氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

現代人が1日で浴びる情報量は、なんと平安時代の人の一生分

現代人の仕事や生活を大きく変え、今や欠かせないツールとなっているのが、スマホSNSです。スマホ社会、SNS社会の到来により、コミュニケーションや情報アクセスなどの面で格段に便利な世の中になりました。

一方、つながりっぱなしのネット環境が私たちに及ぼす影響に着目してみると、また違った側面が見えてきます。 スマホ以前であれば、「会社に戻ってから確認します」で許されたことが、スマホを持たされたことで、出先でもメールの返信や素早い対応が当たり前になりました。

ある調査によると、24時間以内にメールの返信がないと「返事が遅い」と感じるビジネスパーソンは7割に及ぶそうです。不便さゆえに確保されていたゆとりが消失し、常に仕事に追われがちな毎日です。

多様な情報が飛び交う環境では、情報の真偽を自分で判定することが難しく、また情報過多によるストレスも生じやすくなります。現代人が1日に浴びる情報量は、平安時代の人の一生分に匹敵するとも言われています。

日々これだけ多くの情報に浸かっていると、脳が疲弊してしまいます。 いつでもどこでも、仕事や人間関係、娯楽など生活のすべてが手元のスマホの中にあるので、オン・オフの切り替えが難しく、気持ちが休まる時間がないのがスマホ社会と言えるかもしれません。 加えてSNSには、スマホを手放せなくなる中毒性が指摘されています。

Facebookやインスタグラムなどを使っていると、自分の投稿に「いいね!」やコメントがついていないか気になって、スマホを頻繁に見てしまうことがあります。精神科医アンデシュ・ハンセンの著書『スマホ脳』によると、その時、脳ではギャンブル依存症と同じことが起きているといいます。

人間の脳内では、報酬を得て快楽を感じるとドーパミンが分泌されますが、それだけでなく、「もしかしたらいいことがあるかも」と報酬を期待する時にもドーパミンが分泌されます。さらに、報酬が決まった時間に定期的に与えられる状況よりも、報酬がランダムで、いつ与えられるかわからない時ほど、脳の報酬系が活性化されることがわかっています。

ギャンブルは、「次こそは勝てるかもしれない」と思うから止められなくなります。SNSもそれと同じで、「いいね!」がいつつくのか不確実な中で、それを確かめたい欲求にかられて、スマホをつい手に取ってしまうというわけです。

SNSの登場で誰でも手軽に情報発信できるようになった反面、それによって一般の人たちの日常生活がさらされやすい状況が生まれています。昔であれば、芸能人や一流スポーツ選手など一部の有名人の専売特許だったものが、今では一般の人も注目を浴びやすくなり、炎上と呼ばれるように、ネット上でバッシングの対象になることも珍しくありません。

「いいね!」やフォロワーの数が競われるようになり、「見られる自分」への意識も高まっています。

自分を良く見せるため、例えば、「素敵なレストランで食事している私」や「高級リゾートで休暇を楽しむ私」など見映えの良い投稿を積極的に発信し、それ以外の代わり映えしない自分は隠しておく。そうすることで、実際の自分の人格とは別にSNS上の人格がつくられて、リアルとバーチャルの人格の分離が起きやすくなっています。

また、楽しそうで幸せそうな他人の投稿を目にすると、羨望や嫉妬を感じたり、「あの人に比べて自分はダメだ」と落ち込んだりします。SNSは確実に人と比べやすい社会を生み出しました。

しかも、世界中の人が相手なので、羨望や嫉妬に際限がありません。 SNS以前は、友人にはたまに会って話をするか、電話やメールなどで近況報告する程度だったかもしれませんが、今はSNS上の友人知人の近況はほぼリアルタイムで把握できます。人との距離感が近くなった反面、人との心地良い距離感を保つことが難しくなりました。

知りたくなかった情報が勝手に飛び込んでくるし、知られたくなかった情報がオープンになってしまうこともあります。友人の投稿から自分だけが誘われていないことに気づいたり、逆に、自分の投稿から仕事だと偽って旅行に行っていたことがバレてしまったり。隠しておきたいプライベートな部分も露呈しやすいので、周りからの見え方にいつも気を張り詰めています。

SNS上の断片的な情報から他人の行動を推察することも起きがちで、お互いに監視し合う状況が生まれているようにも思います。DX(デジタルトランスフォーメーション)を合言葉に、多くの企業が業務の自動化・効率化を目指して様々なシステムを導入しました。これで私たちの仕事が減って楽になるはず……、だったのですが、実際にはどうでしょうか。

産業医として勤務する会社の人と話していても、「システムが導入されて仕事が楽になってよかったね」という話はあまり聞こえてきません。確かに人力作業が自動化されたり、クラウド上のシステムを使えば時間や場所に縛られずに仕事ができたり、利便性は高まりました。

しかし、期待したほどに仕事は楽になっていない。これが多くの人の実感ではないかと思います。 この状況を、「作業効率が上がって、生産性が上がった」と表現できるかもしれません。

であれば、そのぶん時間の余裕が生まれてもいいはずです。私たちがDXに期待していたことはそういうことだと思うのです。 しかし、実際には生産性向上によって生まれた時間は、どこからか湧いてきた別の仕事で埋め尽くされていきます。DXが進んでも仕事が楽にならないのは、そういうことなのです。 そして、切れ目なく仕事に追われる私たちは、疲弊する寸前まできています。

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