氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

年収3000万円は当たり前で、移住希望者も続出、「日本一の金持ち村」ホタテ長者たちが明かす「驚きの暮らしぶり」

北海道・猿払村をご存じでしょうか。
オホーツク海に面する、人口わずか2700人の寒村だが、ここ数年「日本一の金持ち村」として脚光を浴びています。
総務省が発表した資料によると、2022年度の猿払村の平均所得は約732万円です。
この金額は日本トップクラスであり、金持ちが住む街として知られる東京都世田谷区や兵庫県芦屋市などを抑え、全国第6位です。
村の平均所得を押し上げているのが、ホタテ漁師の存在です。
約20年前、中国への輸出ルートを開拓したことで、北海道のホタテは一大産業に発展しました。
とりわけ猿払村のホタテはブランド品として価値が高く、村には年収3000万円の漁師が建てた「ホタテ御殿」と呼ばれる豪奢な邸宅が建ち並んでいます。
しかし、東京電力福島第一原発からの処理水放出を受け、中国が禁輸措置を取ったことで村を取り巻く状況は一変しました。
村内で水産事業を営む経営者は、「ホタテがコケたら村の税収が一気に傾く。
そうなったら村は終わりだ」と危機感をあらわにしています。
現地の様子はどうなのでしょうか。
浜鬼志別漁港は水揚げの真っ最中でした
10月下旬、猿払村を訪ねると、
猿払村は「日本最北端の都市」稚内市の東隣にある村です。
一日一便の直行便で羽田空港から稚内空港へ。
稚内の中心部から約50キロメートル。
シカの出没に注意しながら1時間ほど車を走らせ、ようやく村にたどり着いきました。
村には鉄道も走っていなければ娯楽施設や飲食店もありません。
あるのは漁港の近くにあるセイコーマート一軒だけです。
こんなうら寂しい「最北の村」で平均所得732万円は可能なのでしょうか――。
これが村を訪れた第一印象です。
まずは猿払村漁業協同組合に隣接する、浜鬼志別漁港に向かいました。
平日の正午、港に大量のホタテを積んだ漁船が次々と帰ってきました。
ホタテ船は5人乗りが基本です。
乗組員の構成を見るとベテラン、中堅、若手とバランスがいいです。
中堅以上になると貫禄があるが、若手は茶髪でどこにでもいそうな若者です。
作業を終えたベテラン漁師に声をかけると、他の漁師の視線がこちらに注がれました。
すると、ベテラン漁師は「漁協に聞いて」と発しただけで、岸にとめた車に向かい、走り去ってしまいました。
現在、ホタテ漁師に対する世間の風当たりは強いのです。
中国の禁輸措置を受け、政府は9月、水産業への緊急支援として1007億円の予算を投じることを閣議決定しました。
これに対し、「ホタテ漁師はこれまで散々中国で儲けてきたくせに」と厳しい声が出ているのです。
猿払村漁協専務理事が明かします。
「裕福な村に補助金なんていらないだろう。
こうした苦情の電話が来ています。
9月、10月は早朝からクレームが殺到し、電話口で『死ね』と言われたこともあります。
取材を受けると、どうしても『金持ち』『所得』の部分がクローズアップされてしまいます。
ですから取材にはあまり応じたくないのが本音です」 港では口が重かった漁師ですが、陸に上がれば饒舌です。
中堅のホタテ漁師が明かします。
「テレビ局からお見合い番組の企画が、猿払村のホタテ漁師に持ち込まれたことがありますが、結局実現しませんでした。
理由は猿払村の漁師の年収があまりにも高すぎるため。
その後の男性出演者のことを考慮して、見送りになったということでした」
北海道に漁業中心の市町村は他にもあります。
たとえば同じオホーツク海沿岸の枝幸村の平均所得は約463万円、雄武町は約434万円です(ともに2022年の平均所得)。
北海道全体では約318万円であり、どの自治体も平均より高いが、猿払村の平均所得は突出しています。
なぜ平均所得がこんなに高いのでしょうか。
その理由は豊かな漁場があるということだけではありません。
漁業特有の古い慣習をやめ、新たなビジネスモデルを作り上げたことが最大の要因です。
ベテランのホタテ漁師は、
「ホタテで栄えた時代もありましたが、その後は乱獲の影響で苦しい時期が続きました。
転機となったのは1970年代。
追い込まれた漁師は、村と協力して管理型漁業への転換を図ったのです。
これはホタテ共同企業体を設立し、漁師みんなで稚貝をまいて育て、みんなでホタテを捕って、みんなで儲けを分けるというやり方です」
猿払村漁協では海を畑に見立て、海域を4区画に分けており、1年ごとに区画を変えて操業しています。
毎年春に大量の稚貝を放流し、海の中で4年間育てます。
そして、漁のシーズンになると漁獲するというスケジュールです。
