昨年政権が変わって以降、個人投資家の多いマザーズ市場は悲惨な状況で、株式市場に冷たい岸田政権への恨み節の多いSNS上では「岸田ショック」と言われています。
その背景には、国がその自由な市場を規制するのではないかと受け止められる政策を打ち出したことで、 外国人投資家が日本株から一斉に撤退していることです。
完全に日本市場が先物を中心に売り込まれている感が非常に強くなっています。その中でも個人投資家の投げなどにより大幅に下落してしまったのがマザーズ市場です。
ネットでは、大損したり、相場から退場した投資家を「岸り人」と呼んでいるようです。
下げの主な要因は、米国の政策金利の引上げとFRBの資産縮小の見通しの不透明感を懸念していることです。
しかし、日本は少し違った要因も加わって、マザーズ市場では歴代3位の月間下落率を記録しました。
マザーズ市場の過去最大の下落幅を記録したのは、2008年10月のリーマンショック。最大マイナス36.6%、その次が2013年6月のバーナンキショック。最大マイナス36.4%でした。
マザーズは年明け1月の下落率はマイナス23.3%。最大下落率はマイナス27.2%となりました。2月、3月に入っても、特にグロース株を中心に株価の底打ちの気配は見えていません。過去の下落率から見てもさらなる下落があってもおかしくありません。
岸田首相が「企業の四半期決算の見直し」や「金融所得増税」など、世界の潮流と逆行する方針を示しており、世界の市場関係者の強烈な悪い印象を与えています。
改革色の強くない岸田政権が発足した後、世界的なヘッジファンド関係者は「日本売り」を加速しています。とにかく売り一辺倒で日本株は上がる気配すらありません。
特に、マザーズ市場は、グロース株が多く、成長分野・ニッチ分野を開拓する新興企業が多く上場をしています。
個人投資家も、配当利回りよりも、PERなどの期待値やトータルの成長性の高さを見て、リスクを取って投資をしています。
信用倍率という信用取引での売買動向などのデータを見ても、グロース株投資中心の個人投資家は相当の損失を抱えたまま3月に突入していると思います。
アベノミクスの恩恵で「億り人」となった投資家も、今では多額の損失を抱えて「岸り人」と自ら呼んでいるようです。
コロナ禍以降、ネットで口座開設が気軽にできることなどで個人投資家が増え、株式投資やビットコインの盛り上がりなどで、「億り人」を目指す個人が増えました。
今回の岸田ショックで、損切りできずに塩漬けのまましばらく株式市場から撤退する投資家が増えることは、新興企業への資金流入も抑え、日本がただでさえベンチャー企業が育たない状況に拍車をかけてしまうリスクもあります。
今後も原油高をはじめとするインフレ圧力や、金利高、ウクライナ情勢など市場を取り巻く環境はかなり不透明です。
しばらくは政治リスクが高いということ前提とし、マーケット情報に振り回されず、「岸り人」にならないようにする資産防衛を行った方がよいです。
短期売買ができないなら、無理をせず資産保全に徹するべきです。ボラティリティが高いので小さな波に乗れない人は、大波にさらわれて大損する可能性もあります。今年に限っては、一時的には「現金で待機」も有りと思います。
必ず心に余裕をもって、今年はどこかで大きな買いチャンスが来ると信じて、大荒れの株式市場と向き合っていたほうが無難です。