リタイア生活で支払うことになるさまざまなコストと、それをコントロールする方法について紹介します。
コストといえば投資にかかるコストがよく話題になりますね。むかしとちがって、今は世界的に分散されたポートフォリオを低コストで運用できるようになりました。投資がコモディティ化するのはよいことです。
ただ投資以外にも注意すべきコストがあります。 リタイア生活においては税金を安く抑えることがとても大事です。節税しながら資産を取り崩す方法も学ばないといけません。
リタイアに向けて準備中の人の多くは課税繰延口座に大きな額を入れています。課税繰延口座は拠出金が所得から控除されますが、分配金の受け取り、必要最低分配額による分配が始まると、引き出す金額すべてに所得税がかかります。
ポートフォリオからいつ、どのように支出するのかを戦略的に考えると、生涯払う税金をかなり減らすことができます。ただしなかなかややこしいので、プロの助けを借りるのもよいでしょう。
将来、管理が楽になるように、働いているあいだに積み立てた口座を1つにまとめたいと思う人もいるでしょう。複数の口座で投資をしている人はめずらしくありませんので、リタイアはそれらを整理して統合するいい機会と捉えましょう。
早いうちにやっておけばあとあと楽になります。
専門家に見てほしいけれどコストはかけたくないという人はどうすればいいのでしょう?
いよいよ退職となったら、資産管理についてセカンド・オピニオンをもらうのがよいと思います。 プロに見てもらうといってもいろいろなやり方があります。継続的に資産管理を助けてもらうサービスもあれば、1回のみのサービスもあります。
金融商品の販売をせず、手数料をとってアドバイスのみを行うファイナンシャル・プランナーもいます。当然ながらいずれもコストはかかりますが、将来的に資産が増えたり節税できたりすればかかったコストを相殺できるかもしれません。
リタイア計画を確認して、本人が気づいていない問題点を指摘したり、所得税や相続税が将来のさまざまな決断に与える影響を教えてくれたりするでしょう。家族や友人にお金をあげたい場合や慈善活動に寄付したい場合も、もっとも効果的な方法を教えてくれます。
プロの力を借りることで自信を持って計画を進められるはずです。 リタイアの〝やり直し〟はできないことを肝に銘じてください。今日、くだした決断のせいで、あとで泣きを見るかもしれません。
たとえば税金が高くなったり、受給開始時期を誤ったせいで社会保障年金が減額されたりするのです。その段階になると失敗を補う経済的手段も少なくなっているはずです。
リタイア後の医療に関連して長期介護も心配する人が多いです。長期介護費をどのように扱うべきでしょうか?
というのも、どの程度の介護が必要になるかが人によってぜんぜんちがうからです。いえることがあるとすればバランスが大事ということ。
長期介護が必要になる可能性は高くありませんが、実際に必要になった場合の経済的な影響はかなりのものになるでしょう。
ファイナンシャル・プランナーに相談すれば長期介護がリタイア後の資産計画にどのくらい影響するかをシミュレーションしてくれると思います。研究によると長期介護期間は平均して数年ですが、経済的にも精神的にも大きな打撃になります。
事前に備えておくのが賢明です。クリスティン:自分でコントロールできる最後の項目は自律ということですが、9時5時の生活からやっと抜けだせたのに、リタイアしても自律が大事なんでしょうか?
自律なんて聞くとわずらわしいと思うかもしれません。でも自分を律することはとても大事です。資産計画と投資ポートフォリオが完成しても、計画どおりに実行できなければ意味がありません。
投資は感情と密接に絡んでいて、衝動的な決断を招きやすいです。株価の下落でパニックに陥って株を売ってしまったという話を聞いたことがあるでしょう?コントロールしなければならないのは自分自身の感情と衝動的な行動です。
経済的成功には、長期的な視点を持ち、コースを逸脱しないことが大事なのです。 コースを逸脱しないといっても計画を変えてはいけないというわけではありません。計画は一度決めたらそれで終わりではないのです。
数年ごとに見直して、目標がぶれていないか確認しましょう。ポートフォリオや予算、自身の健康状態などに応じて計画を調整しなければならないかもしれません。人生にはいろいろなことが起こりますし、変わらないものはありません。
リタイアした人に対してほかに助言は、リタイア後の人生設計はひとりひとりちがうことを忘れないでください。それはとても個人的なもので、どう生きるかはあなた次第です。周りの人の真似をすることはありません。
自分が幸せで充実していれば、それがいちばんなのです。どうかあなたらしいリタイア生活を楽しんでください。 やむなく早期退職された方は環境の変化に適応できず最初は苦労するでしょう。
落ち込むでしょうし、厳しい決断を迫られることもあるでしょう。でも自分の意思で退職した場合もリタイア生活はわからないことだらけです。先の予測が難しいのは現役時代となんら変わりません。
リタイアは旅のようなもの。よき友でありメンターでもある方が、現役を退くタイミングを計る3つの問いを教えてくれました。
〝充分働きましたか? 充分な蓄えができましたか? 充分に計画しましたか?〟というものです。これらの問いに〝イエス、イエス、イエス〟といえたなら、あなたもリタイアのときを迎えたということです。
