氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

女性がキャリアを積むと相手に求める年収条件もあがる

具体的に、上方婚をした20代妻の年収別にどれくらい自分より稼いでいる夫と結婚しているのかを2022年就業構造基本調査から計算したものが以下になります。  

無業の場合で470万円、扶養内150万円未満の場合で自分よりプラス364万円、もっとも低くて妻の年収400万~500万の場合で自分よりプラス200万円となっています。

そして、600万円以上稼ぐ妻の場合は夫の経済力も高くプラス360万円です。これらのプラス額を夫の年収にあてはめると、同類婚や下方婚をあわせた全体の夫の平均年収よりすべてにおいて高い年収が求められます。

上方婚の場合、300万円台の妻は550万円の年収がある夫と結婚しているのです。  

こうして見ると、「年収500万円は普通」というのは、結婚できた女性にとってはその通りなのでしょう。しかし、これから結婚しようとしている未婚女性も同様にそれが可能かというとそうはなりません。  

要するに、「夫500万円以上」とマッチングした女性だけが結婚できていて、婚活市場からその年収層は早々に完売してしまいます。婚活にいそしむ未婚女性は、それでも「500万円以上」を求めてさまよいますが、市場にはもう残っていない。  

さらに、見合う相手がいないからと、出てくるまで待とうとしても、皮肉にも女性がキャリアを積めば積むほど自身の年収もあがります。そうなるとさらに相手に求める年収条件も自動的に上方スライドします。

結局いつまでたっても条件に見合う相手は見つからない。まさに「上方婚志向の無限地獄」に陥ります。だからこそ全体の婚姻数が激減しているわけです。  

20代夫婦の子無しと子有りの夫の年収構造の違いを見ると一目瞭然です。まだ子の無い夫婦の場合は、最頻値こそ10年間で300万円台から400万円台へと上昇しましたが、全体数はほぼ一緒です。

しかし、子のいる夫婦で見ると、夫年収500万円以上は10年前と子のいる世帯数はまったく減っていませんが、それ以下の層、特に夫年収150~400万円のかつてのボリュームゾーンだけが大きく減少しています。  

いうなれば、夫の年収400万円未満の中間層だけが結婚できなくなっており、年収の高い層だけが結婚をして子どもを持てるようになってしまっているわけです。

繰り返しますが、「結婚したいなら相手の年収条件を下げなさい」と言ったところであまり意味はありません。

結婚相談所などに入って相談しても、多分同様のことを仲人さんに言われることと思いますが、「自分より稼げない男性と無理に下方婚するくらいなら別に独身のままでいい」となるだけです。

こうしたことが結果として「金を稼げない男と金を稼ぐ女には結婚相手がいない」という現実を生み、婚姻数はますます減っていくのでしょう。

もちろん全員が結婚すべきであるというつもりも毛頭ありません。「結婚しない」という個人の選択的非婚の自由は尊重されるべきでしょう。

しかし、選択的非婚が増えたとはいってもせいぜい2割程度であり、実は問題の本質は「結婚したいのにできない」という不本意未婚が男女とも4割以上存在するということのほうです。

こうした若者の不本意未婚が増えていることが20代男女の中間層の婚姻約4割減と直結しているのですが、そこには「希望と現実の大きな乖離によるマッチング不全」が立ちはだかっているのです。

未婚の若者が「結婚なんて、出産なんて無理だ」とあきらめてしまうのも仕方ないことかもしれません。それは、決して若者の価値観が変わったのではなく、環境構造があきらめざるをえない心を作っているのです。

「お金がすべて」とは言いませんが、どんなにきれいごとを並べたところで、結婚とは経済生活であり、お金がなければ運営できません。

以前は簡単に買えていたものが、とてつもなく値段があがって買えないものになってしまった。

若者には「結婚と出産のインフレ」が起きているのです。 婚姻減は自動的に出生減となります。何度もいうように、1人当たりの母親が産む子どもの数は1980年代と比べても大差ありませんし、むしろ第3子の出生割合は直近のほうが多いくらいです。

日本で起きているのは「少子化ではなく少母化」であり、それは婚姻の減少に起因するものです。

実際、2000年と2022年の「児童のいる世帯」の年収別世帯数を比較すれば、世帯年収900万円以上の世帯はまったく減少していませんが、いわゆる所得中間層である世帯年収300万~600万円あたりの世帯だけが激減しています。

日本の婚姻減、出生減は、この中間層が結婚も出産もできなくなっている問題であり、価値観の問題ではなく経済環境の問題なのです。中間層の不本意な若者たちを増やさないようにするためにも、これ以上の負担増は悪手でしかないでしょう。

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