氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「定年退職後」にやってくるお金の危機“3つの波”の乗り越え方

60代後半から70代になると、多くの人が年金生活に入ります。

まだ働いていて収入があっても、現役時代に比べると確実に少ない。  

定年退職時に受け取った退職金は、まだ残っているけれども、使い道が決まっていたり、いつまで長生きするかを考えたりすると、怖くて取り崩せない。

NISAって最近よく聞くけど、投資は、興味があっても、「損をするかも」と思うと、手を出せない。  

そんな、「ないない」スパイラルに陥る方が多いのです。

メインの収入源が、企業年金も含めた公的年金だけというのは、これ以上、手持ちのお金が増える見込みがないということです。  

つまり退職後は、ある程度まとまった資産を持っているはずなのに、気持ち的に「プチ貧乏」に陥り、過剰に家計を締めつけてしまう人がいます。そうならず、お金にストレスフリーな人生後半を送るために、どう考えるのが正解なのでしょう。  

年金生活者世帯の資産を、次の3つに分けてこの先10年を考える「老後資金三分法」です。  

●「残す」お金  ●「備える」お金  ●「使う」お金  

老後資金三分法は、自分の手持ちのお金を3枚の封筒に分けると考えるとイメージしやすいかもしれません。そして、この「老後資金三分法」で最も肝心なのは、分ける順番です。

最初に、手持ちの資産から差し引くのは「残す」お金です。言い換えると、自分が死んでしまった後に残しておきたいお金です。これさえ確保しておけば、あとは全部使ってしまってもいいのです。おひとりさまなど、誰にも残す必要がなければ、最低限の葬式費用や整理費用だけ確保しておけばいいわけです。

あるいは、ほかの2つのお金が予想以上にかさんだ時の「保険」として残しておくのもアリです。  

次に、差し引くのは「備える」お金です。リタイア後の生活では、これをしっかり確保することが心配事の解消につながります。最後に、残った分がこれから「使う」お金(今から使えるお金)となります。  

例えば、手持ちの老後資金が2000万円の場合、「残す」お金500万円、「備える」お金に500万円と分けていくと、「使う」お金は1000万円。  

単純に1000万円を月5万円ずつ取り崩すと、約16.6年。

これから使えるお金は多くなく、平均余命は70歳男性が約15年。女性は約19年です。

でも、これはあくまでも試算に過ぎません。

では、三分法のお金の分け方の詳細を1つずつ見ていきましょう。

「残す」お金は、  

・あなたが亡くなった後の家族(配偶者、子どもなど)の生活費  

・ご自身の葬儀費用、死後の手続き費用  

・使い切らずに、最後まで余裕を持って豊かに生きるためのお金  などが該当します。

ほかのお金と同じく、預貯金でも構いません。あるいは、亡くなった時に、家族が保険金を受け取れる終身保険などであれば、確実に、残したい人にお金を受け取ってもらえます。

「備える」お金は、「もしもの時」のためのお金です。  

・病気やケガの入院費用  

・要介護状態や認知症になった時の費用

 ・地震や台風などの災害、自宅のリフォーム費用  などが該当します。

このお金は、銀行の預金や郵便局の貯金で確保しておきましょう。ここでの注意点は、不測の事態に「備える」お金ですから、いつでも引き出せるよう「流動性」の高い普通預金・通常貯金に入れておくこと。定期預金等にする場合は、満期の短いものに変更しておいてください。

また、医療保険がん保険介護保険認知症保険、火災保険(地震保険)など、保険商品を活用するのもよいでしょう。

「使う」お金と言っても、全額がすぐに必要になるものではありません。次の3つに分けて考えることで、本当に今必要なお金を洗い出せます。  

・日常的な生活費  

・5年以内の近い将来使うお金(例:車の買い替え、旅行資金、子どもの結婚資金、孫の教育費など)  

・当分(5~10年以上)使う予定がないお金(例:老後資金、親・配偶者等の葬儀費用、墓地・墓石費用など)  

年齢や健康状態、資産残高によっては、当分使う予定がない場合、定期預金にしておいたり、低リスクの金融商品で運用したりすることもできます。

また、株式の配当や債券の利子、投資信託の分配金など、収益を定期的に受け取れる金融商品なら、元本を減らさず、年金の上乗せとしてお金を受け取るのも可能です。

あなたの老後は幸せに、穏やかに過ごせそうでしょうか。それは、最後までわからないことかもしれません。ただ、お金の側面から見ると、長い老後には、大きな3つの波(危機)があり、これさえ乗り越えれば、あるいは見通しがつけば、安心と言えるでしょう。その3つの波(危機)とは、次の通りです。

