氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

スマホが加速させる認知症

日常的にインターネットを使用している1980年以降に生まれた世代が65歳以上人口の多数を占める2060年には、認知症のリスクが4~6倍になる可能性もあるといった試算がカナダの研究者によってされています。

 教育歴不足が認知症のリスク要因となる 国際的な専門家からなるランセット国際委員会の報告によると、認知症には12のリスク要因があることがわかっています。

12のリスク要因とは、「15歳までの教育歴不足」「難聴」「頭部外傷」「高血圧」「飲酒」「肥満」「喫煙」「うつ病」「社会的孤立」「運動不足」「大気汚染」「糖尿病」です。

リスク要因のうち、オンライン習慣と密接に関わっていると考えられるのは、「15歳までの教育歴不足」「うつ病」「社会的孤立」「運動不足」です。

日本は中学校までが義務教育ですから、「15歳までの教育歴」という条件は、すべての人が満たしているはずです。

しかし、スマホ等のデジタル機器を使用したオンライン習慣によって、教育の「質」が低下してしまう可能性があります。 スマホ等のデジタル機器をたくさん使っていた子どもたちは、学力が低く脳の発達が止まっていました。

つまり、小・中学生までの期間にスマホ等のデジタル機器を使っていた子どもたちは、「15歳までの教育」が十分になされていないという見方ができるかもしれません。 教育歴不足が認知症のリスク要因となる理由として、「脳予備能」「認知予備能」という仮説があります。

「予備能」とは、老化や損傷などによって脳が病理的に変性してしまったときに、脳の機能を保つ防御的な能力、耐性のことをいいます。 「脳予備能」は、脳の物理的な大きさ(容積、重量など)がもたらす耐性を指します。

単純に、脳の神経細胞の数や神経細胞のつながりの数が多く、脳が発達している人ほど、脳の変性に対して耐性があるということです。 「認知予備能」は、認知機能の高さ、教育歴、知的な職歴、充実した余暇活動、運動習慣などがもたらす耐性を指します。

元の認知機能が高く、日頃から知的な活動を通して脳を使っている人ほど、脳の変性に対して耐性があるということです。 アルツハイマー認知症は、アルツハイマー病による脳神経の変性が原因で、引き起こされる認知機能の障害です。 一方で、神経病理的にはアルツハイマー病になっていたとしても、認知症の症状が見られない患者さんも存在するのです。

このような、アルツハイマー病になっても認知症を発症しない人たちは、「脳予備能」や「認知予備能」が高いということがわかっています。

オンライン習慣によって、脳が本来発達するはずのところまで発達しきらなかった子どもたちは、「脳予備能」が低く、それだけ将来の加齢にともなう脳の萎縮に対して脆弱である可能性が考えられます。

また、成人期のオンライン習慣によって、前頭前野を使わない生活習慣を送っている人たちは、「認知予備能」が低く、脳の萎縮に対して脆弱であるといえるでしょう。続いての認知症リスク要因は「うつ病」です。

厚生労働省の「平成30年版厚生労働白書」によると、うつ病を含む気分障害の患者数は年々増加しており、2017年時点で127.6万人と推計されています。

1996年時点の患者数が43.3万人となっており、約20年間で3倍近くも増加していることになります。 オンライン習慣とうつ病の関係については、インターネットが普及し始めた1990年代当時から、米国のキリバリー・ヤング博士らによって指摘されていました。インターネット依存症テストを考案した博士です。

その後、世界中で同様の研究結果が報告され、2004年から11年の間に四つの国と地域で行なわれた八つの研究結果を統合した研究でも、インターネット依存傾向とうつ病の有病率の関係が示されています。

合計1641人のインターネット依存傾向の高い人たちを分析した結果、依存傾向の低い人たちのうつ病の有病率が11.7%であったのに対し、依存傾向の高い人たちは26.3%と2倍以上も高いことを報告しています。

さらに、年代別に分けて解析した結果、インターネット依存傾向の高い40代以上の中高年で最も有病率が高く、35.8%となっていました。 どうしてインターネットをたくさん使用する人たちは、うつ病の傾向が高くなるのでしょうか?

その理由の一つとして、SNSの使用が考えられます。2012年から18年までに発表された33報の論文を統合した研究では、SNSの使用とうつ病の傾向に関係があることが報告されています。

合計1万5881人を対象に行なわれた研究を解析した結果、SNSの使用時間が長いほど、またSNSを頻繁に確認するほど、うつ病の傾向が高いことがわかりました。特にSNSの投稿と自分自身を比べてしまう人たちほど、うつ病の傾向との関係が強く見られました。

米国では、89人の大学生を対象に、Facebookの使い方と幸福感の関係を調べる実験が行なわれました。6日間にわたり、参加者に1日5通のメッセージを送り、Facebookの使用状況と幸福感を尋ねました。

解析の結果、自分の近況などを投稿する能動的な使い方をした場合と比べて、他人の投稿を見るなど受動的な使い方をした場合に幸福感が低くなることがわかりました。さらに、他人の投稿を見た場合の嫉妬心が幸福感の低下を媒介していました。

SNSの投稿は、人生の上澄みです。誰しも自分が最も輝いている瞬間を切り取って、SNSへ投稿しています。ときに写真も、不自然なまでに綺麗なものへと加工されています。

そんな他人の人生の最大値と、自分自身の平均的な日常を比較しても、見劣りしてしまって当たり前です。それでも私たちは、SNS上のキラキラとした世界と自分を比較して、勝手に落ち込んでしまうのです。

もう一つの理由として、オンライン習慣による睡眠への影響が考えられます。1990年から2018年の間に14の国と地域で行なわれた23件の研究結果を統合した研究によると、合計3万5684人のデータを解析した結果、インターネット依存傾向の高い人は健康な人と比較して睡眠時間が短く、睡眠の質も低いことが報告されています。

オンライン習慣が睡眠に悪影響を与える理由として、ブルーライトの影響が考えられます。ブルーライトとは、目に見える光に含まれる、波長が約390~495ナノメートル(10億分の1メートル)の青い光の成分を指します。

ブルーライトは太陽の光の中にも含まれており、日没や夜明けを通して私たちの睡眠と覚醒の周期(概日リズムといいます)を支える役割を担っています。夜になって日が沈み辺りが暗くなると、脳の中でメラトニンというホルモンが分泌されます。

メラトニンが分泌されると、私たちは眠くなって寝床へ向かいます。朝、太陽の光を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられ、目が覚めます。 目に見える光の中でも、ブルーライトは特にメラトニンの分泌を抑える作用が強いことがわかっています。

ブルーライトを浴びると、私たちの脳は「朝だ、起きる時間だ」と感じるわけです。 デジタル機器の液晶画面から出る光には、特にブルーライトが多く含まれています。

そのため、夜にデジタル機器を操作してブルーライトを浴びてしまうと、メラトニンの分泌が抑えられ、私たちの脳は「まだ起きていなくてはいけない時間だ」と勘違いしてしまうのです。 

 

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