかりで、リアルな氷河期世代の支援に繋がっているとは到底思えません。

このような無職を就職させる、再設計の政策も必要ですが、ギリギリのところでとどまっている、氷河期世代を無職に落とさない政策も、重要な課題といえます。

氷河期で就職ができなかった、あるいは雇い止めにあった場合、自力で起業するより、他に選択肢がなかった人も多く、氷河期世代は個人会社を細々と経営して食いつないでいるかたも多いのです。

厚生労働省では、労働者の募集、採用における、年齢制限を原則禁止していますが、例外として、就職氷河期世代に限定した特例措置を、2025年3月末まで延長しました。

労働者の募集、採用における年齢制限と、就職氷河期世代を対象とした助成金をとり上げます。

①労働者の募集・採用における年齢制限
労働者の募集、採用の際、原則として、年齢を不問としなければなりませんが、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。
この例外的に認められる場合は、つぎのとおりです。


このうち最後の項目については、就職氷河期世代で、正社員雇用の機会に、恵まれなかった人に対する特例であり、2023年3月末までは「35歳以上55歳未満」と、具体的な年齢で示していたところ、昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までに生まれた人と生年月日で示され、2025年3月末まで延長されました。


また、ハローワークにも同一内容の求人を申し込むこと等の要件を満たした上で、就職氷河期世代で、正社員雇用の機会に恵まれなかった人を、募集対象とする直接募集や求人広告、民間職業紹介事業者への、求人申込み等の方法を併用することができます。

特定求職者雇用開発助成金就職氷河期世代安定雇用実現コース)
就職氷河期世代を、正規雇用労働者、正社員として雇用する場合には、この助成金の利用が考えられます。
この助成金は、就職氷河期世代で、つぎの要件を満たす人をハローワーク・民間の職業紹介事業者などの紹介により、正社員として雇い入れた場合に対象となります。

雇入れの日の前日から起算して、過去5年間に正社員として雇用された期間を通算した期間が、1年以下である人

雇入れの日の前日から起算して、過去1年間に正社員等として雇用されたことがない人

ハローワークなどの紹介の時点で、失業している人または非正規雇用労働者など、安定した職業に就いていない人で、ハローワークなどにおいて、個別支援等の就労に向けた支援を受けている人

助成金の額は合計60万円、大企業は50万円で、対象期間を6ヶ月ごとに区分し、2回に分けて支給されます。
また、対象となる労働者を雇い入れ、訓練と賃上げを実施した場合に、この就職氷河期世代安定雇用実現コースの、1.5倍の助成きんを支給する、成長分野人材確保、育成コースが設けられています。

この助成金の金額は、およそ年収400万円で正社員を雇用した際にかかる会社負担分の社会保険料、1年分程度といったところかと思います。
ただ、今まで非正規だったフリーターを、年収400万円で雇用するはずがないので、企業にとっては、おつりが来る金額かもしれません。

氷河期世代の労働力を、非正規の単発ではなく、正規雇用の定期コースで利用するなら、社会保険の会社負担分を1年分無料にしますよといったキャンペーンなのだろうと思われます。

一方で、35歳以上とはいえ、正社員で定年まで雇用するとなると、億単位の金額がかかるはずです。
まともな大企業なら、50万、60万ぽっちのお金で、スキルのない氷河期世代を、ほいほい採用するはずがありません。

となれば、まともな企業ではなく、もともと正社員の定着率が低い、ブラック企業が利用する助成きんになるものと想定するべきでしょう。
つまり、1年、2年で自発的に辞めていく人が多い、ブラック企業が利用するケースが多くなるものと思われますので、安定的な正規雇用の増加には、つながらないのではないでしょうか?

この制度を実用的なものにするためには、次のような条件にしなければ意味がありません。
助成金の支給を1年ではなく、最低5年程度の分割払いにする
・定着率の低いブラック企業は、助成金の対象から外す
・一人当たりではなく、年収に応じて助成金を支給する
・定着率の高い優良企業には、助成金を増やす

つまり、低賃金でサービス残業が当たり前のようなブラック企業は、もともと使い捨てるつもりで労働力を確保しますので、終身雇用などといったことは、サラサラ頭にはありません。

そのような企業に助成金を支給しても、税金の無駄使いです。
大企業でもサービス残業が社会問題化している状況ですので、中小企業ならなおさらです。
そもそも、就職氷河期世代のフリーターにはスキルがないという実態がありますので、助成きんで正社員にしようとしても無理があります。
これはもうどうしようもないことですので、助成金でなんとかなるレベルの話ではありません。
失われた世代は、既に失われ尽くしているのが現実です。
なかった世代ですので、もしかするとあったかもというような幻想は捨て去るべきです。

なので、氷河期世代を無理に正社員化しようとするのではなく、ニートやフリーターあるいは非正規雇用のままでも持続可能な、新しい社会の在り方を、模索していくべきでしょう。

これは批判が行くかもしれませんが、具体的には、正社員の社会保険料負担率を、現行の15%から20%へと上昇させ、会社負担分も合わせて合計40%へと、押し上げるなどの大胆な改革をしてはどうでしょうか?

併せて厚生年金の支給額を減額し、国民年金のみの受給者と同じレベルへ押し下げるのです。
現役世代には負担が多くなってしまいますが、このような方法しか、もう残ってはいないのではないでしょうか?

しかし、政治家が、選挙で落ちる政策は絶対やらないはずです。

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