氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

世界巻き込む金融危機へ?中国はバブル崩壊

いよいよ中国は終わるのでしょうか。不動産バブルの崩壊や株価の下落。一時は世界をリードした中国経済が断末魔の悲鳴をあげ、政府がなりふりかまわぬ支援に乗り出しています。

中国国家外貨管理局が2024年2月18日公表した23年の国際収支統計外資企業による直接投資は前年比82%減の330億ドル(約4兆9千億円)と30年ぶりの低水準となりました。

23年7~9月期は資金の流出額が流入額を上回り、統計を確認できる1998年以降で初のマイナスを記録しました。

不動産不況で成長力にも陰りがみられる中国経済半導体などの先端技術で米国主導の対中輸出規制が強化され、改正反スパイ法の施行などが外資の脱出を加速させています。

株式市場も低迷。日本株が24年2月に入り日経平均で34年ぶりの高値に達し、米株もS&P500などの指数が史上最高値を更新する一方、中国株は過去3年間、ほぼ一貫して下落し、弱さが突出しています。

日本株の高値は欧米の投資家が中国株を見限って乗り換えた影響もあり、資本市場からの逃避も一段と強まっています。

欧米投資家は借りた中国株の「空売り」も展開 欧米の投資家らは現物株を売って得た資金を日本株に投資するだけでにとどまらず、借りた中国株を売る「空売り」という手法を利用しています。

空売り」は株の借用代金を払えば、現物株を持っていなくても売ることが可能で、下がれば利益が出ます。

さらに、手持ち資金の数倍の資金で売買する「信用取引」で利益を膨らませています。 売り圧力は24年に入り、空売り信用取引で加速。中国証券監督管理委員会(証監会)は1月29日に、「空売り」に歯止めをかけようと株の貸し出しを全面禁止しました。

下落を止めるには買い支えも必要で、2月6日に中国政府系投資会社の中央匯金(かいきん)投資が上場投資信託ETF)への投資拡大を発表し、政府系ファンドがETFを買い増しました。

このような株価対策に乗り出す政府系の投資家は「国家隊」と呼ばれ、政府系の買い支えで投資家を安心させようと、証監会が機関投資家株式投資の拡大をアピールしています。

対外投資の減少や株価の下落は、根本的に景気悪化が原因で、小手先の市場介入では問題は解決しません。

中国経済は不動産関連業が国内総生産(GDP)の3割を占める特異な構造で、不動産市況への対策が急務となり、中央銀行に当たる中国人民銀行は2月20日に住宅ローン金利の基準となる基礎金利の5年物を3.95%と0.25%引き下げました。

引き下げは23年6月以来8カ月ぶり。外国の投資家が不動産市場から逃げ出す中、国民の住宅購入で埋め合わせようとしています。

中国にはデフレも忍び寄り、中国国家統計局が2月8日発表した1月の消費者物価指数は4カ月連続で前年同月比マイナスとなり、下落幅は0.8%と2009年9月以来、14年4カ月ぶりの大きさでした。

不動産価格が下落しても過去の投資ブームでつりあがった住宅に国民は手を出せずさらに下落。住宅市場の冷え込みが経済規模をシュリンクさせ個人消費が低迷、デフレがデフレを招くスパイラル状態に入ろうとしています。

不動産バブルの狂乱と崩壊、長引くデフレ懸念。どこかで見た光景で、中国は日本の失われた30年と同じ道をたどるのでしょうか。

日本のバブルは1990年3月に当時の大蔵省が金融機関に不動産向け融資を絞らせる総量規制で一気に破裂。衝撃は金融不安を招きデフレスパイラルに陥りました。

中国では改革開放路線で安い労働力による輸出振興で得た貿易黒字を不動産業で膨張させ2010年に日本の一人当たりのGDPを抜き米国に次ぐ世界第二位のGDPを誇る経済大国になりましたが、この時に日本のバブル崩壊を徹底研究したといわれています。

中国の不動産市況の悪化は、地方政府の開発投資資金などを集めた「理財商品」のデフォルト問題から問われはじめ、デベロッパー最大手、恒大集団の巨額債務問題が2020年に表面化。

不動産バブルの崩壊が危機を招くと懸念されましたが、90年代の日本のように不動産バブルに総量規制、株価のバブルに利上げという2大資産バブルに針を突き刺す愚を犯さず、段階的な規制で破滅的な崩壊を回避してきました。

しかし、ここに来て、抜本的な対策強化に迫られて、日米欧の市場は株高で沸き立つが、中国の不動産バブルの崩壊が中国経済を突き落とし、世界を巻き込む金融危機を絶えず警戒していることが外資の脱出で示唆されています。

投資家が最も恐れるのは下落よりも先行きが見えないことで、自由主義経済の資本市場の浮沈は何度も経験則があるが、共産党一党独裁下で成り立つ国家資本主義の破綻があるとすれば、史上初めてです。

資本主義と民主主義が自由な資本市場の活力を生み経済発展を促すことを前提に市場に参加していた投資家が、どう立ち向かっていいのかわからないのが、不安の根幹となっています。

例えば、今回の株価対策で「悪意のある空売り」の摘発も公表しましたが、買いに対するリスク回避ではなく値下がり利益だけを目的とした「空売り」とみられます。

しかし、客観的な基準はあいまいで規制当局の行政執行は共産党の指導に従うという政治的判断が重視されるため、摘発例が出るまで全くわかりません。

もっとも、24年に入り、株式や不動産市場で矢継ぎ早に対策が繰り出せたのは、共産党独裁化ならではの迅速さとみることもできます。

リーマンショック時は、米国発の市場原理主義グローバル化していたことが被害を拡大し、先進各国は大規模緩和措置に手間取りました。

しかし、民主的な議会が機能しない中国は共産党の絶対的な指導下でいち早く金融財政措置をとって世界経済に需要を生み出し恐慌を救ったのも国家資本主義ならでは素早さでした。

中国は、今回も政治先行で危機を乗り切ろうとし、経済悪化が国民生活に押し寄せる不満は、台湾有事の可能性をちらつかせることで国内的な国家意識を高めて抑制しています。

米国の対中輸出規制も24年11月の米大統領選までに次男が中国利権を持つバイデン大統領在任中に現状を維持しようと押したり引いたりの外交戦略を続けています。

この間に、民主主義国家ではありえない強権と迅速性で、資産バブルの崩壊が経済全体を破壊するまでの時間を稼ぎたいところです。しかし、対応を誤れば見えない恐怖が世界の金融市場を脅かすことになり、注視せざるを得ません。