氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

決して他人事ではない「若年性認知症」

不測の事態は、がんだけではありません。40代後半で10万人あたり17.4人、50代前半で10万人あたり51.3人……これは若年性認知症の有病率です。

認知症というと、だいぶ高齢になったらなるもの、というイメージがありますが、決して現役世代も無関係ではありません。

肺がんや胃がん、大腸がんと同じ程度のリスクがあるといっていいでしょう。 

一般に、65 歳未満で発症する認知症のことを「若年性認知症」と呼び、推計3万5,700人です。18~64歳の人口10万にあたりの有病率は50.9人、推定発症年齢の平均は51歳程度とされています。

 

 

がんは早期発見により「治る病気」といわれるようになり、治療後に仕事復帰したり、治療をしながら仕事を継続したりというのも、いまや珍しくありません。

一方、いまのところ認知症は進行を遅らせることはできても、治すことは難しいとされています。

もし、認知症を発症したら……気になるのは「お金」のことでしょう。

東京都『若年性認知症の生活実態に関する調査』(平成31年3月)によると、若年性認知症と診断された人のうち、発症前と同じ職場で働いている人はゼロです。

「解雇」14.3%も合わせると、7割近くが「退職」の道を歩んでいます。

また10%が「住宅ローンの返済あり」となっています。

仮に50代前半で若年性認知症を発症したとしましょう。給与は平均月42.2万円、手取りにすると32万円ほど。年収は推定694万6,900円です。

平均通り新築マンションを購入したとしたら、ローンの支払いはあと20年ほど、残金は2,000万円を超えています。

このまま、今の職場で働き続けることはできず、収入減は避けられそうもありません。 若年性認知症と診断されたら、将来を悲観するしかないのでしょうか。

子どもが生まれてから「マイホーム」を考え出す人も多いのでしょうか。マイホーム購入世帯の世帯主の平均年齢は、注文住宅(新築)で40.9歳、分譲戸建て住宅で38.4歳、分譲マンションが44.3歳です。

その価格は、

注文住宅で4,879万円(うちローンが4,036万円、返済期間は建築費が32.9年、土地購入費が34.2年)

分譲戸建て住宅が4,205万円(うちローンが3,406万円、返済期間は34.1年)

 

 

分譲マンションが4,674万円(うちローンが3,337万円、返済期間は32.0年)です。

仮に平均的な年齢で平均的な新築マンションを購入したとしたら、月々の返済は10.1万円ほどです(以上、国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』)。

そして「収入」について、男性正社員の平均給与(所定内給与額)は月34.8万円。手取りにすると、夫婦と子ども1人でおよそ27万円です。

賞与も含めた年収は571.1万円。20代前半で月24万円ほどだった給与は、年齢と共に上昇し、50代で月40万円を超え、年収は700万円弱に達します(以上、厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より)。

最後に「老後」についてです。

平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳。それに対し健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳。

そんな老後を支える年金は、元会社員の65歳以上男性で17万0,391円、女性で10万9,205円です(以上、厚生労働省『人口動態』『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』)。 以上が平均値です。

ただすべてが平均通りいくわけではありません。不測の事態に見舞われ、ライフプランが大きく変わってしまうこともあります。

たとえば病気です。日本人の死因第1位はがんですが、男性の場合、肺がんや胃がん、大腸がんは年齢と共に羅漢率は上昇。70代後半では10万人あたり400~600人ほどになります。

がん=高齢者の疾病というわけではなく、現役世代でも羅漢する人も。女性の場合、乳がんの発症率は40代後半で10万人あたり211.3人と、いったんピークに達します。

決して他人ごとではない若年性認知症です。

診断後も自身と家族との生活は続いていくので、そこで気になるのはやはり収入です。

会社勤めであれば傷病手当金を申請することができますし、認知症の症状が進んだ際には、精神障害手帳を取得し、障害年金の申請もできます。

たとえ、現在の仕事を続けることが困難でも、企業によっては障害者雇用制度で採用という道もありますし、就労継続支援事業所で働き続けることもあります。

認知症だからといって社会参加を諦める必要はなく、収入減は避けられませんが、収入ゼロは回避できるでしょう。

 

 

そして住宅ローン。たいてい団体信用生命保険に加入しているでしょう。症状によっては返済が免除される場合もあるので、一度、確認することをおすすめします。

若年性認知症の場合、症状が進んでも、若いだけあって体力があり、力が強いのが、介護の際に少々厄介です。

施設での介護が必要になっても、場合によっては入居等を断られるケースがあります。

家族の負担軽減のためにも、症状が進行する前に、施設選びを進めることが重要です。

また財産の管理についても、症状が進行する前に整理することが大切です。

たとえば、最近、認知症対策として知られるようになったのが家族信託です。

預金や株券、不動産等の財産を、本人に代わり運用していくことができる制度です。

症状が進み問題が起こる前に、家族まじえて話し合っておきましょう。

まさか自分が……若年性認知症と診断されたら、誰もがそう思うでしょうし、自身だけでなく家族も不安でいっぱいになるでしょう。

そんな不安に寄り添い、解決してくれる制度等、充実しています。

社会の理解も進んでいますので、将来を悲観するしかない、というものではなくなってきています。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村