① 定年退職から年金受給まで(60歳代前半)  

② 配偶者に先立たれた後(80歳代前後)

③ 予想以上に長生きした場合(80歳代後半以降)  

60歳未満ならまだ対策する時間がありますし、すでに60歳以上でも、3つの危機を知り、これからお話しする方法をできる範囲で実践できれば大丈夫です。

①定年退職から年金受給まで(60歳代前半)  原則、公的年金の支給開始は65歳からです。  

ちなみに60歳の就業率は約7割です(総務省の「労働力調査」より)。ところが、給与は、60歳以降、年齢が上がると、どんどん下がっていきます。収入が減少する一方、支出はそれほど大きく減るわけではありません。

特に、要注意は「子どもの教育費」と「住宅ローン返済」の2大支出です。  

「結婚が遅くて、60代になっても、末っ子はまだ大学生……」  

「退職金で、住宅ローンを完済するはずが、思ったほどもらえなかった」

 このようなご家庭の場合、収入だけでは、支出がまかないきれず、貯蓄の取り崩し時期が早まることで、「資産寿命」を短くしてしまう恐れがあります。そうなると、気持ち的な「プチ貧乏」から「リアル貧乏」が現実味を帯びてきます。  

ここでの効果的な対策は、「できるだけ長く安定して働く」こと。そして、収入の範囲内で、「家計をスリム化させる」ことです。  

中には、定年退職前から、「ねんきん定期便」で年金額を確認し、その金額でやりくりできるよう、少しずつ生活をスリム化する人もいます。

とはいえ、日々の楽しみがなくなってしまうスリム化は、「自分の幸せに気づく終活」とかけ離れています。  

例えば、喫茶店でコーヒーを毎日飲むのが趣味なら、喫茶店に行くのは週1回、残りの日は自宅でコーヒーをいれるのはどうでしょうか。  

趣味や楽しみそのものではなく、その方法をどうスリム化するか。生活水準を下げずに、いかに生活コストを抑えるかを考えてみると、これまで気づかなかった楽しみ方を発見できるかもしれません。

②配偶者に先立たれた後(80歳代前後)  

夫など配偶者に先立たれた後、「おひとりさま」になってからの危機です。問題は、一方が亡くなると、世帯の収入が激減してしまうということ。  

総務省の令和4年「家計調査年報」によれば、2人世帯のうち、65歳以上の無職世帯の年金収入(社会保障給付)は月額20万2058円。年齢が上がっても、公的年金の額はそれほど大きく変わりませんので、夫婦で暮らしていれば、ずっと、約20万円の年金が受け取れるわけです。

しかし、夫と死別した65歳以上の女性の平均年金月額は12.1万円。これまで年金が20万円あったとすると、年間約100万円も減少します(厚生労働省の分析調査)。  

ここでの効果的な対策は、「夫婦仲よく元気に長生きする」ことです。  

単純なことのように感じるかもしれませんが、これがなかなか容易ではなく、しかも気づきにくいことなのです。つまり、日頃から健康に気をつけて生活するだけで、未来へのお金の備えになっているということになります。

③予想以上に長生きした場合(80歳代後半以降)  

最後は、長生きによって老後資金が枯渇し、生活が困窮してしまう「長生きリスク」。本来なら、長寿はおめでたいのに、リスクになってしまうなんて、悲しいことです。  

平均寿命(2022年)は、男性81.05年、女性87.09年。でも、周囲には、もっと高齢な人がたくさんいらっしゃいます。  

ここでの効果的な対策は、前述の2つの波(危機)をどのように乗り越えてきたか、対策を実行したか次第です。  

年を取れば、行動範囲も狭まって、それほどお金も使わなくなるという傾向はありますが、それでも、貯蓄が底をつき、年金だけでは生活できなくなったら、迷わず、行政や福祉サービスを頼ってください。  

ちなみに、米国では、「富裕層と貧困層では、寿命に10~15年も差がある」といった研究結果が発表されるなど、経済的な余裕と寿命には密接な関係があるとわかっています。

お金の危機を乗り切って、人生を楽しく長生きしましょう! 

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