ただ、この「地まき」と呼ばれる漁法は、オホーツク海沿岸のほかの自治体でも行われています。
特筆すべきは、平等を重視するシステムです。
一隻のノルマは12トン
「通常、船主が乗組員を雇用し、船主の基準で儲けを分配します。
いわゆる『親方漁業』と呼ばれる手法で、これだと船主の権限が強くなります。
一方、猿払村では『組合員全員で儲けを平等に分配する』というやり方を採用しています。
既存利益を持つ漁師の反発もあった中、この画期的なシステムを取り入れたことで、みんなが金持ちになれたのです。
猿払村では、漁師同士による競争は存在しません。
助け合うことが基本で、
「猿払村のホタテ漁では何事も平等が基本であり、ほかの船を出し抜くということはありません。
『給料』も決まっているので、誰がどのくらい稼いでいるのか、だいたいわかってしまいます。
一般甲板員は40万円。
機関士が42万円。
船頭は45万円です。
個々がどれだけ水揚げに貢献しようが、金額は一定です。
これに加えて『増産手当』と『配当金』をもらえます。
増産手当というのは、漁協の計画より漁獲量があった場合に出るもので、いわばボーナスです。
年に1回、12月の精算時にもらえます。
一方、配当金は乗船期間に応じて支払われます「。
「5年目になると准組合員から正式な組合員となり、78歳まで配当金をもらえます。
『60歳定年制』も猿払村特有の制度です。
還暦を超えて漁に出るのは身体的にきついものです。
78歳まで配当金をもらえるのは、年寄りにはありがたいシステムです。
近年、中国への輸出は拡大の一途をたどり、ホタテ漁師の懐も膨らむ一方でした。
「増産金も配当金もほとんどの年で1000万円以上もらえました。
40歳を超えれば年収3000万円は当たり前です。
豊漁の年は20代でも2000万円を軽く超えます。
これだけの高収入が得られる仕事は珍しいのです。
当然、彼らの権利はかたく守られており、ホタテ漁師になれるのはホタテ漁師の息子だけです。
高収入を求める移住希望者が後を絶たないといいますが、世襲制のため、その願いがかなうことはない。
猿払村漁協専務理事は、ホタテ漁師になりたいのですが』という電話が来ますが、『こういう仕組みなので』と丁重にお断りしています。
後継者不足に悩む第一次産業従事者が多い中、猿払村のホタテ漁師にその問題は存在しません。
それどころか、ホタテ漁師の息子とはいえ、必ずしもホタテ漁師になれるとは限りません。
若手漁師は、
「代々ホタテ漁を生業としており、また親父たちの儲けぶりも見てきたので、(自分が)漁師になることに疑問はなかったですね。
ただし、ホタテ漁師になれるのは実子や養子が2人までというルールがあります。
兄弟が3人いたら1人は違う仕事に就くことになります。
ホタテ漁師の息子ではない人間がどうしてもなりたい場合、子供が女性しかいないホタテ漁師の家に婿入りするしかない。
ただ、婿入りしたよそ者の漁師が村をかき乱したことがあるらしく、娘婿はあまり歓迎されていません」
取材で出会ったホタテ漁師の収入には驚かされました。
漁のない冬の3ヵ月間はオフとなり、のんびり暮らす人も多い一方で、20代半ばの若手漁師の場合、副業もあわせて年収4000万円といいます。
そんな「ホタテ長者」の悩みは税金です。
ベテラン漁師は、我々は個人事業主ですが、年収3000万円でも住民税などで1200万円を持っていかれてしまうのはつらい。
我々の国民健康保険は日本一高いのではないか。
3、4年前ですが、月に14万円も支払っていた時期もありました。
毎年春にやって来る納税シーズンは頭が痛い。
支払い時期に備えて、漁協の指導の下、納税準備貯金をしています。
ただ、何も考えずに使ってしまい、税金を滞納してしまう豪快な人もいます。
正直に言うと、我々は計算が得意ではない。
そのためホタテ漁師は皆、税理士に頼んでいます」
対照的に、若手の漁師は堅実です。
「とりわけ船主の息子は堅実で、無駄遣いしないイメージがあります。
船をつくるためには2億~2億4000万円程度かかりますからね。
東北の大震災、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で、ここ15年で1億円近く高騰しました。
ただし、船をつくると漁協から使用料として月120万~150万円が支払われます。
自分の場合、漁師になって1年目2年目は散財しましたが、今はアホみたいに使うことはしません。
結婚したら家を建てたいですからね。
お金のことは真面目に考えています。
資産運用している若手も少なくありません。
自分は株です。
FXや暗号資産をやっている漁師もいます。

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