氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「万博ゴリ押し」、東京五輪と同じ「上級国民だけが税金で大儲け」

徐々に盛り上がりつつある「万博ゴリ押しPR」ですが、現時点ではかなり厳しい戦いを強いられており、一般庶民が思いのほかシラけているのですだ。  

例えば、最新のマスコミ各社の世論調査は岸田政権並みに厳しい結果がでて、NHK世論調査で万博に関心があるかどうか尋ねたところ、「あまり関心がない」が38%、「まったく関心がない」が31%と、およそ7割が関心がないと回答しました。  

毎日新聞世論調査はもっと残酷で、万博の入場チケットを購入したいと思うか尋ねたところ、「購入したいとは思わない」が79%となり、「購入したいと思う」が10%にとどまりました。 

前回の愛知万博から20年ぶりの自国開催に加えて、参加国は史上最多の160カ国・地域となっています。

日本人が大好きな「日本のスゴさを世界にアピール」という意味では、格好の機会です。

一般財団法人アジア太平洋研究所(APIR)が2023年7月に発表したレポートによると、経済効果は2兆3759億円という数字が試算されています。しかも、人気芸人を多数擁する吉本興業もパビリオンを出展するということもあって、会社を挙げて盛り上げています。

パッと見た感じでは盛り上がる要素だらけで、テレビも露骨に「国威発揚」をしているにもかかわらず、なぜこんなにも庶民はシラけているのでしょうか。  

この手のイベントは盛り上がったところで、いざ開催してみると潤うのは一部の企業で、国民になんの恩恵もなく借金だけしか残らないという、みんな薄々気づいていたけれど、空気が悪くなるので言わなかったシビアな現実が、東京2020後にさすがにゴマかしきれなくなったことで、植え付けられてしまったトラウマです。  

東京2020もコロナ禍による開催延期や不祥事続発などすったもんだがありましたが、いざ開催となったら国民はお祭り騒ぎで盛り上がりました。

会場は無観客だったが、金メダルも過去最多となり、メディアは連日連夜のお祭り騒ぎで、「五輪特需」もそれなりにありました。  

わかりやすいのは、日本代表選手団の公式服装を手掛けた紳士服のAOKIです。連日メダルラッシュが続いたことで「東京2020公式ライセンス商品」がよく売れてシリーズ累計で3万着を販売しました。  

2022年8月、五輪ライセンス商品の便宜を図ってもらうため、五輪組織委員会の理事に賄賂を送ったとして逮捕され、それだけ危ない話を渡るほどの「旨味」が五輪特需にあったのです。

このように一部のスポンサー企業やゼネコンなどは確かに五輪で儲かりましたが、日本国民の大半のサイフには影響は「ゼロ」でした。  

21年はコロナ禍が終わったことで一時的に実質賃金が上がったように見えましたが、それからもずっとマイナスが続いています。

五輪後の22年、日本の1人あたりGDPは落ち続けてついに台湾に抜かれ、日本の衰退に歯止めがかからないことを示すデータは山ほどあり、一般庶民の「体感」として、東京2020が日本の景気に与えた影響など「ゼロ」どころかマイナスです。  

東京2020の経済波及効果は、開催前は東京都だけで約20兆円、全国で約32兆円とかなり強気の見積もりがなされていました。

実際、関西大学の宮本勝浩名誉教授が試算したところ、経済効果は約6兆1442億円あったといいます。  ただ、その一方で莫大(ばくだい)な費用がかかっており、トータルでは組織委員会や国、東京都の赤字総額は約2兆3713億円になったといいます。

しかも、「レガシー」ということで東京都や国は新しい施設を建てまくったので、それが毎年赤字を垂れ流し、新国立競技場は毎年約24億円、東京アクアティクスセンターなど東京都の施設も毎年約7億3200万円の赤字を垂れ流すことが確定です。

