ガンにならないためには体内環境のｐＨを反映する指標が重要と言われています。アルカリ化食はガンの勢いを鎮め、ガンをおとなしくさせるための食事とされています。
食品100グラムや飲料100グラムが体内環境をどの程度アルカリ性に傾けるか、あるいは酸性に傾けるか、その影響指数を示したものがあります。
この影響指数は、尿ｐＨが中性の場合を基準点（0）として、影響指数がマイナス（－）に傾けば傾くほど尿ｐＨがアルカリ性に傾くこと、逆に影響指数がプラス（＋）に傾けば傾くほど尿ｐＨが酸性に傾くことを意味しています。
食品別の影響指数を見てみると、
「肉や肉製品」を摂取した場合は+9.5
「魚」を摂取した場合は+7.9
「穀類」のうちパンを摂取した場合は+3.5、小麦粉を摂取した場合は+7.0、麺を摂取した場合は+6.7
また「乳製品」のうちチーズを含まない乳製品を摂取した場合は+1.0
低タンパクチーズを摂取した場合は+8.0
高タンパクチーズを摂取した場合は実に+23.6へと、尿ペーハーを酸性に傾けてしまうことがわかります。
一方、尿ペーハーをアルカリ性に傾ける食品や飲料を見てみると、
「野菜」を摂取した場合は-2.8
「果物や果物ジュース」を摂取した場合は-3.1
「飲料」のうちアルカリ性飲料を摂取した場合は-1.7と、尿のアルカリ化に寄与する食品や飲料は意外に少なく、かつ、アルカリ化の度合いもかなり小さいことがわかります。
そのため、例えば肉を100グラム食べた場合、尿ペーハーを酸性から中性に戻すだけでも、野菜を300グラム以上も食べなければならない、という計算になります。
尿ペーハーを酸性に傾ける品目として目を引くのがチーズ類です。同様に、肉や肉製品も酸性化のオンパレードです。
したがって、体内環境のアルカリ化を目指すなら、極力、チーズ類や肉類の摂取を控えることが必要になってきます。
同じ動物性のタンパク源である魚も体内環境を酸性に傾けます。ただし、魚のうち青魚（イワシ、サンマ、サバ、サケなど）には、DHA（ドコサヘキサエン酸）やEPA（エイコサペンタエン酸）などの、健康成分としての不飽和脂肪酸（ヒトの体内では合成できない必須脂肪酸）が豊富に含まれています。
したがって、動物性のタンパク源を摂取する場合は、肉類ではなく魚類、とくに青魚がよいといわれています。
体内環境をアルカリ性に維持することを目指すなら、日々の食事で野菜や果物をできるだけ多く摂取すること、あるいは酸性化食品は野菜や果物とセットで摂取すること、などが重要なポイントになってくるのです。
飲料では、コーヒーやワインには、赤ワイン-2.4、白ワイン-1.2、コーヒー-1.4と、若干のアルカリ化効果があります。 しかし、コーヒーに砂糖やミルクなどを入れた場合は、ブドウ糖や乳製品を併せて摂取することになるため、アルカリ化の効果を上回ってしまう危険性があります。
同様に、アルコールには体内環境を酸性に傾ける働きがあるほか、アルコール類の飲みすぎは高脂血症などによる慢性炎症の原因にもなりますので、ワインならいくら飲んでもよいということではありません。
また、脂肪や油はもともと非電解質であるため、尿ｐＨへの影響はほとんどないとされています。
バターの影響指数は+0.6、マーガリンのそれは-0.5とされていますが、バターは若干の酸性化食品であるとともに牛乳から作られる乳製品でもあり、マーガリンには体に悪いトランス脂肪酸が多く含まれているのでNGとなります。
ガンをおとなしくさせるための食事術には、植物性の食材を中心に精製、加工されていないものを丸ごと食べることが基本です。
具体的には、植物そのものである野菜や果物をできるだけ多く摂取し、タンパク質はできるだけ植物性タンパクを摂取することの2点です。
精製、加工されていないものを丸ごと食べるのが望ましい理由は、ガンをおとなしくさせる効果を最大化することができるからです。
食材にあれこれ手を加えたり、一部を捨ててしまったりすれば、それだけ食材の持つ力は失われていきます。
日々の食事にはおいしく食べるための工夫も重要になりますが、食材の持つ力を最大限に引き出すという点では、なるべく手を加えずに丸ごと食べることが理想的です。
食事以外にもガンになるかならないかの分岐点は、日常の至る所に潜んでいます。それを見分ける知恵を身につけ、日々の暮らしの中で実践することが、ガンで命を落とさないための第一歩です。
