氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

インフレが格差を拡大

一部大企業で賃上げが行われているようですが、その他の大多数の企業では賃金が上昇しないどころか今後景気失速で下がる可能性の方が強いのです。この状況下でモノやサービスの値段だけが上昇すれば、国民の生活が厳しくなります。  

賃金が上がらないのは物価に敏感だからという指摘もあります。日本人の値上げへのアレルギーは尋常ではなく、ステルス値上げ(内容量を減らし価格は据え置き)すらも買い控えの理由になってしまうのです。

 

 

そもそも長いこと賃金が上がっていないので、家計防衛のために値段に敏感になっているともいえます。

その結果、値上げにシビアな消費者に対して値下げをすることで商品の魅力を訴求することを覚えた企業が、値下げをしても利益水準を保てるように人件費を抑えるべく非正規雇用の割合を増やし、投資を抑制するなどしました。  

その結果、雇用環境が不安定な労働者が増えることによって、値上げにシビアな消費者の数が増えていくことを意味します。企業はさらに商品を値下げして売るという負のスパイラルに突入しています。  

厚生労働白書 令和2年版に、日本が成長できなかった平成の30年間をまとめたものがあります。

平成の30年間で高齢化率は12.1%から28.4%に高まり、出生数は125万人から87万人へと急減しました。少子高齢化が進んで、未婚率も男女ともに高まり、平均世帯人員は減少しました。

30年間で賃金は上がらず、非正規雇用の割合は19.1%から38.3%まで高まれば、結婚をしたくてもしない、子どもが欲しくても作らないという人が増えるのは当たり前です。

世帯人数が増えれば水道光熱費は増えていきますが、1人あたりで算出した場合は単身世帯が最も負担率が高くなります。

低賃金で不安定な非正規雇用者が経済的な理由から単身生活を選択せざるをえない状況の中で、物価や水道光熱費だけが上昇すればどれほど生活が大変になります。  

いまだに終わりのみえないコロナ禍において、進行するインフレは格差拡大を加速させています。

総務省の家計調査の中で支出を「基礎的支出」と「選択的支出」の2つに分類しています。基礎的支出は生活必需品、選択的支出はぜいたく品が対象です。  

2021年から生活必需品の価格が上昇しています。

ぜいたく品は高ければ買い控えても生活に影響はありませんが、生活必需品は価格が上昇したからといって買わないという選択ができません。  

頻繁に購入するものは生活必需品と重なっている品目が多いと推察されますが、頻繁に購入するということは、それだけ値上げを実感する回数が多いということです。  

生活必需品の価格が上昇すると、低所得者ほどその影響を受けます。

ここでいう生活必需品は食料、住居、水道光熱費、被服および履物、保健医療、交通・通信と生活に欠かせないものです。  

 

 

賃金が上昇しない中、海外から入国した安い労働力と時給ベースで安値競争を強いられています。

正規雇用という不安定な雇用条件を突きつけられている国民が増える状況下で、生活必需品の価格が上昇していくことは、低所得者たちをどん底に追いやってしまうことを意味します。

実際にコロナ禍における消費はどの品目で強く、どの品目で弱かったのか見ると、生きていくうえで不可欠な飲食料品、水道光熱費、医療といった支出はコロナ禍であっても減っていません。

むしろ通院する機会が増えて医療への支出は増え、リモートワークなどで在宅する時間が増えたことで、水道光熱費やデリバリーの利用が増えて関連支出も増えています。

一方で、娯楽、外食、宿泊、旅行といった余暇としての支出は大幅に減っています。低所得者からすれば、そもそも生活必需品に対する支出でほとんどの収入を使ってしまうため、コロナ禍で使うお金が減ったという印象はないのです。  

かたや富裕層からすれば、平時では旅行に行ったり、高価な外食を楽しんでいたのに、コロナ禍でそれらに支出することができなくなったため、むしろ現金・預金といった資産が増えています。

いわゆる強制貯蓄が発生し、多くの富裕層は使わなかったお金を株式市場、仮想通貨、不動産市場に投入したわけです。

そして、それらの市場は各国政府や中央銀行による財政出動や異次元の金融緩和によって支えられて堅調な値動きとなっていたため、出費が減ってお金が貯まり、さらに投資で増えるという好循環が発生しました。

その結果、コロナ禍におけるインフレは格差拡大を加速させてしまったわけです。

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村