氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「残業=頑張っている」から「残業=無能」へ

コロナ禍以降、リモートワークやフレックスタイム、出社時の時差通勤など自由度の高い働き方が広がっています。

ただし自由度が高いといっても、オフィス通勤が当たり前だった時代のように会社に残って夜遅くまでダラダラと残業することは許されなくなっています。

残業が減った直接の背景には、2019年4月から施行された働き方改革関連法の「時間外労働の罰則付き上限規制」も影響しています。

原則として残業の上限は月45時間、年間360時間。労使協定を締結すれば、年間720時間以内まで可能となります。

在宅勤務であっても長時間労働による心身の疾患が発生すれば労災事案となり、会社にとってもリスクです。

 

 

実際、残業時間はコロナ禍以降減少しています。20年を100とした所定外労働時間指数はコロナ禍前の18年は117.5、19年115.1でしたが、21年は105.2、最新の22年7月も109.8です。

感染拡大が始まった20年が底であることには変わりませんが、現在もコロナ禍前には戻ってません(厚労省の「毎月勤労統計調査」を参照)。

また、オープンワークの調査(21年12月16日発表)によると、13年の月間平均残業時間は46時間でしたが、以降徐々に減少し、21年は24時間です。

8年間で、22時間も減少しています。

ちなみに、仮に月給30万円の場合、46時間の残業代は10万7824円(160時間÷30万円×1.25)。それが24時間なると5万6256円です。差し引き約5万2000円の減収となります。

近年では残業抑制策として「固定残業代」を支給する企業が増えています。固定残業代は、残業時間がゼロでも支給されます。

固定残業代の労働時間数より労働時間が少ないと、その分得をすることになります。

もちろん想定残業時間を超えて残業した場合は超過分の残業代は支払われます。

労務行政研究所の「人事労務諸制度の実施状況調査」(22年2~5月)によると、「定額残業手当」を支給している企業は10年には7.7%にすぎなかったですが、13年に10.7%、18年に12.5%と徐々に増加し、22年には23.3%に上昇しています。

 

 

また、固定残業代の時間数の設定では、最も多いのは30時間の37.7%となっています。

10時間が6.6%、15時間が9.8%。20時間以内の企業が計31.2%も存在します。

固定残業時間は会社が想定している残業時間と見なすことができ、それを超えて残業することは「無能」の烙印を押されかねません。

以前のように遅くまで残業している人を「あいつは頑張っている」と評価される時代ではもはやなくなってきています。

限られた労働時間内にいかに効率的に仕事をこなし、成果を出すかが大きく問われる時代になりつつあります。

ただし、自由度の高い働き方といわれる在宅勤務にしても効率よく仕事をこなしているわけではありません。

日本生産性本部の「第10回働く人の意識に関する調査」(22年7月25日)によると、「自宅での勤務で効率が上がったか」の質問では、「効率が上がった」が18.2%、「やや上がった」が43.9%。計62.1%です。

一方「やや下がった」「効率が下がった」の合計は37.9%もいます。

前回4月の調査でも39.7%と、効率が下がった人が約4割に上ります。

もちろん下がった理由は人それぞれでしょうが、効率が下がると仕事の成果にも影響します。

在宅勤務になって仕事もライフも絶好調だという社員もいれば、仕事がなかなかはかどらないという在宅勤務に不向きな社員もいます。

おそらく仕事の進め方のタイムマネジメントを含めて自己管理ができているか、自律的な働き方ができているのかの違いもあります。

限られた労働時間やリモートワーク下でタイムマネジメントの重要性は以前よりも増しています。

ラーニングエージェンシーの「組織・チームの在り方の変化に関する意識調査」(22年4月27日)によると「10年前に比べて特に重視されるようになった一般社員のスキル・知識」のベスト3のトップは

タイムマネジメント」(56.2%)

「IT・デジタルに関するリテラシー」(54.5%)

言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)」(48.3%)となっています。

在宅勤務に限らず、出社してもフレックスタイムで出退社時間が各自異なります。

 

 

さらにフリーアドレス制の企業も増えており、部下が社内のどこにいるかさえも分からなくなっています。

社員の自律的な働き方が求められるニューノーマル時代では人事評価自体も大きく変わりつつあります。

従来の人事評価は行動評価と成果評価の2つが同じウエイトを占めていたが、行動評価が難しい中で目に見える成果評価のウエイトが高まっています。

Web会議で自分の意見・提案をはっきりと分かるように言えるなど、目に見える成果が問われるようになっています。

今後成果主義は、いや応なしに進むのは間違いないでしょう。

確かに従来のように『彼は頑張っている』といった行動プロセスが見えにくくなり、ややもすると短期の成果だけに目を向けがちになる危険はあります。

そこはうまくやるしかないありませんが、日本の企業はこれまであまりにも成果に注目するのが弱すぎです。

リモートワーク中心の働き方ではより成果を重視する傾向が強まっています。

コロナ禍で定着したニューノーマルな働き方は、たとえコロナが収束しても変わらないという企業もあります。

われわれがコロナ禍で得た自由度の高い働き方は一見、時間を自由に使えるように思えます。

しかし現実には、厳格な自己管理による自律的な働き方と成果が求められる厳しい世界が始まりました。

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