氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

日本で一番不幸なのは「40~50代の未婚男性」 無視できない「既婚者/未婚者」の幸福度格差

「あなたは今、しあわせですか?」そう問われた場合、なんと答えるでしょうか。

しあわせとは、その感じ方も基準も人それぞれで、あくまで主観的なものです。

よって、標準的・絶対的な指標としての幸福度は存在しません。

存在しないのですが、マクロ的な調査をするとおおまかな傾向があることも確かです。

未婚者と既婚者とでの幸福度の違い、さらには男女、年代別での幸福度の違いについての調査結果から言えば、

・未婚者より既婚者の方が幸福度は高い。

・男性より女性の方が幸福度は高い。

・40-50代の中年層より若者の方が幸福度が高い

という傾向は常に一定です。

 

 

2020年一都三県の未既婚男女を対象とした幸福度についての調査で、幸福度については5段階評価とし、「とてもしあわせ」「まあまあしあわせ」を幸福、「やや不幸」「とても不幸」を不幸と分けて、「どちらともいえない」は別としました。

男女ともに、既婚者に比べて未婚者の幸福度は低く、特に男性の40-50代では既婚者の半分以下しか未婚者は幸福を感じていないということになります。

同時に、40-50代未婚男性の不幸度の高さも突出しており、40代で36%、50代で34%が不幸です。

40代以上の未婚男性は、幸福を感じる人数より不幸を感じる人数の方が上回ってもいます。

男性ほどではないにしろ、女性でも同様で、40代未婚女性の24%、50代未婚女性の21%が不幸だと感じています。

既婚男女の不幸度が10%台にとどまっているのとは大きな違いがあります。

一方で、既婚女性の幸福度の高さも群を抜いています。

もっとも低い50代でも62%が幸福であると答え、20代では8割近い77%が幸福なのです。

つまり、まとめると、一番不幸なのは、40-50代の未婚男性であるということになります。

かつて、内閣府が平成8年から平成24年にかけて、国民生活選好度調査という形で国民の幸福度を調査していたことがありましたが(現在は実施していない)、性別年代別はおろか、配偶関係別の調査結果報告もない全体結果報告のみで、細かい部分はわからずじまいでした。

民間の幸福度調査でも性別年代別の区分まではあっても、配偶関係での区分をした調査は、皆無でした。

しかし、前述の結果通り、未婚と既婚とでこれだけ大きな差があるということは無視してはならない話です。

 

 

なぜ、これほどまでに未婚者は不幸なのでしょうか?

40-50代の未婚男性の不幸度が高い要因として、彼らが就職氷河期世代に該当するという考えもあります。

就職できずに、非正規で働いて満足に収入を確保できない人もいたことでしょう。

正社員として就職したとしても、その仕事は自分の希望するものとは違う仕事で、毎日が苦痛である人もいるかもしれません。

特に、男性の生涯未婚率は自己の年収が低ければ低いほど高くなりまあす。

つまり、男性で中年で未婚であることは、すなわち年収が低い場合が多いと推測でき、そうして自身の低年収による経済的環境とその事情による未婚生活そのものが不幸の原因であると考えることもできます。

しかし、未婚男性の低い幸福度は年収だけのせいなのかというとそうでもありません。

年収別に幸福度を20~50代未既婚で比べると、未婚も既婚も年収が上がるごとに幸福度は増すが、同じ年収でも未婚と既婚とでは幸福度に大きな差があります。

年収100~900万円の間ではほぼ20ポイントの差が均等にあります。

むしろ、未婚男性は1000万円の年収で幸福度が頭打ちになり、それ以降は下がる傾向すら見られます。

勿論、生活をしていく上で食うにも困るような貧困では幸福も何もないでしょう。

しかし、だからといって、年収が上がれば上がるほど人は幸福になるかというとそうでもありません。

そもそも、年収だけが幸福度の要因なら、未婚も既婚も同年収の幸福度は同じにならないといけません。

これを見る限り、年収より未婚か既婚かの配偶関係の方が幸福度に強く影響を与えていると考えるのが妥当です。

では、既婚=結婚すれば幸福なのでしょうか? それもまた違います

既婚の幸福度が未婚より高いのは事実ですが、だからといって「結婚すればしあわせになれる」とはいえません。

それは、相関と因果をごちゃ混ぜにするようなものです。

「幸福度が高いのは既婚男性が多い」という相関はありますが、「結婚したらしあわせになる」という因果があるとまではいえません。

 

 

「フォーカシング・イリュージョン」という言葉があります。

これは、ノーベル経済学賞の受賞者であり、行動経済学の祖といわれる米国の心理学・行動経済学ダニエル・カーネマンが提唱した言葉です。

「いい学校に入ればしあわせになれるはず・いい会社に入ればしあわせになれるはず・結婚すればしあわせになれるはず」というように、ある特定の状態に自分が幸福になれるかどうかの分岐点があると信じ込んでしまう人間の偏向性を指します。

簡単にいえば、思い込みから生じる幻想ということです。

勿論、目標を定めて努力することは大切である。しかし、進学や就職や結婚という状態になれば自動的に幸福が得られるというわけではありません。

たとえば、結婚したいという女性は「相手はいないけど、とにかく結婚したい」とよくいいます。

これこそ結婚という状態に身を置けば、幸福が手に入るはずという間違った思い込みです。

そうした思い込みのまま、万が一結婚してしまったら、「こんなはずじゃなかった」と後悔しかしないでしょう。  

結婚すればしあわせになれるという考え方は、裏を返せば、「結婚できなければしあわせになれない」「結婚しないと不幸だ」という決めつけの理屈にとらわれることになります。

それは、結婚という特定の状態に依存してしまって、それ以外の選択肢を否定しているようなものでもあります。

要するに、「現在の結婚できない自分の否定」です。

むしろそうした思考こそが、婚活女性たちの不幸感を現在進行形でより増幅させているのではないでしょうか。

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