認知症は高齢者だけの病気ではなく、65歳以下の方でも認知症になるリスクはあります。若くして発症する「若年性認知症」は、生活習慣を見直すことで予防が可能です。
若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症のことです。若年性認知症を発症すると、就労の継続が問題になりやすいのが特徴です。
また生活費の負担や介護など、家族への負担が大きいのも特徴といえます。
東京都健康長寿医療センターらが行った「若年性認知症の有病率・生活実態把握と多元的データ共有システム」によると、日本では3万5700人が若年性認知症を患っていました。18歳~65歳の人口10万人あたり50.9人が発症していることになります。
高齢者の認知症と若年性認知症の症状に違いはありません。若年性認知症の主な要因は、「アルツハイマー病」や「血管性認知症」など、高齢者の認知症と同じです。
ただし、若年性認知症は働き盛りの世代のため、仕事や子育てをどのように継続するのかが問題になります。このような生活面での問題が高齢者の認知症と異なります。
糖尿病や高血圧、脂質異常症などの持病を持っている方は注意が必要です。
なぜなら、若年性認知症の主な要因である血管性認知症を引き起こす脳出血や脳梗塞のリスクが高いためです。
糖尿病や高血圧などは、生活習慣病と呼ばれています。つまり運動不足や偏った食事、喫煙、過度な飲酒といった生活習慣のある方が若年性認知症になりやすいといえます。
また若年性認知症になりやすい性格は、「イライラしやすい」「ネガティブ」「協調性がない」などともいわれています。
若年性認知症の初期症状として、怒りっぽくなることがあります。
認知機能の低下により、理解できないことが増えてイライラしやすくなるためです。また脳の機能が低下することで、自分の感情をコントロールできなくなるともいわれています。
怒りっぽくなる以外には「もの忘れが激しくなる」「職場や家事でミスが増える」「何事にもやる気がでない」なども初期症状としてあらわれる場合があります。
家族であれば、本人よりも早く異変を感じるかもしれません。おかしいと感じた場合は、専門医に相談しましょう。
若年性認知症は高齢者の認知症と比較すると、進行が早いといわれています。
40代で発症すると高齢者の2倍以上にもなります。そのため若年性認知症は、健康なうちから予防に努めることや、発症した際の早期の治療が重要です。
若年性認知症が疑われる場合は、「もの忘れ外来」がおすすめです。若年性認知症の初期症状では、うつ病や精神疾患などと混同されやすく、診断も容易ではありません
そのため、認知症の専門医に相談しましょう。
若年性認知症の予防には、生活習慣を見直すことがポイントです。
適度な運動、バランスのとれた食事、そして喫煙者の方は禁煙をおすすめします。
喫煙は動脈硬化や高血圧の原因です。血管性認知症のリスクを下げるためにも禁煙をおすすめします。基本的には生活習慣病の予防が、若年性認知症の予防になります。