個別株投資は、場合によっては見切って売る判断も必要です。その「場合」のひとつが、大きな含み損を抱えてしまった状況です。
投資をしていれば、持ち株のいくつかが含み損の状態になることは珍しくありません。例をひとつ挙げます。JT(東証プライム・2914)です。
高配当銘柄としてよく知られています。
「この企業の稼ぎ頭は、ロシアで行っている事業。ロシア事業が好調な限りはホールドし続ければいいだろう」とのストーリーを立てます。
ところが2022年2月に、ロシアがウクライナへの侵攻を開始。ロシア関連ビジネスには一気に不透明感が広がりました。西側諸国は、ロシアとの取引をどんどん縮小していきました。
日本も欧米諸国にお付き合いし、それなりの規模の経済制裁を行ないます。2「儲けにつながるストーリー」が完全に破綻したと判断し、含み損を抱えていましたが、スパっと見切って全部売りました。
その後の同社株は、2022年春に2200円ぐらいだった株価が、2024年には4500円前後まで上昇しています。ウクライナ侵攻の影響は、株価に、さほどなかった格好です。損切りをしましたが、いまでも持っていれば相当な利益が出たはずです。
自身の投資ポリシーに沿ったものだったからです。ちなみに当時、JTを売却して得た資金は、その後に別の銘柄の購入資金としました。それらの銘柄の株価が上昇しているため、いまでは損切った分以上の利益につながっています。
