氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

身近な人が亡くなったときの「不動産の売り方」、税金をとにかく安くするには?

大切な人を亡くした後、残された家族には膨大な量の手続が待っています。

しかし手続を放置すると、過料(金銭を徴収する制裁)が生じるケースもあり、要注意です。

また国税庁によれば、2019年7月~2020年6月において、税務調査を受けた家庭の85.3%が修正となり、1件当たりの平均追徴課税(申告ミス等により追加で課税される税金)は、なんと641万円でした。

税務署は「不慣れだったため、計算を間違えてしまった」という人でも容赦しません。 本連載では「身近な人が亡くなった後の全手続」を、実務の流れ・必要書類・税務面での注意点など含め、あますところなく解説します。

 不動産等、相続財産を売却したときの所得税の取り扱いについて紹介していきます。

まず、不動産を売却したときに、売った金額が、買った金額より高い場合、つまり、儲けが出た場合には、その儲けに対して所得税と住民税がかかります。  

裏を返せば、不動産を売却して儲けが出なかった場合には、所得税も住民税もかからず確定申告も不要です。  

具体的な金額を使って解説します。例えば5000万円で購入した土地が、8000万円で売却できたとします。

この場合、8000万円から5000 万円を引いた3000万円が儲け(これを譲渡所得といいます)となります。この譲渡所得に対して所得税と住民税が課税されます。

譲渡所得に対する税率は20.315%です。15.315%が所得税、残りの5%が住民税です。所得税は本来、最低5%から最高45%までの段階的な税率(これを累進税率といいます)とされています。

しかし、不動産を売却したことによる所得については、どれほど金額が大きくなったとしても税率は20.315%とされています。

しかし、ここで注意点があります。その不動産を所有していた期間が5年未満の場合には、税率がなんと39.63%まで増えてしまいます!  

この取り扱いは、「短期的な土地の売買で儲けようとしちゃだめですよ」という趣旨で設けられています。

また、この所有期間のカウントについては5年間きっちりというわけではなく、不動産を売却した年の1月1日において5年を超えているかで判定します。

 例えば、2020年2月に購入した不動産を、2025年2月に売却する場合は、2025年1月1日時点における所有期間は4年11か月なので、税率は39.63%になります。  

一方、2026年に売却する場合は20.315%になります。いずれにしても5年ギリギリで売却する場合は、税務署や税理士に確認しましょう。

ちなみに、相続した不動産を売却する場合には、相続したときから5年間で判定するのではなく、故人が購入した時点からカウントされます。  

次は経費についてみていきましょう。

● 譲渡経費  

不動産を売却する際にはさまざまな経費がかかります。税金はあくまで儲かった金額に課税されますので、経費は当然、儲けから引くことができます。引くことのできる経費は以下のようなものがあります。  

◦売却するために支払った仲介手数料

◦売主が負担した印紙税

◦土地を売るために、建物を取り壊したときの取り壊し費用  

このように仲介手数料などの経費は譲渡所得から引くことができます。

なお、これまで支払ってきた修繕費や固定資産税、管理費などは引けないので注意してください。詳しく知りたい方は国税庁のホームページでご確認ください。

● 建物については減価償却を考慮  

土地を売却したときの税金は、次の算式で計算することができます。  

売却金額-購入金額-経費=所得(儲け)  

この所得に20.315%の税金がかかります。一方で、建物については、この算式に減価償却を加味しなければいけません。  

本来、建物は時の経過とともに価値は下がっていきます。もしも、価値が下がったにもかかわらず、買ったときの金額で売れたなら、その差額は儲けだと考えるわけです。

この時間経過による価値の減少を、減価償却といいます。  

例えば、

①5000万円で購入した建物が、

②売却までに2000万円減価償却されたとして、建物の価値は残り3000万円です(これを帳簿価額といいます)。

③その建物が4000万円で売却できたとします。

④3000万円の帳簿価額の建物が4000万円で売却できたので、差額の1000万円は儲けが出たと考えるのです。ここに20.315%の税金がかかるのです。

● 所得税と住民税を支払うタイミングに注意  

所得税と住民税の違いは、支払うタイミングが異なることです。

不動産を売却した年の翌年3月15日までの確定申告で所得税は支払いますが、住民税の支払いはそこから3か月後の6月からです。この微妙な期間のズレに要注意です。  

確定申告のタイミングで支払った税金がすべてだと思っていると、6月の住民税でびっくり仰天することになりますので、しっかり住民税まで把握しておきましょう。  

なお、相続した不動産を売却する場合で、相続税申告が必要になる方の場合には、相続税の申告と、所得税の確定申告が両方必要になります。

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