氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

“サウナブーム”終焉か?

ブームの渦中にあったサウナ市場も、今やその過熱ぶりが冷めつつあるかもしれません。消費者の注目はピークアウトの兆しが見えだしましたが、サウナ施設の出店は、大都市圏を中心にハイペースで続きます。

そうなると懸念されるのが、事業者同士の競争の激化です。

ブームの過渡期を乗り切る策はあるのでしょうか。そのヒントはかつての「タピオカブーム」が残した苦い教訓にあります。

国内のサウナ店舗情報を取りまとめるWebサイトの「サウナイキタイ」には、現在1万2276店舗ものサウナ施設が登録されています。

ちなみに三菱UFJ銀行の支店数でも全国で約2500店舗ほどしかなありません。国内のサウナ施設は国内最大手メガバンク5つ分の支店数と同じくらいの規模があるということになります。  

サウナイキタイのデータベースの伸びを確認していくと、2022年の上半期に1万店舗を突破し、そこから1年3カ月で2000店舗以上が追加されていることが分かります。

全ての新規登録件数が新規創業のサウナというわけではないものの、都内を中心に毎週のごとく新たなサウナ関連施設の開業情報が確認できます。

概してサウナ新規出店の勢いは増しているといってよいでしょう。  

しかし、サウナという施設は、昨今の物価高・エネルギー高の影響を真正面から受ける業態だ。人件費の高騰や円安によるサウナ機材・木材の仕入れコストも跳ね上がっており、相当に厳しいコスト環境にさらされています。  

さらに、消費者の関心がピークアウトしている兆候もインターネットの検索ボリュームから確認できます。

Google検索の統計サービスであるGoogleTrendsによれば、検索キーワード「サウナ」の関心は20~22年にかけて大きく増加したものの、そこからの約2年間については伸び率が鈍化し、横ばいの状況が続いています。  

検索ボリュームの水準としては過去最高の水準を維持してはいるものの、目立った関心の成長率がみられていません。

それにもかかわらず、新規サウナ事業者がこのタイミングで数多く出店されていることを踏まえると、今後はサウナ事業者同士での熾烈なパイ争いの局面に陥る可能性があります。  

また、健康効果に対するリスクが指摘されるようになってきたのも、サウナデビューを踏みとどまらせる要因となりそうです。

かつて「健康」と「美」を追求する人々に支持され、社会現象にまでなったサウナだが、長時間の利用に伴う体への悪影響や、サウナから水風呂という相当の温度差がある環境下でのヒートショック現象リスクなど、健康リスクに対して複数の医師がSNS上で疑問を呈したことも大きな議論を呼びました。

現在、サウナ専門店の料金は比較的高額で、一部の消費者にとっては「贅沢品」と見なされることがあります。

東京・池袋には「かるまる」や「タイムズスパレスタ」といったサウナ愛好家に親しまれている施設が複数存在します。

そのようなサウナ専門施設では、ここ数年で値上げやプランの改定をへて、1回の利用で通常3000円ほどの料金がかかるケースも珍しくありません。  

現在のような経済の先行きが不透明な状況下では、消費者の行動はより慎重になります。

このような行動は、サウナをはじめとするレジャーや娯楽関連の産業にとって、利用客の減少という形で間接的な影響をもたらす可能性があるでしょう。  

従って、サウナ経営者や関連事業者は、このような市場の変動に対応するための戦略を練り、今後予見される競争の激化とコストの上昇に対処する必要が出てきます。  

エネルギーコストの上昇は、サウナ業界にとって脅威だ。サウナの運営は、蒸気を発生させるために大量のエネルギーを消費します。

このコストを顧客価格に転嫁しなければならない状況もまた、顧客離れを招くリスクとなります。  

これまでのサウナ関連施設では水風呂や温泉といった浴槽もあわせて提供する方式がメインでした。

しかし近年では「サウナラボ神田」のように浴槽がなく、水風呂も業務用冷蔵庫のような部屋に置き換えることでお湯を沸かすためのエネルギーを節約したり、水の消費量を減らしたりするような事業者も現れています。

2010年代の半ばから後半にかけて、タピオカドリンクは若者を中心に社会現象と化しました。

この時も原材料費の上昇や人件費増加によるコスト高で、多くの店舗が価格を上げざるを得なくなったのです。

また、皆がタピオカドリンクを飲んでいることで、その体験に対する希少性が薄れ、ブームは下火となりました。  

タピオカブームの教訓は、急速な人気の高まりで新規参入者が市場に殺到し、供給過多が進んだ結果、市場が飽和し、競争が激化したことでしょう。

これが収益悪化の要因となり、ブームの終焉を早めることとなりました。  

ブームの中で急成長する業界では、参入障壁が低くなりがちです。

タピオカブームではあまり美味しくないお店でもとりあえず商品は売れる状態でした。

品質の低い商品やサービスが市場に出回り始めると危険信号でしょう。  

また、タピオカ飲料においては、糖質やカロリーが非常に高いという問題もあり、女性客を中心に懸念をもたらした可能性があります。

このような健康に関わる懸念は、先述した通り、サウナ利用においても指摘されはじめています。 

そんなブームの過渡期を乗り切る上で、カルディコーヒーファームの戦略をピックアップすると、空前の円安相場の渦中で、輸入食品を中心に取り扱うカルディも大きな影響を受けています。  

しかし、カルディは価格競争に巻き込まれることなく、店舗での体験価値を高める戦略を採用しました。

世界各国の珍しい食品を取り扱うことで、一般のスーパーマーケットでは入手できないような商品を掘り起こし、消費者に発見の場を提供しました。

消費者がカルディの商品に対して付加価値を感じることを意図していると考えられます。例えば、先月3年ぶりに復活した店頭での無料のコーヒーサービスは、商品のサンプリングを通じて消費者の購入を促進するという意味でその一環でしょう。  

カルディは上場しておらず、売上高の具体的な数値を知ることはできません。

しかし、23年はリニューアルも含めて20店舗以上がオープンしており、円安の影響はどこ吹く風といった様相です。

カルディの例は、コスト増に直面した際、単純な価格転嫁や品質を下げる形でのコスト削減に終始するのではなく、顧客体験の向上や差別化戦略を通じて、その影響を最小限に抑え、業績を維持・向上させる方法を示しています。  

いずれにせよ、宿泊や複合レジャーではなく、サウナ専門店のようなサウナ一本で勝負するような施設において、質の高い独自サービス構築が求められる時期に来ています。

楽観的にならず、ブームの終わりをも見据えておくことが今後のサウナブームにおける生き残りを左右することになるかもしれません。

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