年金、健康保険、消費税、所得税、住民税など、ただ生きているだけでも、支払う義務があり、お金はかかるわけです。
もちろん産業や生活の基盤となるインフラ設備は欠かせませんし、人々が安心して生活するためには社会保障も必要です。
そのために国民は少しずつその費用を負担し、税金として納めることは重要です。
疑うべくもない当然の制度として、税制度を受け入れています。
しかし消費税は、持てる者=金持ち側の立場からすると、とてもおいしい税制です。
消費税は一見フェアに見えてこれ以上ないほど、アンフェアな税制です。
単にアンフェアなだけでなく経済の邪魔もしてしまいます。
これほど経済の邪魔をする税制は他にありません。
その理由は、「消費」されるものにしか税がかからないという消費税の特徴にあります。
お金に余裕がある人ほど、支出の中で株などの金融商品や不動産を買う割合が増えますが、そうした「投資」は「消費」ではないため消費税はかからりません。
節税できる上に、うまくいけばその投資はさらにお金を生みます。
つまり、金融資産というストックを「持てる者」は「消費」にあてはまらない買い物でさらに資産を増やすことができるわけです。
貧乏人は消費占める食料品の支出が大きいため、食べて生き続けるために買うことを避けては通れません。そして安いものを買うために、健康を害し、それが長年蓄積され病気になります。
逆に金持ちは食料品は高くても品質の良いものを買うことで、健康でいられます。
つまり、貧乏人は金持ちよりも平均寿命が短いと言われています。
そうは言っても、社会保障の財源確保のためには消費税は仕方がありません。
上がり続ける消費税とは反対に下がり続けた所得税について、消費税導入前の時代、所得税の最高税率は75%でした。
これは高収入の人にとって不公平だという声が経団連など財界を中心に起こり、彼らは所得税の累進性を下げようと政権に圧力をかけました。
それ以降、所得税の累進性は少しずつ下げられ、代わりに消費税が導入され、消費税増税が繰り返されました。
今や日本の歳入に占める消費税の割合は、所得税を上回っています。
消費税は、所得税よりもはるかに逆進性の高い、つまり貧乏人の負担が大きい税制です。
日本よりも消費税率の割合が高い国はいくらでもあり、北欧などでは消費税率が25%にも達しています。
これをもって日本の消費税率はまだまだ低いという人もいますが、日本の消費税は、税率が『ようやく10%』であるにもかかわらず、所得税を抜こうとしているのです。
なぜこんな奇妙なことが起こるのかと言えば、税制がきちんと設計されてないからにほかなりません。
現在、所得税は10種類に分けられその種別により課税率も異なりますが、それによると給与に対する課税が最大40%以上にもなるのに対して、土地や借地権、建物、株式等の譲渡、株式から得られる配当にかかる税率は最大20数%です。
社会保障の財源を厚生労働省と財務省が別々に集めていることも縦割り行政で無駄です。これは単純に効率が悪いというだけでなく、漏れなく・重複なく管理されていない点に問題があります。
財務省と厚生労働省の集めるお金に、重複や漏れがあるということです。
健康保険や年金の保険料は財務省を通っていませんが、こうした保険料として集めたお金を配ることに関しては財務省も大きく関わっています。
お金を集める省庁において、必要性のない無駄な税金を垂れ流し、自分たちの利権にしがみついた公務員たちが合理的配分を行えるわけがありません。
変わらない労働者の給料、遅れるインフラ整備、科学研究の分野では予算が絞られ世界に後れを取って既に後進国になっています。
教育に対しても定員割れの大学に補助金を出して、家庭には十分な資金がつぎ込まれてはおらず子育て世帯の負担は増えるばかりです。
これらのお金の分配さえも偏りが生じており、このままいけば国民を不幸にさせるだけです。