日本のひきこもりの総数は115万人を超えています。日本の総人口が1億2000万人ですから約100人に1人ということになります。
令和3年6月、内閣府による『子供・若者白書』の実態調査で、15~39歳のひきこもり推定数は「54.1万人」だそうです。
「自室からほとんど出ない」
「自室からは出るが、家からは出ない」
「ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」
「ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する」
と回答した方々の総数となっています。
ひきこもりは今までは若者だけと思われていましたが、中高年の引きこもりの実態も明らかになってきました。
内閣府は2019年3月に、自宅に半年以上閉じこもっている「ひきこもり」の40~64歳が、全国で推計61万3千人いると発表しています。15~39歳の推計54万1千人を上回り、ひきこもりの高齢化、長期化が鮮明になりました。
調査は2018年12月、全国で無作為抽出した40~64歳の男女5千人に訪問で実施し、3248人から回答を得て、人口データを掛け合わせて全体の人数を推計したそうです。 ひきこもりに該当したのは回答者の1.45%でした。
7割以上が男性で、ひきこもりの期間は7年以上が半数を占めています。
国はひきこもりの定義を、家からほとんど出ない状態に加え、趣味や近所のコンビニ以外に外出しない状態が6カ月以上続く場合としているようです。
専業主婦・主夫は過去の同種調査では含めていないようですが、この調査では家族以外との接触が少ない人はひきこもりに含めているようです。
きっかけは「退職」が最多で「人間関係」、「病気」が続いています。
60~64歳の層は、定年退職でひきこもりというのは少し違和感があります。退職して仕事や趣味が無ければ皆そうなります。
40~44歳の層は、まだまだ働き盛りの世代ですが、戦後最大の就職難である就職氷河期にひきこもりが始まった人が目立っています。
2003年の大卒の就職率は実に55.1%まで落ち込み、半分近くの人たちが大学は卒業しても、就職できなかったことになります。さらに、40歳~44歳では33.3%もの方たちが20歳~24歳でひきこもり状態になっています。
ひきこもり期間は「3~5年」が21%で最多で、7年以上となる人が合計で約5割を占め、「30年以上」も6%いました。 子供の頃からひきこもりの状態が続く人もいます。
暮らし向きを上・中・下の3段階で聞いたところ、3人に1人が下を選択し、家の生計を立てているのは父母が34%、自身が30%、配偶者が17%で、生活保護は9%でした。
悩み事に関して「誰にも相談しない」という回答が4割を超えています。
「就職・進学を希望するか」という質問への回答について「希望していない」が60.9%にもおよびました。これはかなり異様な数字です。
就職先で傷つけられた体験などから、社会そのものに希望を失って、仕事を探す意欲もわかない人たちが数多くいることを、この数字は物語っています。
「8050問題」とも言われる中高年ひきこもり、この状態を放置すれば、多くの家族が孤立し、親の死後には困窮・孤独死にまで追いつめられていきます。こういったニュースがこれから多く出てくると思います。
日本以外でひきこもりが特に多いのは、韓国とイタリアだそうです。韓国には約30万人のひきこもりがいると言われています。人口比で考えると、割合は日本とあまり変わりません。
いずれの国も、30歳までの成人した若者の親との同居率は70%以上です。成人してからも家から出て独立せず、親に面倒をみてもらいながら暮らせる家族主義的文化があります。
国力が低下していく日本の将来にとって、外国人労働者を増やすことよりも、日本人の社会的弱者を多く社会参加させることの方が重要かと思います。