もちろん、これらはすべてわれわれの税金から賄われます。  

「消費税をゼロにせよ」「税金の無駄遣いを許すな」と叫びながら、なんのことはない、実はわれわれ自身が東京2020で凄まじい「散財」をしてしまっているのです。  

全体主義的な世の中になるというのは、コロナ禍の自粛・マスク社会でも証明された日本の特徴でネットやSNSでも、「東京2020で日本経済復活!」の大合唱でした。

クロス・マーケティングが17年5月に20~69歳の男女1000人に東京五輪開催に伴って期待することを質問したところ、「景気回復・向上」(31%)がトップになっています。  

つまり、日本人の中には「アスリートの夢のため」「世界平和を象徴するイベント」と奇麗事を言いながらも、「五輪をやったらドカンと世の中の景気も良くなるんじゃない?」と淡い期待を抱いていた人がかなりいたのです。

NHK放送文化研究所の「『東京オリンピックパラリンピックに関する世論調査』より」によれば、大会後に「盛り上がりは一時的なことに過ぎなかった」と回答した人はなんと65%でした。

「スポーツへの関心が高まった」という人は46%と半数にも満たず、「競技場でスポーツ観戦したくなった」は24%、「スポーツ中継が見たくなった」も21%にとどまっています。

このことからもわかるように、実は東京2020で純粋に「スポーツ」に熱狂していたのはマイノリティだったのです。  

では、大多数の日本人は盛り上がっていた理由は、金メダルがたくさん取れたことで、「日本人として誇らしい」というナショナリズムが刺激されたことや、このイベントで少しでも景気が良くなったりしないかという期待心からです。  

つまり、日本人がよその国の人々よりも過剰なまでに、「五輪」や「万博」というものに対して固執するのは、スポーツや科学技術、各国との交流スポーツが好きなわけではなく、シンプルに「日本人と日本社会に莫大な利益をもたらす」という神話を信じているからです。  

しかし、それが「幻想」だということは、実は1964年の東京五輪後から専門家が指摘しており、五輪はインフラ建設によるバブルを引き起こすが、その後の経済成長にはほとんど影響はなく、バブルの反動で不況になります。

それは万博も同じでこのように半世紀以上、経済の世界では常識として語られてきた事実が、東京2020後の惨状によって、あらためて証明されてしまったことで、「神話」を信じていた日本人に強烈なトラウマを植え付けてしまったのです。  

「こんなはずじゃないだろ、もっと世の中がガラッと新しくなるんじゃないの?」と落胆してしまった日本人もかなりいるはずです。

そんなトラウマを植え付けられた日本人たちが、「大阪万博で日本を元気に!」というちょっと前にも聞いたようなスローガンを耳にしたら、よほどのお人好しか、記憶力のない人ならば、「ウヒョー、楽しみだ! 1970年の再来で、万博によって元気な日本の復活は確実だ」と大はしゃぎできるだろうが、ほとんどの日本人はこんな感じでシラけるはずです。  

「ハイハイ、どうせまたカネの問題とか不祥事が続発してゴタゴタするんでしょ? それでどうにか開催にこぎつけてそれなりに盛り上がるけれど、景気が良くなるわけでもなく、社会が何か大きく変わるわけでもなく、カジノとかゼネコンとか一部の企業が儲けて、オレたちにはまた借金だけが残るってオチでしょ?」

五輪と同様で動き出した巨大プロジェクトは多くの利権が絡むので絶対に止まらず、政府の万博機運醸成費も38億円見積もられているというので、マスコミの「ゴリ押しPR」も今後さらに強化されます。

バラエティや情報番組がUSJのように万博会場をロケでレポートして、人気アイドルやお笑い芸人が多数出演する「万博特番」も続々とつくられるということは、今はシラけている人たちも、来年の今頃は「万博楽しみ!」なんて大盛り上がりしている可能性も高いのです。  

「踊る阿呆に、見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損」という言葉もあり、景気も上がらないし、借金も増えるという「オチ」はなにも変わらないのだから、ここはいっそ開き直って、万博ムードを思いっきり楽しむというのもひとつの手かもしれません。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村