氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「お金があれば幸せ」ではなかった 調査で判明

フィンウェル研究所では、毎年「60代6000人の声」と題してアンケート調査をしています。この世代のことを知ることが、現役の人たちにとっての将来を読み解くカギになるかもしれません。

60代の生活満足度に関する声を拾ってみると、お金と生活の満足度のちょっと不思議な関係が見えてきます。

まずは「生活の満足度」に関する簡単なアンケートをご紹介しますので、やってみてください。

下記の5つについて、皆さんが感じる満足度を5段階で評価してください。

具体的には、「満足している」は5点、「どちらかといえば満足している」は4点、「どちらともいえない」は3点、「どちらかといえば満足していない」は2点、そして「満足していない」は1点です。

① 生活全般の満足度 ② 健康水準の満足度 ③ 仕事・やりがいの満足度 ④ 人間関係の満足度 ⑤ 資産水準の満足度  

さて皆さんはそれぞれに何点をつけますか?   

フィンウェル研究所では60代だけを対象にしていますが、それは退職後の生活の満足度を考えるためです。

60代の読者の方は、これから紹介する平均値や分析の結果、と自分の数値を比べてみるのもいいでしょう。

また、50代の方であれば、60代になるまでに満足度を高めるためには、何が重要なのかを見極めるのに役立つかもしれません。  

「60代6000人の声」の2023年調査では、6503人の方が回答を寄せてくださいました。その皆さんの平均値をまず紹介します。

① 生活全般の満足度 =平均点3.08

② 健康水準の満足度 =平均点3.29

③ 仕事・やりがいの満足度 =平均点3.15

④ 人間関係の満足度 =平均点3.50

⑤ 資産水準の満足度 =平均点2.69  

さて、みなさんの点数と比べてどこがどれだけ違っていましたか。  この平均値をレーダーチャートにしてみると、そのバランスの状態がわかります。

満足度3点は「どちらともいえない」とする回答で、中庸の水準といってもいいでしょう。5つの満足度のうち、その3点を上回って「どちらかといえば満足している」ほうに近いのが、生活全般、健康状態、仕事・やりがい、人間関係の満足度です。

逆に3点を下回って「どちらかといえば満足していない」水準なのが資産水準の満足度だけでした。つまり、今の60代は資産水準にだけ満足できていないということです。

この5つの満足度の関係を、「②~⑤の満足度が①の生活全般の満足度を構成している」とみることができます。

そう考えると、今の60代は「資産水準には満足できていないが、人間関係や健康状態の満足度が高いことから、生活全般の満足度は何とか『どちらかといえば満足している』側になっている」ようです。  

お金がなくても生活は満足できるんじゃないか、ということでしょうか。 もう少し詳しい分析を進めていきます。

回答者の方には保有する資産額も聞いていますので、どの程度の資産水準なら資産水準の満足度が3点を上回るのかを調べてみると、おおよそ2000万円くらいでした。老後2000万円問題が後を引きずっているのかもしれませんが、資産水準が高くなるほど満足度が高くなるのは明らかです。

この内容は、「老後『2000万円では足りない』と言う60代の資産額」でまとめていますので、こちらも参考にしてください。  

ただ、生活全般の満足度が3点を上回るのは資産が501万~1000万円の層から上の金額層でしたので、他の満足度で資産水準の満足度をカバーするとしても、ある程度の資産は必要といえます。

ちなみに、「60代6000人の声」2023年調査では、資産500万円以下の人が42.8%もいらっしゃいましたから、なかなか生活全般の満足度が高くならないようです。  お金の次は家族構成が満足度に影響しているのかを考えてみたいと思います。

現役時代には結婚しないという選択をする人も多いでしょう。実際、2020年の国勢調査によると50代で単身世帯比率は30.8%で、その人数は513.5万人となっています。そのうち未婚の比率は62.9%で、その数323.0万人です。  

しかし60代になってみると単身か夫婦かで、生活全般の満足度の平均値が変わってくることがわかります。

例えば満足度が3点を上回っているセグメントをチェックしてください。  

生活全般の満足度では、夫婦のみ、夫婦と子ども、夫婦と親の3つ(その他を除きます)が3点を上回っていて、単身の3つのセグメントはすべて3点を下回っています。健康状態や人間関係の満足度はどのセグメントでも3点を上回っていますが、それでも全体の平均点を上回っているオレンジ色のところはそのほとんどが夫婦世帯となっています。

家族構成では、配偶者がいることが生活の満足度にプラスとなっていることがわかります。

ちなみに、単身世帯のなかで生活全般の満足度を比較してみると、単身世帯2.72点<単身と親世帯2.88点<単身と子ども世帯2.93点の順となっています。

この順番が重要に思えます。1人だけの生活よりも、誰か同居してくれている人がいるほうが生活全般の満足度が高くなる、それは親よりも子どもとの同居の満足度のほうが高いという関係です。

これは夫婦世帯では、親や子どもとの同居の満足度のほうが低くなっているのとは大きく違っている点です。この関係は、人間関係の満足度でも当てはまります。  

配偶者がいる生活では、親や子どもと同居することは60代の生活全般の満足度を下げますが、単身となると、その親や子どもでも同居してくれることはうれしいということでしょう。

60代になると、1人だけの生活は相対的に満足度が低くなってしまうようです。  

次は生活全般の満足度と、残り4つの満足度の関係を分析します。この分析を行うために、生活全般の満足度は、健康水準の満足度、仕事・やりがいの満足度、人間関係の満足度、そして資産水準の満足度を構成要素として出来上がっていると考えます。  

具体的には、生活全般の満足度を被説明変数として、残り4つの満足度を説明変数として、重回帰分析を行ってみました。

その結果は、 生活全般の満足度=0.1610×健康状態の満足度+0.1584 仕事・やりがいの満足度+0.1513 人間関係の満足度+0.5060 資産水準の満足度+0.1519という関係式が見えてきました。

ここからわかったことは、生活全般の満足度を高めるためには、他の満足度よりも資産水準の満足度を高めることの影響力が一番大きいということです。  

現役時代に頑張って資産形成をするのは何のためなのでしょうか。退職後の生活を満足なものにすることだとすれば、お金があればいいというわけではありません。

資産形成は、現在の生活を犠牲にしてまでするものではありません。健康であったり、生きがいであったり、そして家族であったりということも退職後の生活全般の満足度を高める大きな要因です。  

しかし、それでも資産水準が退職後の生活全般に与える影響は大きいこともわかりました。現役時代の資産形成は必要です。しかし、できる範囲で続けることが、最も退職後の生活を豊かなものにしてくれるのではないでしょうか。

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