氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

終身雇用と年功序列はもはや時代遅れ

外資系コンサル」が大学生のあこがれの就職先となるなど、優秀な学生が外国へと目を向ける傾向があります。また、せっかく日本の企業に入社してきても3年で辞めてしまうといったことも多いのです。

対策として、初任給の引き上げで呼び込みを図る日本企業も多いようです。  

しかし、終身雇用や年功賃金といった日本的雇用慣行はすでに崩壊していることに目をむけなければ、状況は変わらないでしょう。

日本の賃金は年功序列に基づいて決まり、労働者個人が賃金に口を出す余地は少ないのが現実です。

また、終身雇用で正社員を簡単に解雇できないので、賃金を上げると下げにくいという状況が生じています。

ここで、あらためて年功賃金や終身雇用について簡単に説明しましょう。  

年功賃金とは、賃金が年齢あるいは勤続年数に応じて決まる賃金体系のことです。年齢や勤続年数が上がるにつれて、賃金も上昇します。  

男女別の賃金カーブは、年功賃金を評価する際に用いられるもので、横軸に年齢、縦軸に賃金をとり、両者の関係を表します。  

21年のデータによると、20~24歳の平均賃金(男女計、所定内給与額)を100とした場合、男性では55~59歳で192、女性では50~54歳で131.9となっており、賃金が年齢ともに上昇する傾向にあることがわかります。

年功賃金を理論的に説明するひとつの考え方として、「後払い賃金仮説」と呼ばれるものがあります。これは、『人事と組織の経済学』の著者として知られる米スタンフォード大学エド・ラジア教授によって提唱されたものです。  

この仮説では、賃金カーブを労働者の生産性のカーブよりも急な傾きに設定します。つまり、図が示すように、企業は労働者が若い頃には生産性を下回る賃金を払い、労働者が年を取ったときには生産性を上回る賃金を支払うことになります。  

この賃金体系で重要なのが定年退職です。勤続年数が長くなると、賃金が生産性を上回るため、勤続年数の長い労働者は離職をしようとしません。しかし、それでは企業は損をしてしまうので、企業はあらかじめ雇用関係の終了時期を決めておく必要があります。これが定年制です。  

定年退職年齢は、労働者の企業への貢献度(生産総額)と賃金が一致するように決定されます。

この賃金体系のメリットは、労働者のモチベーションを向上させ、企業へのエンゲージメントを高めることです。

この賃金体系のもとでは、労働者は若い頃に勤務不良などによって解雇されると、将来に高い賃金を得るチャンスを失うため、長期間真面目に働くインセンティブが生まれます。

ただし、この賃金体系が上手く機能するためには、前提条件があります。それは、企業が長期にわたり安定的に存続することです。

もし途中で企業が倒産してしまうと、将来の高い賃金を目当てに、若い時期に生産性よりも低い賃金で我慢していた労働者は損をすることになります。

また、会社都合により途中でクビにはしない、言い換えれば終身雇用が前提となっています。  

しかしながら、終身雇用や年功賃金といった日本的雇用慣行は時代遅れのものとなり、機能不全に陥り、弊害までもたらすようになっています。  

かつて、日本的雇用慣行は、失業率を低く抑え、良好な労使関係を築く日本的経営の強みのひとつとして、世界から称賛されたものでした。しかし、その前提条件が大きく変化し、合理性が低下、機能不全に陥っています。  

日本的雇用慣行が広く普及、定着した背景には、持続的な高い経済成長と若い人口構造がありました。しかし、バブル崩壊後の日本経済は、「失われた20年」と称される長期停滞を経験し、同時に少子高齢化が進み、人口構造が大きく変化しました。  

つまり、日本的雇用慣行の舞台を支える2本の柱はすでに崩壊しているのです。それにもかかわらず、古いシステムが維持されているため、労働市場にさまざまな矛盾や問題が生じています。 失われている「多様な視点」  日本的雇用慣行は、専業主婦を持つ男性正社員を中心に構築されています。

そのため、高齢者や女性、非正規社員は考慮されていません。

それゆえ、日本的雇用慣行を維持しようとすれば、高齢者の就業が難しいだけでなく、女性が働こうとすると仕事と家庭の両立が難しかったり、正社員と非正規社員間で大きな格差が生じたり、さらには、正社員も終身雇用で守られることの代償として、長時間無限定就業や転勤など受け入れざるを得なくなっています。  

時代遅れの雇用形態に固執することで、さまざまな弊害が発生しています。

この古い体質の雇用慣行を維持することは、労働市場の柔軟性を損ない、日本の労働生産性を低下させる要因にもなっています。 

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