全国的に見れば人口の東京一極集中が進んでいますが、日本各地でも、それぞれの大都市に集中します。
例えば、北海道=札幌、東北=仙台、東海=名古屋、北陸=金沢、近畿=大阪、中国=広島、九州=福岡などです。
また、都道府県別でみても、その中核都市への人口集中が進みます。さらに細かく、各市町村別では、便利な人気エリアに人は集まっていきます。
このように、人口減少社会では、人口の移動で偏りが生じます。
人口減少は、地方の話と思われがちですが首都圏も例外ではありません。実は、東京都区内だけをとってみても、人口が増える区と減少する区に分かれていきます。
東京都心で駅近の物件は価格が高騰する一方、首都圏の都心から離れた所では条件が悪いため、売るに売れず、借り手もつかず、このままでは空き家になるしかないものも増えています。
ただ、大都会や人気のある都市の人口は、ブランド力に支えられ、現状維持もしくは時間をかけてゆるやかに減少していきます。
それに比べて人口が大きく減るのは、地方全体と人気都市の周辺地域です。理由は、人口が減る地域には仕事がないからです。
人は仕事や豊かな暮らしを求め、人口の多い地域、つまり人気のある地域に移動します。そうすると、人気のない地域は加速度的に人口が減ってしまいます。
こうして、人口の偏りはどんどん大きくなっていきます。人が多く集まる地域は、人気のある土地に、人が減り続ける地域は、人気のない土地へと極端に分かれてしまうことが土地の「二極化」です。
そして、土地の二極化は今後ますます拡大していきます。
都心での土地や住宅価格の高騰の話を最近よく聞きますが、一方で、売るに売れず、借り手もつかない不動産も増えています。
空き家でも固定資産税や維持管理のための費用がかかり、親の住まいを相続するとき困る人も激増しています。
地方ではなく首都圏でも不動産の優勝劣敗、二極化が進んでいます。
実際、埼玉県の中核都市近辺でも駅から徒歩20分以上の中古戸建やマンションは売値数百万円でも買い手がつきづらいそうです。
価格を下げても売れずに放置される空き家は、まさに負動産の代表格です。
地方ではタダでもいいから引き取って欲しいという物件まであるのが現状です。この流れは人口減少で、今後いっそう加速していく事と思います。
不動産価値の観点で着目すべきは利用価値です。もちろん資産価値、財産価値を持っていますが、今まで以上に不動産が確実に利用できるかどうかという点に価値判断が移ってくると思います。
コロナ禍でオフィスというハコが従来通りの価値を発揮できなくなれば、賃料がどんどん下がりオフィス街の地価の見直しが起きます。
住宅でも以前はどちらかというと価値が下がっていましたが、リモートワークが常態化し、居住環境のよさから復活しているところもあるようです。
街やエリアによって復活する街と、逆に悪化が進む街とに二極化するので、その見極めが大切になります。
高台にあるなど災害に強い地盤のよさや、街やエリアの雰囲気、文化、歴史、商業などさまざまな角度から見直される街、発展する街、そして沈んでいく街の明暗がはっきりしてくるでしょう。