『好材料は買い』、『悪材料は売り』が基本ですが、それだけではありません。たとえば、決算発表前に業績向上が期待されていて、決算で増益が正式に発表されると、“これ以上よくならないだろう”と見られて『好材料出尽くし』となり、売り込まれる場合があります。
逆に、業績悪化が見込まれていて決算で減益や赤字が正式発表されると、“もうこれ以上は悪くならないだろう”と『悪材料出尽くし』となって、買われる場合もある。いくら業績がよくても、それで終わりと見られると株価は下落してしまいます。
『知ったら仕舞い』という相場格言があるように、多くの人が知ってしまってから好材料に飛びついても失敗につながる恐れがあるのです。
好材料が出たからと焦って買ったり、悪材料が出たからと慌てて売ったりしているようでは、いつまでも初心者のまま。中級者を目指すなら、悪材料が出尽くすのを待って底値圏で買うようにしたいものです。
さらに上級者向きとしては、好材料が出尽くしたら、これから下がると見て空売り(証券会社から株を借りて売却し、値下がりしたところで買い戻して利益を確定する投資方法)をするという手もあります。
相場は生き物なので、同じ悪材料でも、予想通りの悪材料なら『買い』となることもありますが、市場参加者が予想もしていなかった想定外の悪材料なら『売り』と判断するような柔軟な発想が必要です。
では、好材料や悪材料が出尽したと見分けるにはどうしたらいいのでしょうか。
ひとつの目安として、チャート上の株価水準から見分けることができます。何かニュースが出たら、直近3か月の株価推移を見て、その時点の株価が下限まで迫っていたら『悪材料出尽くし』の可能性が高まります。
逆に、過去3か月間の株価の上限まで迫っていたら『好材料出尽くし』ととらえることができます。
株価を動かす材料を知る“定番”は、やはり多くの市場参加者が目を通す「日本経済新聞」です。なかでも、【1】1面、【2】投資・財務面、【3】企業面の3つを重点的にチェックするのがいいです。
1面はもちろん、企業面もぜひ目を通してほしいですが、最も重要なのは企業業績の見通しなどが載っている投資・財務面。時間がなくてもここだけをチェックしておいてほしいのです。
ただし、見出しに目を奪われるのではなく、注目すべきは記事の“語尾”です。
語尾に『~と発表した』とあるのは会社発表で、すでにある程度わかっていたような鮮度の低い情報。
それよりも『~になるもようだ』『~になりそうだ』などとあれば会社発表ではない新聞独自の観測記事になるため、鮮度が高いといえます。
好材料出尽くしとなる前の新鮮な情報に触れるには、そうしたところにまで目配せするといいでしょう。
