氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

教員不足問題、教師の成り手が少ない理由とは

大学を卒業したが就職できず、そんな就職難民があふれた、就職氷河期です。
そんななか、就職できた人は安泰だった、というわけではありません。
一見、勝ち組にみえる人たちにも、大きな受難がありました。
就職氷河期、教員採用試験も、過去類を見ないほどの競争倍率でした。
就職氷河期、教員の世界でもひどかった、そうネットに書き込んだのは、40代後半の元教員だという男性です。
現在は教職を離れ、会社員として働いているといいます。
なにがひどかったのかといえば、まず試験倍率です。
文部科学省の資料によると、2021年、公立小学校教員の試験倍率は、2.6倍、中学校が4.4倍、高等学校が6.6倍でした。
過去40年ほどで最も倍率が高かったのが、公立小学校で2000年の12.5倍、中学校では同じ2000年に17.9倍を記録しました。
高等学校では、2000年に13.2倍を記録し、以降、2007年まで13~14倍を記録しています。
昔は、地元に帰って教師にでもなるわ、などと言われることもありました。
地方で安定した職業のひとつとして、教員が人気だったわけですが、就職が困難だった、1993年から2005年卒の人たちを称する、氷河期世代においては、教員養成系の大学をでたのに先生になれない、という時代だったわけです。
文部科学省、公立学校教員採用選考試験の実施状況より、就職氷河期世代の、公立学校の採用試験倍率が以下のとおりです。
氷河期世代は、ここでもわりを食っていたわけです。
総務省、令和4年地方公務員給与実態調査によると、小・中学校の教員の平均給与は40万8,337円で、前年より1,090円の減額、高等学校の教員は、43万2,201円で前年より1,948円の減額となりました。
公立校の教員の給与は、一般の公務員と同様、民間準拠しています。
コロナかからの影響から、給与減となった民間企業の実態をなぞるカタチで、教員の給与も減額となりました。
昨年、2022年は、コロナかからの回復で、給与額は上昇したといわれているので、教員の給与も増額が期待されます。
続いて都道府県別にみていくと、トップは「東京都」で43万9,290円。
手取りにすると、33万円程度です。
続く「鹿児島県」は42万7,958円。
岩手県」「福島県」「北海道」と続きます。
トップと47位で月4万8,000円ほど、1年では60万円ほどの差になります。
地域により物価も異なり、一概に比べることはできませんが、同じ教員であっても地域によって給与差があります。
厚生労働省の資料によると、会社員、正社員の手当等も含めた平均給与は、月35万8,500円、大卒に限ると40万700円です。
平均的な会社員の給与水準と同レベル、またはそれ以上にも関わらず、前出の40代男性はなぜ教員を辞めたのでしょうか。
男性はその理由として、業務量がえげつなかったとしています。
文部科学省、令和元年度学校教員統計調査より、教員の年齢構成についてみてみると、採用試験の倍率が高まったころ、つまり採用を大きく減らしたころにあたる、40代が少なく、50代、さらにはそのうえの世代がやたら多いことが分かります。
このいびつな構成により、ベテランと若手をつなぐ、中間管理職が圧倒的に足りないと、この男性は言います。
結果、常に業務過多で、毎朝7時くらいに学校に来て、帰りはいつも22~23時という、日々を過ごしていたとか。
体力的にも精神的にも、限界を感じ、なかには限界を超えてしまう教員もいます。
文部科学省『令和元年度学校教員統計調査』より、公立小学校の離職理由をみていくと、病気のためが、2018年676人で、うち精神疾患が466人です。
教員の「精神疾患」による離職の推移を見てみると、10年前の2009年と比較すると、約3割増となっています。
同じように、公立中学校でも約3割増、公立高等学校で2割増となっています。
いま、教師の成り手が急激に減り、教員ぶそくが叫ばれています。
単に増やせばいいというわけではありません。
質を保ちつつ、組織として適正な構成にならなければ、一部の世代に負荷が集中し、離職が加速していくことを繰り返すことになるでしょう。
また、最近問題となっている教育現場で、増えている非正規公務員です。
茨城県の、この中学校、教員20人のうち、3人が非正規です。
保健体育の教員も、その1人です。
常勤の講師として、フルタイムで働いています。
朝7時すぎ、部活がはじまります。
正規採用の教員と同じように、部活動の顧問を任されています。
8時になると教室へ、こちらも正規同様、クラス担任を務めています。
仕事内容は正規と全く同じなのに、就職して5年、賃金アップは一切ありません。
産休や育休は、非正規の講師にはないので、不安な部分は1年間の契約というか、次の学校があるのかとか、もう1年やらせてもらえるのかとか。
大学で教員免許を取り、正規職員の採用試験を受けましたが、体育の教員は枠が少なく、不合格でした。
そのごも、毎年挑戦を続けてきました。
仕事を終えたのは、午後8時半すぎです。
学校の仕事が忙しいため、採用試験の勉強ができるのは帰宅してからのわずかな時間だけだといいます。
24時間しかない中で、試験勉強をどこでできるかって言われたら、仕事が終わった後しかできない。
非正規公務員がおかれる厳しい環境です。
家族を支える立場になると、より重い意味を持ってきます。
1週間の時間割になります。
公立小学校でクラス担任を持って働く、40代の女性です。
かつては正規の教員でしたが、出産のために退職しました。
その後、夫と死別し、2人の子どもを育てるため、非正規の教員として働き始めました。
手取りは、ひと月19万円あまりです。
非正規になった10年以上前から、ほとんど上がっていません。
自治体から支援を受けないと、子どもの給食費や通学費を出すこともできませんでした。
公立小学校 常勤講師 40代女性は、年齢は、制限を越えてしまったので、正規になる試験を受けることはできない。
今、住んでいるところで、正規になる道はもう無い。
悔しい、不安、これで老後の資金もためて、死ぬまで働かないといけない。
働き方改革の議論など、推進する行政の中で、こういうことが起きているということです。

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