氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

就職氷河期世代の苦悩は、40代になった今も続いている

2022年の総務省『就業構造基本調査』の結果が公表されました。国内の全労働者の収入分布を知れる貴重な資料です。

厚労省『賃金構造基本統計』や国税庁『民間給与実態調査』は、一定規模以上の会社の雇用労働者に限定されるが、『就業構造基本調査』は自営等も含む全労働者をカバーしています。

2022年調査で年収が分かる労働者は6489万人ほどで、分布から中央値を計算すると301万円となる。30年前の1992年の300万円と変わっていません。物価が上がり、諸々の税負担が増しているにもかかわらず収入は同じまま。それだけ国民の暮らしは苦しくなっている。これは肌感覚でも分かることです。

上記は老若男女をひっくるめた全労働者のデータですが、次にみるべきは性別や年齢層別の数値だ。とくに働き盛りの層の動向が注目される。

<表1>は、25~54歳の層を5歳刻みに分けて年収の中央値を出したものです。1992年と2022年の数値を並べ、30年間の変化が分かるようにしました。

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男女の全年齢(15歳以上)の中央値を見ると、男性は30年間で変化なしだが、女性は167万円から208万円へと上がっている。未婚で働き続ける人が増えているためだろうが、男性との差は未だに大きいのです。

年齢層別に見ると、女性では全ての層で年収が上がっています。しかし、男性は傾向が定かでないのです。20代後半では50万円上がっています。

昨今の人手不足もあり、若い人に定着してもらおうと待遇の改善をしている企業が増えているためかもしれません。

最も注目すべきは男性の40代で、この層では稼ぎが明らかに目減りしています(赤字)。

学校卒業時が就職氷河期と重なった、いわゆるロスジェネがこのステージに達しているためでしょう。新卒至上主義が強い日本では、卒業後からの挽回が難しく、不安定な状態に留め置かれた人が多い世代です。

年収には地域差もありますが、40代男性の年収中央値を都道府県別に出し、500万円を超える県に色を付けた地図にすると<図1>のようになります。

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ご覧のように、色が付いた県が減っている。1992年では23県でしたが、2022年では11県だ。働き盛りの普通の男性の年収が500万円を超えるのは、今では大都市圏に限られるようになっています。

40代男性に限った「局所」の傾向と切り捨ててはいけません。他の年齢層では30年間で年収が維持ないしは微増だが、物価上昇や増税を考えると、生活が苦しくなっているのは同じです。上記の地図は、国民全体が貧しくなっていることを集約的に示したものと見るべきでしょう。

相次ぐ増税もあってか、内閣の支持率は低下傾向にあります。「こういう生活支援の政策をする、だから増税だ」というロジックをよく聞きますが、いかにも的外れで、委託業者が儲かるだけの政策をするくらいなら、いっそ減税をして国民の可処分所得を上げることに徹したほうがよいのです。

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